- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480429308
感想・レビュー・書評
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「さまざまに多義的な連想をさそう表象が、ときに本筋からゆるやかに脱線しつつ、なぜかうまいぐあいに絡み合い、最後にはそれなりにオチがつく。」(P271解説より)という、ヤンソンの「ディープ系」と称される短編集。
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あたりがスキでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ムーミンの小説しか読んだことなかった。私はムーミンがすきなんじゃなくて、トーベ・ヤンソンの感受性とその表現に魅入られていたのだと実感しました。非常に煩雑で見えにくくて途方もない個人の意味世界を、難解にすることなく、言葉で丸め込むこともしない。成り立っていること自体が不思議な短編たちの、ささやかな一冊。
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トーベ・ヤンソンの大きな魅力の一つは、描かれる登場人物たちの人間味だと思います。読者に好印象を与える人物も、いけ好かないと思わせる人物も登場しますが、誰もがどこかしらに簡単には割り切れないような人間臭さを持っているのです。同じように、ヤンソンが描く自然も、人間とセットで描かれているからこそ魅力的です。
短編だと、物語や描写が必要最小限まで削ぎ落されるので、その人間味がより分かりやすくなるのかもしれません。
この本全体を言葉で表すのは難しいですが、ヤンソン独特の緩やかさの中に、ある種の緊張感を持った作品が多く、とてもおもしろい短編集でした。 -
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