- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480434722
感想・レビュー・書評
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石田さんからみた植本一子さんとの出会い、同棲そして結婚妊娠の生活の一部を切り取った本
自分のことながら少し離れた場所から俯瞰で覗いているような冷静な文体が魅力的だった
引っ越しの前の部屋の惨状やらアル中になったときの話やら書いてあることは思わず目を背けたくなるような激しさがあるのに変な生々しさがないので読みやすい
妊娠中の植本さんが情緒不安定になったときの表現が愛に溢れていてとてもよかった…
作中の植本さんのビギナーズラックも面白かった
ページの間にふと挟まれてる植本さんの写真がまた味があってとてもいい
とても面白かった
石田さんの他の本も読んでみようかな詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
単行本は2009年刊行。同棲から長女の出産までの期間(2007年から2008年までの間)のことが主に書かれている。植本さんの本でしか知らなった石田さんのことを知る。どんな風に生きてきた人なのか、そして植本さんとの生活をどんな風に過ごしていたのか。
植本さんの文章の処女作が掲載されているのだけど、最初からこんなに書けるのかと驚く。とはいえ、本をよく読む人という印象があったので、納得といえば納得である。 -
文才を含めた石田さん自身に、今でも尊敬があるからだ。そう考えると、やっと石田さんの元から巣立つことができたのかもしれない。そんな人と夫婦という関係でこの10年一緒にやってこられたことを、今更ながら財産のように思う。(植本一子)
一子さんの本は「かなわない」と「家族最後の一日」を読んだけど、ECDさんの文章を読んだのは初めて。
確かに、二人の文章の語り口は似ている。
ECDさんが亡くなった今、一子さんがどういう思いで日々を送っているのか、彼女の文章で聞きたい。 -
一子さんとのお付き合い〜結婚・子育てを経て移ろうECDさんの生活が手に取るようにわかる。自身の内面の変化について「いちこと付き合って初めて自分の子供を作ろうと思ったその変化以上に大きな変化は思いつかない」とあったけど、エッセイを通じてECDさんの数年を覗き見れば、きっとそんなことないでしょと思う。人柄や文体こそ淡々としているかもしれないけど、暮らしを営む中で夫/父親としてのECDさんが醸成され、愛情を携えた静かな眼差しを家族に向けていることは想像に容易い。側で見てたら顔つきだって変化してるんじゃないかな。
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ECDの視点で描いた結婚から出産に至る日々の物語。アパートのゴミだらけの部屋で一人、崩壊した生活を送っていたところから、家族のいる、人間らしい暮らしに徐々に溶け込んでいく姿から、他人の与える影響の大きさを感じる。
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下北沢のgreatbooksで植本一子さんの写真展を開催してる。そこで、たまらず手に取った。今は亡き植本さんの旦那さんECDの書いた本だ。
ずっと植本さんの日記が大好きで、出版されるたびに読んできたから、もう石田さんのことを知った気になっていた。
この本の石田さんは、植本さんと出会って結婚して子供をさずかり、生活していく中で文章をたんたんと書いている。今までは植本さんの視点のものしか読んでこなかったから、とても新鮮だ。
中に掲載されている写真といい、このお二人の文章はとても好きだ。 -
はじめて読む石田さん側から書いた本。この後の10年を先に読んでるからか、穏やかで(不穏さも垣間見えるけど)初々しい2人がこそばゆい。石田さんの幸せそうなことったらない!あぁ、こそばゆい!この幸せ溢れるところを淡々と受け止めて、日常の事として書いてるのが却ってリアル。そして、間の植本さんの書いた"ビギナーズラック"がとても良い。出産後の数日のことって覚えてるけど、ちゃんと記録しておこう!と思ってもしてない、できてないもの。母親の不安、夫や助産院の方々の優しさ、その瞬間が収められていてとても綺麗。生まれた時のこと話して聞かせるよりも、くらしちゃんに読ませてあげたい。
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よくできた本で文体もしっかりしていて著者すごいなーと思うけど。
著者と奥様の生活がしみったれていて読んでいてすごく辛い気持ちになる。ペット禁止の物件で猫三匹飼育とか、解約時のゴタゴタを想像してほんとに暗い気持ちになる。熱い恋をしていた2人が冷め切ってしまったりするのも、ふんわりと絶望する。
でも著者のことはほんとに応援している。
点数が低くて申し訳ないが、ほんとにしけた気持ちになってしまって、どんよりしちゃうの。奥様の情緒不安定エピソードもめちゃくちゃ怖いし。これやられたら俺耐えられないなーって思う。
ほんとに申し訳ないのだけど、漢氏やサイプレス上野氏みたいな景気のよい本の方が自分には向いているようだ。