マジメとフマジメの間 (ちくま文庫 お 66-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428936

作品紹介・あらすじ

戦争映画や時代劇など多様な映画を撮った岡本喜八。深刻なテーマを軽快なテンポで描き、見る者を魅了した。だが、自身の青春期は戦争のただ中にあった。絶望的な軍隊生活を生き抜くため身に付けた喜劇志向がその作風に影響を与えた。また、映画同様、歯切れのよい文章でも知られた。本書は単行本未収録のなかから、戦争・映画などをテーマに編集した文庫オリジナル。

感想・レビュー・書評

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  • 岡本喜八監督のことは、全く知らなかった。が、高校の時、映画館まで足を運んだEAST MEETS WEST、DVDで買った「座頭市と用心棒」など、好きな作品の監督だった。そして最近見たシン・ゴジラの監督への影響などから、知らず知らずのうちに、岡本監督のファンだったことに気が付く。
    本書を読んで、さらに監督のファンになる。
    戦争を喜劇でとる理由に、監督の喜劇に対する信頼・信念と、戦争体験から得た戦争の理不尽さに対する抵抗を感じる。

    人間ハ元来オロカナモノという考え方に始まる監督の喜劇的なものの見方に、強く惹かれる。戦争体験から物事を喜劇的にみる見方を身に着けちまった監督が、正しさというものを大上段から迫るのではなく、人間臭さを忘れず、思想や統制に縮こまらずにどんどん広げていける喜劇的な見方、表現にこだわるのがよくわかる。

    喜劇というものを通じて、戦争とは何か、人間とは何かを考えさせてくれる良書。

    『ともあれ、「笑うのは人間だけである」という言葉にしがみついて、喜劇を目指そう。』

  • (欲しい!/文庫)

  • 黒づくめの映画監督、岡本喜八の精選エッセイ集です。この中では、マキノ正博監督の追悼記「面白ないとあかんでえ」あたりが白眉でしょうか。映画の文体とエッセイの文体が酷似しているのもファンにはたまらないところですね。ちなみに私の好きな岡本映画は、「肉弾」、「ああ、爆弾」、「殺人狂時代」、「江分利満氏の優雅な生活」、「ジャズ大名」辺りです。

  • こちらはエッセイ集。
    今まで監督の作品は2本しか観ていない。「英霊たちの応援歌」と「大誘拐」。いずれ、観ることにします。

  • 岡本喜八監督が遺した文章を採録したエッセイ集。脚本を書いて認められることが映画監督の必要条件だった世代とはいえ、太平洋戦争末期の凄惨な体験さえ客観的に記せるその文章力に驚かされる。筆者は「青葉繁れる」と「大誘拐」という喜劇的な作品しか見ていないが、エンターテインメントをきちんと仕上る職人的な作家さんだという印象が強く、本著を読むことでその背景が窺われた。残念なのは監督の作品目録が載っていないことと、著者の魅力を語る巻末の庵野秀明氏のインタビュー記事が短すぎることか。

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