- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480510587
作品紹介・あらすじ
20世紀前半、黒人女性学者がカリブ海宗教研究の旅に出る。秘儀、愛の女神、ゾンビ――学術調査と口承文学を往還する異色の民族誌。解説 今福龍太
感想・レビュー・書評
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Hurston, Zora Neale: 1891-1960 (池田光穂)
https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/020206hurston.html
ヴードゥーの神々 ゾラ・ニール ハーストン(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480510587詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルにもある南米の宗教・ヴードゥー教の他、その背景にあるジャマイカやハイチの社会や生活、そして歴史を紹介している。
ヴードゥー教と言えば〝ゾンビ〟が注目されがちだが、この本ではそれについてはヴードゥーのいち側面、儀式の一部として、他の結婚や葬式といった物事と同じように扱われている。そしてヴードゥーもまた、ヨーロッパ人たちによって、奴隷としてジャマイカやハイチに移住させられて来たアフリカ人たちやインド人クーリーたち、中国人たち、そして彼らの子孫が紡いできたカリブ社会の一部なのだと感じた。
この本を読んだのは発売されてから一ヶ月後くらいの時期なのだが、もともと1938年に書かれたものということだ。なのでこの本で描かれているジャマイカやハイチの社会は、現代よりもいささか旧く感じられるかもしれない。正直、この中で描写された社会に渦巻く差別的な空気が、少しでも和らいでいるように願ってやまない。
しかしここで登場したカリブの人々の言葉や息遣いは、間違いなく彼らにしか出来ないものだし、そんなかけがえのないものが今でも残っていることを願うのみだ。