- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480684592
作品紹介・あらすじ
悪口はなぜ悪いのかを問われた時、シンプルに「人を傷つけるから」といった理由が思い浮かぶかもしれない。たしかに子供のころに「そんなこと言われたら傷つくでしょ」といって、悪口をたしなめられることはあるだろう。ただしそれだと悪口の悪さを十全に説明できているとはいえない。たとえば、褒めたつもりなのに、悪く捉えられてしまった言葉は悪口とはいえないからである。
では、悪口とはなにか? それは人のランクを下げる言葉である。ある人のランクを下げて、この人はなめていいですよと合図を出すことで、他の人からも同じような扱いを受けるというところに悪口の問題点はあるのだ。そのため、相手が自分より下ということ、たとえば人間より下ということを指し示すため、ほかの生物を指す言葉が悪口では用いられることが多い。「なめくじ」「ザコ(雑魚)」といった言葉が悪口になりやすいのはそういった理由があるのだ。本書は悪口の根本を問い、それは他と何が違うのかを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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悪口ってなんだろう?
相手のランクを下げて溜飲を下げる。悪口と笑いは似て非なるもの。わかるようでよくわからない。
ただ、権力者が自分がランクが上と勘違いして横暴を働くような時は、悪口を言おう。これはよくわかる。小さな声でも、それをやめてしまえば世の中は酷いことになるから。みんな平等なんだよとこの本は言っているんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悪口とは何か?言って良いのか?悪いのか?受取方、場面、国、状況によって様々な変化がある「悪口」を紐解きます。家庭や職場、学校など悪口を聞かない日はないのかもしれせん。学術寄りではなく平易な表現のため中学生以上であれば問題なく読めます。
時には悪口がコミュニケーションを円滑に進める事もあり、全てが悪いとは言えません。ですがやはりこのご時世で悪口を平然と良しとするのは慎むべきです。かく言う私も日常的に悪口を言う癖があり、戒めに読んでみました。
昨今のSNSに関する誹謗中傷に関する事案についてもう一歩踏み込んだ記載が欲しいなと思いました。 -
悪口は、その人たちが共有している存在のランキングから、その対象のランクを下げて貶める行為である。
「悪口じゃないよ、意見だよ」
「率直な批評だよ。」
「冗談だよ」
なんと言われようと、そこにランクを貶める効果がある以上、それは悪口だし、受けた側は不快に感じるものなのだ。
腑に落ちた。
私がなぜ、悪口を言いたくないのか、なぜ、人から言われたくないと恐れているのかも、納得できた。
自分のなかに、人の優劣をつける存在ランキングが常にあって、自分がそのランキングのどこにいるのかが気になり、貶められたくないと感じている。
だから、他人の評価を気にして、悪口言われてないかが気になる。
貶められている側に共感して同情するから、言いたくないし、聞きたくないのだ。
悪口が何かの論考を通して、自分の問題にも気づくことができた。
優劣ランキングをなくす。
誰も誰よりも劣っていないし(違いはあっても)優れてもいない(違いがあっても)
感じてしまうかもしれないけれど、感じることと実際にそうかは別物である。
そうはいっても、悪口には仲間意識を増長させたり、権力者に抵抗したりする側面もある。
自分のなかの優劣ランキングを排除して、悪口と上手に付き合っていくことが大切。 -
#悪口ってなんだろう
#和泉悠
#ちくまプリマー新書
#YA
#読了
悪口を丁寧に分析して、悪口を言う側、言われる側、見聞きする側がどうすればよいのかと結論づける。パートIIの9、悪口ライセンスは納得したし背筋が凍るような気持ちになる。誰もが常にどの立場になる可能性を秘めているなぁ。 -
誤字があったから星1つ。
悪口はなぜ面白いのか。それは自分が無能であることに、自覚がある人が他人のランクを落とすことで優越感に浸れるから。こうやって人は同じようなランクの人たちがより集まるようになったのだろう。
権力者を引き下ろすイコライザーとしての悪口は多いに歓迎というスタンス。でも会社では自分に不利益しかないよね。
悪口は人間の性でありうまく付き合うしかないというもやついた結論。一貫して悪口はこういうものという説明。悪口を言われないようにするのは無理でも、それとうまく付き合いストレスを感じないようにする具体的な方法までは書かれていない。 -
悪口について哲学的考察が縷々述べられているが、人が他人と係わる限り悪口の種は尽きないことが再認識できた.人をランク付けすることは避けられないことだが、「弱者を踏みつけるために悪口を使うのではなく、強者に抵抗するために悪口を言うべきだ」との提言は、非常にしっくりくるものと感じた.
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悪口の概要が掴めた。これ作者がいっぱい本読んでまとめた的なタイプのやつだから、2〜3回読み直さないと自分のものになんないのか〜と思った。とにかく、悪口とは「何か、誰かと比較し、その評判、社会的ランキングを下げること」ってことでよろしい?
最初はすごい論理的だったのに、真ん中らへんからちょいちょい自我が入ってくるの関西人だなって感じがした。 -
分かりやすくて面白かった。自分や周りを上げたり下げたりしてしまうランキング思考から早く抜け出したい。すべてはヴァーチャルなのだから。