心とからだの倫理学 ――エンハンスメントから考える (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480684066

作品紹介・あらすじ

整形で顔を変えてしまってよいのか。能力や性格は薬によって変えることの是非は。変化によってあなたと社会はどうなるの? 倫理学の観点から論点を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 美容整形、ドーピング、遺伝子操作など私たちのからだを変えることのできる技術が溢れている。それらの利用は良いことなのか悪いことなのか。本書では、このような正解のない問いについて倫理学的な観点からの考え方をやさしく説く。読者自らが考え続け、自分なりの答えをみつける一助に。

    2024年1月~3月18日期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00599652

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」

    クラブ・サークル名 フットサル部
    請求記号 Ti-381
    所蔵館 2号館図書館

  • "けれど犠牲が大きくない限りでは、おかしいことはおかしいと主張する態度、おかしいと主張して抵抗する人を遠くから冷笑するのではなく、暖かく応援する態度も持ってほしいと思います。そして何がおかしいことなのかについては、自分に有利なように現実を歪めたりすることなく、本当にぎりぎりまで探求し続けてほしいと思います。場合によっては誰かに相談してみるのもいいでしょう。実際に何をしているのかというのと同じくらい、このような誠実な態度を持っているかどうかは、倫理的であるために重要なことなのです。"p60

    第六章 「性を一致させる」 は読む前身構えていたのだが、かなりきちんとした(つっこみどころのない)内容だった。吉野靫が多く引かれていた。あとがきに内容について森山至貴から助言を受けたと書かれていて納得した。もしトランスの扱われ方について不安を感じる方がいたら、本書は問題ないと思います。

    ここ10年ほどはずっと、第一章の論点2(美容整形は私だけの問題か)で展開されているようなことをぐるぐると考え続けているので、掘り下げていきたい。

  • ゼミなどの文献として採用するにはもってこいの一冊である。美容整形、ドーピング、サイボーグ化、認知能力の向上、感情抑制、性別移行、遺伝子操作、の7つのテーマについて、応用倫理学の視点から肯定派、否定派それぞれから為される意見が列挙されている。また、これらの問題を当事者の視点、周囲の視点、社会の視点、の3つの視点からダイナミックに検討する必要性についても言及されており、それぞれのテーマについてどう考えるかを議論し合うことで、理解がより深まるだろう。

  • 美容整形のところをゼミで読んでみたけど、非常に練られていて応用倫理入門にとてもよい。おすすめ。

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    私のようなものにいただきましたー。めくった感じとてもよいので、後期の2回生ゼミはこれ読むことに即決。



  • 美容整形、ドーピング、サイボーグ化、スマートドラッグ、遺伝子操作、薬物によるモラルエンハンスメント……。人間の心や身体を人間の手で作り変えることを倫理学で考えよう、という本。

    【一部引用】「もちろん皆が認めた法律やルールを自分勝手な理由で破るのは悪いことでしょう。しかしそのことと、法律やルールそのものの倫理的な是非を問うことは別のことです。その意味では『ドーピングはしてもよいか』という問題に『ルールで禁止されているからしてはいけない』といって終わりにするのではなく、『そもそもそのルールは倫理的に正当化できるのか』が本章のテーマになります」

    「倫理の問題はどう考えても、どう答えても、本当にこれでいいんだろうかと心の中にモヤモヤが残ります。モヤモヤし続けることは不快です。それでもそのモヤモヤをなかったことにしないのはとても大事なことです。それは他者の声を聞くことであり、自分の声を聞くことです。倫理的に良くあるとは、正解を出すこと以上に、そうした声に対して誠実にあらんとすることに存していると私は思っています」


    倫理とかモラルは他人を絶対唯一の正義でぶん殴るためにあるんじゃない。
    それを踏まえてドーピングの問題をもう一度考えてみてもいいと思う。
    既存の問題点はこの本の中にかなり良く整理されています。

  • 面白かった。
    エンハンスメントという言葉(ジャンル)があるのも知らなかったし、各トピックにそれぞれ問いを立てて是非を検討していく作業は新鮮だった。
    美容整形、ドーピング、遺伝子操作など、近未来・ディストピアフィクション作る上でも参考になりそうなテーマがずらり。

    どのトピックにおいても私はそこまで深く考えたことがなく「やりたいならやれば」「禁止されてるんだからやめとけば」程度の思考しか持っていなかったけど、個々人の選択が周囲・社会にまで影響を及ぼしうるということまで考えが至らなかった(周り全員整形したら私もしなあかんのかな的強迫観念など)

    性適合をめぐる社会のあり方についてはトランス女性への風当たりが強いこと、それはとりもなおさず強固なホモソーシャルの副産物であるということがはっきり書かれてあってよかった。
    個々人の選択でもありながら社会の問題でもある。思考を止めない意志を持ちたい。

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著者プロフィール

佐藤 岳詩(さとう・たけし) 1979年、北海道岩見沢市生まれ。京都大学文学部卒業。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。熊本大学文学部准教授を経て、現在、専修大学文学部哲学科准教授。専門はメタ倫理学、およびエンハンスメントを中心とした応用倫理学。著書に『R・M・ヘアの道徳哲学』『メタ倫理学入門――道徳のそもそもを考える』(勁草書房)、『「倫理の問題」とは何か――メタ倫理学から考える』(光文社新書)がある。

「2021年 『心とからだの倫理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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