牧神の影 (ちくま文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435132

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医ウィリングと同じ作者だったので。

    秘書をしていた義理の伯父が亡くなり、
    山荘で体と心を休めることにしたアリスン。
    伯父は理想の暗号を開発したらしく、
    その身に危険がせまるアリスン。

    謎解き、というか、
    伯父の息子も、別荘の隣人たちも、陸軍情報部の大佐も、
    みんな怪しく思えてくるストーリー展開は面白かったが、
    暗号は難しすぎてついてけなかった。
    そもそも、周囲に誰もいない山荘なんて怖いに決まってるのに、
    なんでそんなところに行くことにしたのか、
    ちょっとわからないし。

    伯父の愛犬アルゴスが殺されてかわいそうだった。

  • 暗号関係のミステリー。

  • アリスン・トレーシーは義理の従弟のロニーからの電話で起こされた。館内電話だ。伯父のフェリックス・マルホランドが亡くなっているという。慌てて伯父の部屋に向かうと、ベッドの上で本を膝に置いたて座ったままで伯父が亡くなっていた。伯父のパジャマを直そうとしたら体が傾き、本に挟んであった紙が滑り落ちた。その紙をその時は気にもしなかったが、そののち大きな意味を持ってくるだった。そうそれには暗号で書かれた文章があったのだ。

  • 暗号ものの面白さ、それ以上はない。

  • ノン・シリーズ長編。
    軍のために戦地用暗号を開発していた伯父が亡くなった。秘書だったアリスンはその後人里離れたコテージで暮らし始めたが、周囲で次々に怪しい出来事が起こり…
    マクロイらしくサスペンスの盛り上げ方はさすがで、疑心暗鬼になりつつ毅然と行動するヒロインも魅力的だったが、暗号が難しすぎてついていけなかった…それでも(理解しきれてなくても)ラストの暗号解読はなるほどと思わせるものがあり、それなりに満足。

  • さまざまな仕掛けがこらされた、
    よくできたミステリー。
    暗号のくだりは
    複雑すぎて挑戦しようという気もおきない。

    あまりに、技巧的かな。

    とはいえ、ヒロインの心理描写とか
    キャラの造形は魅力的。

  • 暗号モノ。うほうほ。

  • 主人公の伯父が残した暗号の謎と、その後に人里離れたコテージで一人暮らしを始めた主人公の周囲で次々に起こる不可解な現象…。原題の"Panic"(パニック)という言葉は、ギリシア神話の「牧神(Pan:森に棲む半人半獣の神)」に由来するということで、本作でもまるでその牧神が原因であるかのような、理由のない混乱や恐怖が次々に起こり、サスペンスを高めていきます。
    しかしながら、本作の「暗号」が難解すぎて、どうもそれとサスペンスがうまく融合していない…読むときにテンポの悪さを感じてしまい、あまり話に乗れませんでした。

    とは言え、最後に明かされる暗号解読の鍵は非常にシンプルで、暗号が解読できなくても「さすが、マクロイ!」と唸ってしまいました。(と言うより、原書の刊行前に陸軍と海軍の情報部職員が暗号解読を試みて失敗したというエピソードをマクロイが明かしているくらいなので、暗号そのものはとても素人(そのうえ非英語圏の我々)には解読できない代物ですが。。。)
    そして、この物語では重要な登場人物…いや、「犬」がいます。登場人物表に載っていないので、見落としがちですが、犬のアルゴスに注目して読めば、もっと心揺さぶられるものがあったかもしれません。

    本作がマクロイの作品、ということで、期待値が高すぎた分、評価が少し辛めになってしまいましたが、これが普通の作家の作品であれば、星4つでもよいと思われます。

  • 読むのに時間がかかった。

    とにかく落ち着かない。
    主人公アリスンが、してはいけないことをし、行ってはいけないところに行き、気を留めてほしいことを無視してばかりいる。
    自分がその立場なら、たぶんアリスンと同じことをしたり、しなかったりするだろうから、彼女が抜けているわけでもなく、まあ、ごく普通の(ちょっとうっかりな?)女性の振る舞いなのだろう。
    しかし読者という第三者からすれば、とにかく落ち着かない。静かにハラハラさせられる。
    加えて中盤になると、アリスンの遭遇するあれこれが、いやまして落ち着かなくさせてくれる。

    それもそのはず、原題は「Panic パニック」なのだ。
    テーマであるところのパニック、恐慌状態にもっていくための話運びなのだから、このハラハラ落ち着かない心地も当然なのである。

    もう一つのテーマは暗号だ。
    表をいくつも挙げて、かなりのページを割いて、ことこまかに解説してくれていた。が、これがいわばプロ仕様のもので、かなりの難題難物だった。
    向いている人、好きな人には堪らなく美味なのだろうが、私はすっかりお手上げである。

    「暗号を解くには、鍵となるものが必要である」

    この一点のみの理解で読み進めた。それでなんとかなった。

    しかしこの説明は、文章だけではサッパリだったが、動画で解説されれば、理解に及ぶ人は多いのではないか。
    どこかの好事家がしてくれないか、既にしていないか、動画でも挙げてくれてやしないかと、むしのいいことを考えている。

    落ち着かない心地をさせられたり、暗号に頭が麻痺したりの話だったが、さて読後感はというと、タイトルににあらわされたように、神話の影が漂うものだった。
    読み終えて、改めて邦題と表紙画に感じ入るものがある。

    アメリカでの出版は1944年。
    今時の話ではない、ちょっと毛色の違うものを読みたい人におすすめする。

  • マクロイのノンシリーズ長編。
    中盤のホラー風味から一転、気持ち良いぐらいパズルがはまっていく様子が好きだ。犯人の予想は立てやすい感じ。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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