- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480424433
感想・レビュー・書評
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「わざわざ厭味たらしく、偽悪的に言う悪い癖がある」本所生まれの江戸っ子、勝海舟を、親しみを込めて「勝っつぁん」と呼んぶ著者。
勝海舟こそ腹の据わった偉人、信念の人、稀代の政治家。それに比べて福沢諭吉の人間のなんて小さいこと。「花神」で絶賛されていた軍師大村益次郎もやなやつ。それに比べて西郷のなんと偉大なこと。何てったって勝っつぁんが誉めちぎるんだから間違いない。本書を読んで、勝贔屓の著者の辛辣な人物批評が心地よく頭に入ってきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近阿川弘之さんがなくなって、ふとみるとこの本の推薦文を書いているのに気がつきました。
それで随分前に買っていた本書を読んでみました。
著者の半藤一利は、江戸っ子で疎開は長岡で、官軍が大っ嫌いで勝海舟だいすき!という人間なんだそうです。
そんなわけで、勝海舟のことも「勝っつあん」と近所のお兄さんのように親しげに呼びかけてます。
大体、小説でもドラマでも、勝海舟といえば「江戸城無血開城」が一大イベントであって、その後どうなったかあまり描かれることはありません。
無血開城のころ、勝海舟は40代で、死ぬまでまだ30年ぐらいあったので、明治も随分生きていたのですが、どうしていたのかほとんど知りませんでした。
この本では著者は勝海舟びいきではありますが、徳川の幕臣の生活のために努力したり、最後の将軍慶喜との交流や、福沢諭吉と喧嘩したり、大久保利通の要請を断ったりと明治でも何かと勝海舟は中央政府と関わりがあったことが書かれてます。
しかし、勝は基本的には隠居というか、政治からは身を引いたことにしたかったようで、あまりがっつりと関わってはいません。
半藤一利らしく、明治維新というものの功罪や今の政治にもつながる日本人論みたいな考察もあって面白かったです。
しかし、あまりにも勝海舟びいきすぎるので、星一つ減にしておきます。 -
江戸っ子による勝海舟評伝
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明治維新後の勝海舟の姿を知る事ができる1冊です。政府の要職につかず徳川慶喜の名誉回復に駆け回りながらも、奥さんからは墓を一緒にするなと言われる姿。薩長史観の逆から海舟を通して明治初期を知る事ができます
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江戸城開城から、あんまり有名じゃないと思われるその後の勝海舟の話。
勝海舟について僕が知らない時代のことを書いているので買って、実際読んでみて「なるほどそんなことあったんだ」と。
完全に「勝びいき」の本だけど、そこまで嫌味には感じなくて、親愛の気持ちで書かれている感じなので、勝海舟に興味があればおもしろい本だと思う。 -
2008年11月15日、7刷、並、帯無
2014年8月16日、松阪BF -
西郷隆盛との会談により、江戸城無血開城という一世一代の大仕事を成し遂げた勝海舟の、その後の生き方にスポットを当てた評伝です。事実を淡々と記述するのではなく、薩長嫌いを公言する著者が、海舟贔屓を前面に打ち出して、その江戸っ子らしい啖呵にエールを送っています。
海舟と榎本武明を批判した、福沢諭吉の「痩我慢の説」に対しては、海舟擁護の論陣を張り、さらに若い頃に慶応義塾の熟長だった小泉信三に議論をふっかけて不興を買ったエピソードなども語られています。
日本国のため、江戸城無血開城を実現した海舟が、明治の世になっても、日本のために「あひるの水かき」を続けてきたことを知ることができ、興味深く読みました。 -
やっぱり勝海舟でしょ、八重や竜馬や新撰組よりも・・
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(欲しい!)/文庫
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「それから」とは江戸城無血開城。維新後も旧幕臣のため、陰に日に働いた海舟の後半生を描いた評伝です。
裏で働きかけるといっても、海舟のそれは黒幕というような後ろ暗いイメージではないような。「たくさんの人と日頃から仲良くするのがお仕事」という、まさしく私の憧れるところのフィクサー。
福沢諭吉等には後々批判もされたようなんですけど、そういえば私の知ってるあるいは尊敬している人たちはみんな海舟派だなあ。
ところで作者の半藤一利って方、私は「昭和史」を書いた人としか知らなくて、すごくすごく偉い人だと思っていたんですけど(いや、もちろんとても偉い作家さんなんですけど)この本を読んだ感じでは、海舟を贔屓に引き倒しな、お調子者のおじさんでした(笑)
時間がとれなくてなかなか読み終われなかったけれども楽しい本でした。