あなたは誰? (ちくま文庫 ま 50-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432964

感想・レビュー・書評

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  • 70年以上前の作品なのに本邦初出。時代的なプロットの古さは感じるが、今でも良質さを感じるミステリ。

  • 精神科医ウィリング4作目。

    婚約者の実家へ向かうナイトクラブの歌姫。
    行くな、という警告の電話がかかってきたり、
    泊まりに行った実家の部屋を荒らされたりと、
    事件が起き始める。

    犯人は婚約者なのか。
    彼女を気に入らない婚約者の母なのか。
    久しぶりに帰って来た婚約者のいとこなのか。
    婚約者を愛している幼なじみなのか。

    19歳のお披露目パーティが開かれ、
    ダンスをして、夜食を食べて、カードゲームをして
    午前四時になったところで殺されたのは、
    毒入りチョコレートを食べた、婚約者のいとこだった。

    例によって、気になるのは殺人事件よりも、
    周囲の人間模様だったので、
    最後に幼なじみの気持ちが報われそうで良かった。

    気になったのはパーティの最中に、
    歌姫がまたたくまに彼女のファンになった男性たちと、
    階段で話していた場面。
    彼女の魅力と品のなさが見事に描かれていたが、
    素敵なドレスを着ているのに土足である階段に座るんだ、
    と衝撃を受けた。

  •  精神医学者ウィリング博士の専門性が発揮されたよくも悪くもマクロイらしい作品。本人も意識していない二重人格は純粋ミステリとしてはアンフェアな気もするが、それがわかっていても最後まで本人が明かされず、まさに「あなたは誰?」というところは巧妙。いい味だしている狂言回し的な闖入者チョークリーが実は本筋に大きくかかわっているあたりのつくりもうまいものだ。


  • 初のヘレン・マクロイでした。
    クラシカルな時代背景と狭い田舎ならではの閉塞的でどろどろした雰囲気は好きでしたが、謎解きとしては…?
    イブやエリスの心理描写はしっかり書かれていたと思います。
    犯人はけっこう最後のほうで判明してそこから一気に伏線が回収されるのですが、展開も会話もわりと地味なので途中で次の展開まだかな?と思ってしまいました。笑
    ポルターガイストなどの心理学的な専門知識もたくさん出てきてそのあたりは興味深くてすらすら読めました!

  • ラスト切なかった

  • 匿名の警告電話を受けたフリーダは、婚約者にも話さないまま警告を無視して婚約者の実家へ向かう。
    ふたりが到着してから何者かがドアをノックしたり、再び警告電話がかかったり、フリーダの部屋が荒らされたりする。そんな中、ついに毒殺事件が起きる。

    何か面白そうな本はないかなあと本屋さんを物色中、たまたま目にとまった作品。
    「あなたは誰?」という、少し昔の海外ミステリー映画のようなたいとるに惹かれて購入。

    一言で言うと、なかなか面白かった。
    ひとつの毒殺事件だけなのだが、文章が上手いのか読ませる。

    所謂、田舎と呼んでいい場所で容疑者も絞られ、誰もが怪しそうでいて誰もがそんな事をしそうにもない。
    ミステリーの舞台設定の、これぞ定番という形だ。
    このよくある感じが、却って新鮮に感じる。

    ポルターガイストや二重人格というものを作品に織り込んでいるのも、現代ではまた新鮮だ。
    作品が書かれた頃では、本当に新鮮だったことと思う。

    この作品は精神科医ウィリングシリーズのひとつ。
    このシリーズは長編だけでも13もある人気シリーズだったようだ。
    精神科医が謎を解くということで心理学的な記述もあり、作家の造詣の深さがうかがえる。

    派手なミステリーが好みのかたには物足りないだろうが、文章の端々から時代や文化を感じられるところや、ひとの心理を扱った推理など愉しめる点も多い。
    この作家の作品をもうひとつ同時に購入したので、そちらも期待して読みたい。

  • そうくるかー、、

  • 古い推理小説であるが、謎解きがメインで非常に楽しめる。登場人物が少なくて、犯人になり得る人物も少ないのだが、最後の最後までこの人が犯人だと確信できないプロットが出色である。精神科医のウィリング博士が謎を解き明かすシリーズの4作目(邦訳は2作目)にあたる。マクロイの処女長編「死の舞踏」に続いて読んだが、このシリーズはあまり一般人と接点がない精神科医が謎解きをするのが面白い。シリーズで未翻訳のものもあるので、出版して欲しいと切に願う。翻訳も素晴らしく、非常に読みやすい。一番おもしろいところはネタバレになってしまうので、ここで紹介できないのが残念だ。

  • 初、ヘレン・マクロイ。
    面白かった!

    狭い舞台に限られた容疑者達。単純なプロットでありながら、最後まで犯人を絞り込ませない上手さがある。登場人物達の個性も明快で、心理描写も読み応えあり。
    ラストが少し端折り過ぎで、腑に落ちない箇所もあるけれど、古さを感じさせない良質な古典ミステリーだった。

    次は何を読もう。

  • 珍しくちくま文庫からマクロイ。ウィリング博士シリーズの長編である。
    ナイトクラブの歌手フリーダが匿名の電話の警告を無視して婚約者の実家を訪れたことから起こる波乱。彼女の部屋が荒らされ、ついには殺人事件が起きる…
    容疑者は少ないがそれぞれ心理描写が克明に描かれ、サスペンスが盛り上がる。真相は今読むとなるほどと思うが、当時は新鮮だったと思われ。タイトルもおしゃれ。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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