新版 レミは生きている (ちくま文庫 ひ-2-6)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 205
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438324

作品紹介・あらすじ

ぼくは「日本人」じゃない? 生涯「混血児」を救い続けた文学者の青く切ない自伝小説。今こそ読みたい名著復刊! 解説 平野レミ、下地ローレンス吉孝

感想・レビュー・書評

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  • 日本が歩んできた道をあまりにも知らないまま歳を取ってしまったが、今からでも決して遅くないと信じて、このような本をがしがし読んでいきたい。

  • 戦前から「あいのこ」と差別を受け続けた平野威麻雄氏の、胸が張り裂けそうなほどくるしい記憶たち。無邪気に(!)マイクロアグレッション(自覚なき差別)を行っているひとりびとりが、身に沁みて読むべき実感が詰まっている。ひとつひとつの思い出すべてに悲しみと、心底からの悔しさが詰まって感じられた。日本はいつまでばかばかしいレイシズムを子どもに吹き込み、傷つけ合いをさせるのだろうか。入管や、『半分兄弟』などにもあらわれる問題の根を、いい加減掘り下げて、きちんとなくしてしまわないといけないだろう。

  • 平野レミさんのお父様のお話です。
    レミさんの番組を見て、興味を持ち読みました。
    ハーフであるゆえ、「あいのこ」と呼ばれ、いじめられた生い立ち。でも、愛情深く育てられたのと、持ち前の強さとユーモアで生き抜いた。そして、戦後は、混血児達の母親と子供達のために奔走しました。多様性と呼ばれる今でも、無くならない差別、今こそみんなに読んでもらいたい本でした。

  • どんなキッチンでもすぐ作れそうなレミさんの料理。著者は仏文学者でもあるレミさんの父。差別や多様性について考えるきっかけとなる一冊です。ファン必読。

  • 料理愛好家として著名な平野レミ氏の父親の自伝的なエッセイ。
    1970年代に書かれた作品の新版である。
    明治時代にアメリカ人の父と日本人の母との間に生まれた著者は、ハーフとして今では想像もできないような差別や偏見の中で成長してきた。その当事者としての思いと、またその経験ゆえに、戦後日本で生まれたハーフたちの窮状を救う手助けをしたこと等を描いている。
    今の日本では当時ほどではないであろうが、それでも肌の色の違いや見た目の違いで表立った偏見や差別はなくとも、現代では逆にSNSなどで陰で色々言われるということがあるようだ。多様性が大きく言われる世の中である。当時の日本の姿を知り、現代の私たちを省みることも必要だろう。
    作品自体は少し古いが、そこに描かれる著者の苦悩は、現代でも同じような立場の人たちが感じる苦悩なのではないか。

  • 待望の復刊!
    平野レミさんの父上の「混血児」としての生い立ちは「ハーフ」「ミックス」など呼び名は変わっても複雑な状況に立つ「日本人」の裾野の広がりを考える上で読むべき一冊。解説はレミさん、カバー装画はレミさんの夫の和田誠で、新版には新たに下地ローレンス吉孝の解説もついた。

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著者プロフィール

平野威馬雄(ひらの・いまお)
1900年、北カリフォルニアジャパン・ソサエティ(Japan Society of Northern California)初代会長のヘンリー・パイク・ブイと日本人の母との間に生まれる。東京都出身、上智大学卒業。仏文学者、詩人。ルーツによって差別を受けた自身の経験から第二次世界大戦後に「レミの会」を結成、「混血児救済」の活動に献身する。著書に『青火事』『くまぐす外伝』『平賀源内の生涯』、訳書に『ファーブルの昆虫記』『モーパッサン戯曲集』ほか多数。本作『レミは生きている』は第6回産経児童出版文化賞を受賞。料理愛好家・シャンソン歌手の平野レミは長女。1986年没。

「2022年 『新版 レミは生きている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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