落語手帖 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480420862

感想・レビュー・書評

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  • 昭和の名人、三代目桂三木助は1961年に58歳で早世。
    死の間際、枕頭に三木助夫人、子供たち、そして八代目桂文楽、五代目柳家小さんが座ると、三木助が文楽に、「弟子の木久八を頼む」。
    言われた文楽が頷くのを見ると、次に三木助は小さんに、「おれの「芝浜」を覚えて欲しい。それを木久八に教えてやってくれ」。
    小さんが「引き受けた。他に言っておくことはないかい」と頷くと、三木助は「ないよ」と微笑んで逝去したそうです。
    後日、三木助夫人が「あたしと子供たちに何もないのか、と不服でしたけど、芸人だから仕方がない」と言ったそうです。



    楽しむほうからすると、たかが落語。

    だけど、「たったひとりの話芸」の世界っていうのは、高みに至れば至るほど、ここまで業が深いものなんだなあ。と、慄然と面白かったエピソード。
    ちなみに、弟子の木久八、というのが、映画「の・ようなもの」にも出演した入船亭扇橋。飄々とした語りがたまらなく好きでした。小三治さんとのとぼけた交友関係が、お互いのまくらに頻繁に表れるのが微笑ましかったです。平成の名人、2015年死去。

    #

    冒頭に書いた三木助さんのエピソードや、古典落語の世界のトリビアなどが満載な、落語エッセイ。と言っても、1961年に世に出た本なので、言ってみれば「落語雑文の嚆矢」。江國さんというのは、その後、演芸評論の大家?になられます。
    その後のことは判りませんが、この本は江國さんのデビュー作のようなものらしく、随所に若々しさと、落語への熱い情熱がほとばしっていて、内容が古くてもその熱が微笑ましい一冊でした。

  • 請求番号:B/Eku

  • 落語への愛情が満ちている。
    もう少しこの愛情を周囲へこぼしてくれていたら。。。

  • 序 辰野隆
    落語談議
    落語博物誌
    高座百景
    五人のはなし
    落語歳時記
    新作問答
    落語結縁
    自跋
    解説 矢野誠一
    解説 瀧口雅仁
    (目次より)

  • まずは落語を実際に見聞きしてから見るべき本のような気がする。

  • うー噺を全然知らんから読めない、少しずつホンモノの落語をと思う 少し読めるようになってきた07/05/14

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著者プロフィール

江國滋
一九三四年東京生まれ。演芸評論家、エッセイスト、俳人。慶應義塾大学法学部卒業。新潮社勤務を経て、独立。六一年に『落語手帖』を刊行し、以後、随筆、紀行、評論の分野で活躍する。九七年没。主な著書に『日本語八ツ当り』『俳句とあそぶ法』『落語美学』『旅はパレット』『スペイン絵日記』。句集に『神の御意――滋酔郎句集』『癌め』など。

「2023年 『俳句とあそぶ法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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