- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480684110
作品紹介・あらすじ
うつ病、統合失調症、認知症、パーソナリティ障害――さまざまな精神疾患の症状や治療法を広く見渡し、さらには「そもそも精神医学とは何か」までを考える。
感想・レビュー・書評
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「精神医学という専門分野の全体像をお伝えすること」を目的と定める、おもに若者に向けられた新書である。代表的な病を大きく八つに分けて解説する第一部と、「精神医学とはそもそも何なのか」と題して精神医学を俯瞰して輪郭を探る第二部に分かれる。約200ページで、第一部が全体の四分の三近くを占める。
第一部の前半は統合失調症や自閉スペクトラム症、強迫症、PTSDなど、症状の詳細はともかく名前だけは聞いたことがあるようなポピュラーな病名がつづく。それらのなかには過去から名称を変更しているものも多く、旧称やその由来も併せて補足している。第一部の後半に挙げられる病には、社会的な要因が病と絡み合っているケースが多く、それだけに今日的な問題についても言及する場面が増える。第一部の全体を通して、どの程度の割合の人がそれぞれの病を経験するかも示しており、その身近さの程度をも知らされる。
第二部は「精神医学とは、対人援助にかかわる専門分野の一つ」としたうえで、精神医学の守備範囲の境界線の内側と外側を確認することでその輪郭を探る。つづいて「病気」と「医療」が相互的な関係にあり、病気の範囲が必ずしも固定されてはいないこと、それによるプラス面とマイナス面を明らかにする。最後はそれらを踏まえたうえで、精神医学の範囲が経済的要因も含めて私たちの価値観とつながっていることを示す。
著者があとがきで明かした、総論のあとに各論を述べる一般的な記載からくる退屈さを避けるために一部と二部の順序を逆転させたこと、「精神科医は内輪向けの話をしてしまう」という反省点からわかりやすさに留意したこと、という二つの工夫が狙い通りに功を奏していると思えた。個人的にはやはり、第一部の代表的な病に関する解説が読書前に期待していたとおりで有り難く、何となく知っているようで知らなかったそれぞれの病に関する基礎的な知識について得るところが大きかった。病気への偏見という点では、第一部の前半を中心に代表的な病の多くの発症理由はわからないことが多いという事実に、環境や遺伝の影響がかなり大きいのではないかと考えていた誤解を正されたことも重要な収穫だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
精神科の病気、障害について、ずっと気になるテーマではあった。お店に来るお客さんだったり、テレビに出ている人や、作家など見聞きすることは多い。いろいろな病名や特徴が断片的な情報として入ってくるので、もう少しきちんと分かりたい、と思っていた私にちょうど良い一冊。
病名が表す範囲、うつ病のこと、病気と正常の境界のあいまいさなど、誰もが接する可能性のあることがらについて、読みやすく書かれている。
実際にこういう人にこういう対応を、と具体例を求めるとなるともう少し範囲を狭めた本に進むのが良いだろう。 -
とてもわかりやすい語り口でした。
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ようこそ精神世界へ。そんな感じです。
ちくまプリマ-の良さがある一冊。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/776933 -
とてもわかりやすい総評、という感じ。社会的な文脈が精神医学の診断には大いに関わってくるという点、改めて考えさせられた。
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ざっくりと精神医学について知れる。知っているようで知らないことが多く興味深い。
あまり馴染みのない分野ではあるが噛み砕かれており非常に読みやすい。 -
精神医学の具体的な分類と内容から、そもそも精神医学の目的とはなにかまで語られた内容。
見聞きしたことがある内容もあり、比較的読みやすい。 -
わかりやすい精神医学の入門書。