タイムバインド: 不機嫌な家庭、居心地がよい職場 (ちくま学芸文庫 ホー 24-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (539ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480511256

作品紹介・あらすじ

仕事と家庭のバランスは、時間をうまくやりくりしても問題は解決しない。これらがどう離れがたいものなのかを明らかにした社会学の名著。解説 筒井淳也

感想・レビュー・書評

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  • 職場が居心地いいと、家庭にいたくなくなってくる。ワークライフバランスっていっても、圧倒的に職場が強く、巧妙で、家庭はいつも負けてしまう。
    仕事(第1シフト)、家事・育児(第2シフト)、さらに第2シフトで疲弊した自分の精神を落ち着かせる第3シフト。第1シフトで家庭のようにたっぷり時間を使い、第2シフトの時間は効率性が重視される。子どもがいつもそのツケを支払うことになる。

  • 年間ベスト級の名作

  • 【書誌情報】
    『タイムバインド──不機嫌な家庭、居心地がよい職場』
    原題:The Time Bind: When Work Becomes Home and Home Becomes Work (1997)
    著者:Arlie Russell Hochschild(1940-)
    訳者:坂口 緑
    訳者:中野 聡子
    訳者:両角 道代
    解説:筒井 淳也
    カバーデザイン:大倉 真一郎
    シリーズ:ちくま学芸文庫
    定価:1,760円(税込)
    Cコード:0136
    整理番号:ホ-24-1
    刊行日:2022/06/09
    判型:文庫判
    ページ数:544
    ISBN:978-4-480-51125-6
    JAN:9784480511256

     「会社のファミリーフレンドリー制度が充実していても利用しない人がいるのはなぜか」。ホックシールドが調査したある企業ではこうした重要な謎に直面していた。その謎を解明すべく、工場労働者から会社役員まで男女問わず様々な人にインタビューをしていき、分かったのは「職場にいる時間を減らしたくない、家にいたくない」という社員の存在であった。日本でも問題とされるワークライフバランスはただの時間の配分の問題ではなく、仕事と家庭の根源的な構造に起因するものであることが見えてくる。私たちにこのパズルを解く手段はあるのか? 社会学の名著が問いかける。
    [https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480511256/]

    【目次】
    目次 [003-006]
    謝辞 [009-012]
    はじめに [013-025]


    第I部 時間について――家族の時間がもっとあれば
     第一章 「バイバイ」用の窓
     第二章 管理される価値観と長い日々
     第三章 頭の中の亡霊
     第四章 家族の価値と逆転した世界

    第II部 役員室から工場まで――犠牲にされる子どもとの時間
     第五章 職場で与えられるもの
     第六章 母親という管理職
     第七章 「私の友達はみんな仕事中毒」――短時間勤務のプロであること
     第八章 「まだ結婚しています」――安全弁としての仕事
     第九章 「見逃したドラマを全部見ていた」――時間文化の男性パイオニアたち
     第一〇章 もし、ボスがノーと言ったら?
     第一一章 「大きくなったら良きシングルマザーになってほしい」
     第一二章 超拡大家族
     第一三章 超過勤務を好む人々

    第III部 示唆と代替案――新たな暮らしをイメージすること
     第一四章 第三のシフト
     第一五章 時間の板挟み状態を回避する
     第一六章 時間をつくる


    注 [456-488]
    参考文献 [489-515]
    訳者あとがき(二〇一二年三月一〇日 坂口緑 中野聡子 両角道代) [516-525]
    文庫版訳者あとがき(二〇二二年四月二九日 坂口緑 中野聡子 両角道代) [526-528]
    解説 家庭とは何か? 仕事とは何か?(筒井淳也) [529-539]

  • 366.38||Ho

  • なぜファミリーフレンドリーな制度が使われないかを追求し、実は「家庭より仕事がよい」と考える人が多いという事実を解き明かしている。経営層はより自分が得意で評価をされる仕事の場を気に入っているし、工場勤務者もお金がもらえ、気ままな話し相手もいる職場にいたがる。会社が居心地がよい場所になればなるほど、人は家庭にいなくなる。しかし、手放しで仕事だけを楽しんでいるわけではなく、子どもに対する罪悪感というタスクも請け負っている。
    筆者はこの状況を望ましくないものと捉えている。子どもが犠牲になっていることを指摘し、より子どもを中心とした社会の実現を提案している。
    この指摘は耳が痛いものだ。私自身、何の評価も達成感もない育児より、成果がわかりやすい仕事の方が楽だからだ。しかし、それで本当に子どもが「犠牲」になるのであれば社会のあり方を改めないといけないだろう。

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著者プロフィール

A.R.ホックシールド
Arlie Russell Hochschild
1940年米国ボストン生まれ。カリフォルニア大学バークレー校名誉教授。フェミニスト社会学の第一人者として、ジェンダー、家庭生活、ケア労働をめぐる諸問題にさまざまな角度から光をあてて、多くの研究者に影響を与えてきた。翻訳書に『管理する心――感情が商品になるとき』(世界思想社)、『セカンド・シフト』(朝日新聞社) 、『壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』(岩波書店)がある。

「2022年 『タイムバインド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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