- Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480431776
感想・レビュー・書評
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図書館で「カムイ伝」全集を借りた流れで、そのまま読了。漫画評論かと思いきや、どっこい、かなり硬派で専門的な江戸時代の社会史である。カムイ伝を読んでいるとより深く楽しめるが、別に読んでいなくても十分に深みのある学びが期待できる。カムイは非人である。だから、本書では、穢多、非人、職人、サンカ等、メインストリームにはない人々に多くのページを割く。学問とはこういうものだというお手本のような本。おすすめです。
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白土三平の「カムイ伝」を手掛かりとして、江戸時代の社会、経済を知り、考える好書。特に、農民や被差別民など社会の下層の人々について新鮮な視点から記述されている。とは言え、もともとが大学学部の講義とゼミで使われた内容なので、わかりやすく書かれていると思う。
後書きで、この本の一部は内原英聡さんという学生の方が書いたものを使っているとのこと。この内原さんは、現在沖縄県石垣島で市議会議員を務めているらしい。
なお、あえて疑問を呈したいのはサンカについての記述で、三角寛の著作から引用を無批判的に使うのはどうか、という気がする。 -
田中優子 「 カムイ伝 講義 」面白い。カムイ伝をテキストにして、江戸時代の身分差別、農民や漁師の生活、一揆、死生観、武士の意味 を講義した本。多くの人間的テーマを与えている。特に 「カムイ伝が描く命」は 圧巻。平和な江戸時代のイメージが一変する
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江戸学の権威・田中先生。大学のゼミでカムイ伝を教材に、文化人類学と江戸を結びつけた。穢多非人と一緒くたにしていたが、被差別民と言っても違うことが興味深い。木綿生産・養蚕から農林漁猟業、老若男女人々の暮らし、そして生命まで幅広く取り扱う。終盤の「武士とは何か」で、3次産業として生産性を持たないサラリーマンと武士を比較する筆致は、身につまされる。文庫版あとがきを引用すると、著者自身が「カムイかも知れない。そして、やはり日本人がわからなくなった」自分も「カムイかも知れない。」
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現代にいまだ解決されていない民族に対するヘイトスピーチの根源を探す。
江戸時代の多くの書物、ビジュアル資料はほとんどが、江戸近郊大都市の恵まれた環境の中の市井の人々が対象であるが、日本の大多数を占める農民にスポットを当てて、生活や部落問題など、カムイ伝には多数の興味尽きないテーマがある。 -
TY1a
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リリース:茂樹さん
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