沙羅乙女 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.07
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本棚登録 : 106
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480436016

作品紹介・あらすじ

遠山町子は一家を支え健気に暮らす。そんな彼女に惹かれる男性が現れ幸せな結末かと思いきや、恋敵の横槍や父の思わぬ行動で物語は急展開する。

感想・レビュー・書評

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  • 山あり…の一冊。

    初読み作家さん。

    時代は戦前の昭和初期。

    ヒロイン町子の人生ドラマを描いた物語。

    この時代をあれこれ想像しながら楽しんだ。

    家族を支える柱として、娘として、そして当たり前の乙女として、町子の魅力的な姿が物語をひっぱる。

    彼女を取り巻く環境、取り巻く二人の男性。

    恋の行方はこのまま順調に…な最中のありとあらゆる想定外の数々の出来事。

    まさに人生、山あり谷あり…の朝ドラっぽさが良い。

    そして最後の最後まで目が離せない展開はお見事。

    致し方ない時代の風が町子の人生に吹き抜けたようなラストがせつなく心に残った。


  • おもしろかった!もうどっぷり物語の中に入ってました!
    時代背景は第二次世界大戦の前。戦争による配給や赤紙等の話もチラホラ。地下のレストゥランの隣のたばこ屋さんの女主人町子のお話。髪を結って着物で出かけ、弟は夜学に通いながら銀行でボーイとして下働きをしてます。
    もうこれだけで好き☆
    町子の父は働きもせず儲からない発明に没頭しているダメ親父。今で言うなら親ガチャ大はずれ。出来もしない大発明に借金まくって結局失敗し、自殺。
    この父にも腹立つけど、町子の想い人の塙さんよ!腹立つのは!甘い言葉並べてその気にさせて結局は他の女と結婚し、そのことを黙ってるなんて!だいたい、町子の父の実験だって失敗するのわかってて大金貸してあげたりして、諸悪の根源だ!
    そして切ない最終章…どこが大団円なの…と、本当に振り回されました☆
    これは良い!もっと沢山の人に読まれるべき一冊!!!大満足でした☆

  • 0128
    2019/07/31読了
    今までに読んだ獅子文六作品の中で一番衝撃的…。
    ドタバタ劇はいつものことだが、ハッピーエンド?なのか?ハッピーにならないなんて…。切ないままだった。
    今だから戦争がどうなっていくかわかるけど、当時の人たちはどう考えていたんだろう?吉郎が軍需工場のことをさらっと話しているのをみるとドキッとする。
    大団円でいいのかな〜?!というラスト。

  • 塙と日出子にはもっともっと痛快な仕打ちを期待したんだけど……。ともあれ、きっと野村は帰ってくるし、その頃には町子の喪も明けているはず!

    獅子文六の小説は、夢を見させてはくれない。人生の大どんでん返しなどはまず起こらない。私はハッピーエンドのほうが好きだけど、読んでいる過程がとにかく楽しいから、苦いラストを想定しつつもついつい彼の本を手に取ってしまう。

  • すれ違う男と女の恋愛模様を描き、不如意な家庭の事情を描き、周りに振り回されるヒロインを描き、定番中の定番の展開だから、物語の行く末も自分なりにある程度予想しながら、でも「どうなるどうなる?」と続きが気になり、早く結末を知りたい気持ちで読むのだ。その中で男どもときたら、勝手な奴らばっかりだ。塙よ。

  • 「こんな面白い小説がまだあるのか!かわいらしい恋物語はいつのまにか二転三転するドタバタ劇へ」

    SNSでひょんなことで出会った本。
    表紙のなんとも言えない雰囲気と帯のメッセージで手に取った本でしたが、個人的にはかなり好みでした。

    最近朝ドラにはまっているわたしですが、なんだかワンクール分の朝ドラを見終わったかのような明るい気持ちになりました。

  • 瑞々しい小説 男女のモタモタはどの時代でも共感できる事なので古臭さがない ガヤがうるさいのもどの時代も共通 黙ってろ

  • 町子の仕事着、ブルースがどういうものか気になる。
    ブラウス?

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著者プロフィール

1893─1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。『コーヒーと恋愛』『てんやわんや』『娘と私』『七時間半』『悦ちゃん』『自由学校』(以上、ちくま文庫)。『娘と私』はNHK連続テレビ小説の1作目となった。『ちんちん電車』『食味歳時記』などエッセイも多く残した。日本芸術院賞受賞、文化勲章受章。


「2017年 『バナナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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