たましいの場所 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.66
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本棚登録 : 749
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430052

作品紹介・あらすじ

18歳から21歳まで歌を歌っていた。早くおじいさんになろうと思い、25歳、町の本屋の主人として暮らしはじめた。そして二十数年後、無性に歌が歌いたくなり歌手として再出発した早川義夫の代表的エッセイ集。「恋をしていいのだ。恥をかいていいのだ。今を歌っていくのだ」。心を揺り動かす率直で本質的な言葉。文庫用に最終章を追加。

感想・レビュー・書評

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  • とんだエロおやじだなあ。
    でも決して下品だとは思わない。
    正直なだけだと思う。
    歌をつくって歌い、犬や猫と遊び、妻帯者でありながら、別の女の子と恋をする。
    この、妻のしーこさんがいいのです。
    ふたりのやりとりを読むと、不倫だのなんだの騒ぐ世間が心底馬鹿らしくなる。
    夫婦がいいというのなら、いいのです。、、、たぶん。

    自分の部屋のピンナップのように、心に貼付けたくなるような、覚えておきたい名言もたくさん。

    あと、若い頃の室井佑月さんの本を読んで、「こんな女の子に惚れられたら参っちゃうな」と述べているのだけど、うーん、ふたり、合いそう。いや、なんとなくですけど。

    著者の早川義夫さんは、元歌手で、引退後本屋を開き、その後閉店。中年になってからまた歌手となる。

    巻末エッセイは歌手の七尾旅人さん(『サーカスナイト』好き)

  • 素直で率直な想いを連ねたエッセイ。
    好き嫌い、合う・合わないが、はっきりする本だと思うが、残念ながら、私の好きなテイストではなかった。

  • 最近話せていない奴、それは自分だった。そんなことをふと気づかせてくれるエッセイ。

  • エッセイは興味のある人物であったらより面白く感じるものだけど、あまり興味のない人物のものはそんなに面白く感じない。だからそれ程面白くは感じなかった。(宮藤官九郎の帯文に惹かれて購入)ただ、赤裸々な気持ちを素直に綴ってあり、ハッとさせられる言葉が幾つかあった。

  • この本がバイブルだというひとの気持はすごくよくわかる。「文章を書く」というのはこういうことなんだ、と強く思う。書いてるひとが、見える。そして、好きになる。心の、たましいの声がそのまま活字になってる。だから伝わる温かさがある。自分に素直になって生きていくということは、いろんなものをそげ落とす作業のようにみえて、実は真逆のことなんだろうなあ、と思う。かなしいことやつらいことをたくさんたくさん経験して、自分の不器用さを受け入れて、考えて、行動して、そのなかでのみ生まれるたましいの声をひろっていくことなんだと思う。「嫌いなものは嫌い、好きなものは好き」と字面だけ読むと、ただワガママに聞こえるけど、うすっぺらーく生きてきた人と、作者とは、まるで、違う。…でもそうだ、人のことなんて、ほんとは、わからない。私もいつか、作者のようなたましいの域まで達することができるのだろうか。

  • 偏屈おじさんのエッセイ(笑)
    もう少しお年を召してからお書きになったものも読んでみたい。

  • 宮藤官九郎の推薦文、峯田和伸のオシ、七尾旅人のオマージュエッセイと、自分的には先にそれを知っていたら読まなかっただろうという感じなのだが(ちなみに古本で購入)、あえて先入観を外して読むとなかなかに面白い。還暦のオヤジがここまで素っ裸でものを言うのは簡単ではなかろう。

  • 女性関係の振る舞いは、腹立たしいこと甚だしいが…心に残る言葉がたくさんあった。
    ①「クラシックが一流で、歌謡曲が三流なのではない。クラシックの中に一流と三流があり、歌謡曲の中に一流と三流があるのだ。ロックの中に素晴らしいものと素晴らしくないものがあり、フォークの中に素晴らしいものと素晴らしくないものがあるのである。あなたが一流で、私が三流なのではない。あなたの中に一流と三流があり、私の中に一流と三流があるのだ」
    ②「チャコの中に、父と母がいる。いると思えばいるし、いないと思えばいない。目に見えないものは、思うことによって存在する。父と母は、もう何も喋らない」
    ③「歌うことが偉いわけでも、ましてやかっこいいわけでもない。歌わざるを得ないのである。あの人からボクシングを奪ってしまったら、ただの不良少年になってしまうように、音楽を奪ってしまったら、犯罪者になってしまうように、小説を奪ってしまったら、狂ってしまうように、そんなところから、出発しているのではないだろうか。音楽を手段としてではなく、音楽を目的にしている人だけが、悲しみを表現できる。悲しみは作り出せない。悲しみは張り付いてしまったものだ。にじみ出てしまうのである。「五体満足なら、踊る必要はありません」は、『土方巽の方へ』を描いた種村季弘の言葉だ」

  • 文章も音楽も人間が出る。正直な人。悲しいくらい純粋で真っ直ぐ。

  • 倉田まみさんがおすすめしていた本。エッセイって小説に比べてちょっと読みにくい。好きな人は好きなんだろうけど、私はちょっと苦手意識がありますね

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著者プロフィール

早川 義夫(はやかわ・よしお):1947年東京生まれ。元歌手、元書店主、再び歌手。著書に『たましいの場所』『ぼくは本屋のおやじさん』『生きがいは愛しあうことだけ』『心が見えてくるまで』(ちくま文庫)、『海の見える風景』『ラブ・ゼネレーション』(文遊社)がある。アルバムは『歌は歌のないところから聴こえてくる』『 I LOVE HONZI』などがある。
x.com/yoshiohayakawa


「2024年 『女ともだち 靜代に捧ぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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