「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書 169)
- 筑摩書房 (2011年11月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480688712
感想・レビュー・書評
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予言の自己実現、世間と社会、「空気をよむ」
読み手の期待の仕方によっては尻切れトンボ?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しがらみ、世間体、空気、KY、いじめ。「社会」というのは、人間たちが勝手なことができないように、お互いにしばりつけあうシステムになっている。いわば、いじめやしがらみは必然。社会構造を科学的にアプローチしています。面白い。これを読んで「しがらみ」をなくしたい。そもそもあんまり「しがらみ」ないですが。
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さらっと読めるけれど、分かるのには私にはしばらくかかりそうかなあ。世間と社会の違い、しがらみの実態、孔雀の羽といじめのおきた時の集団の対処のしくみ、インセンティブの使われ方など、もっと突っ込んで調べてみようかなあという気になった。週末に最終講義があるそうなので、聴きに行ってみます!「目線をちょっと上げる」ことのきっかけになりそうでワクワクするなー!
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☆4なんか、こういう本久しぶり読んだらスラスラ読める。文学向いてないのかな。
高校生に向けて書いてある本だけど、内容は結構難しいと思う。心理学の基礎って言っても、あくまで山岸論法だし、俺が読んでもあぁなるほどねぇと思う。全体の語り口や内容はともかく、
いい内容の本である。
ここでいう「しがらみ」とは社会であり、もう少しつっこむとインセンティブ構造である。(インセンティブによって行動を決める)人は他人や環境によって行動し、その行動つながりから結果としての現象が存在する。だからといって、個人の心のあり方で(だけで) 現象はがある訳ではない。社会心理学基ずく簡単な行動原理を(しかし、一般的に知られていないような)わかりやすい現象引き合いに、説明し、社会と向き合う力となる本。 -
<視点を変えてみる。いろいろな考え方を知る。それ自体はよいことだ>
ちくまプリマー新書の1冊。若い人向けの新書シリーズだということを読み始めてから知る。
活字も大きめ、行間も広めで200頁弱。さくさくと読める。
以下のような考え方が紹介される。
・「予言の自己実現」=「君は出来る」と働きかけ続ければ出来る子になる、「うちの嫁は意地悪だ」と言い続ければ嫁が本当に意地悪になる(!)、といったようなもの。ポジティブな場合もネガティブな場合もある。
・インセンティブ=本書の主題の「しがらみ」。空気を読むという場合の「空気」と言い換えてもよい。本来はやる気を引き出す報酬のこと。本書では「自分が好ましく思う結果」を指す、広い意味で使っている。自分がこういう行動を取ると周りがどう反応するかがわかるのが「インセンティブ構造」。
・エミックとエティック=文化人類学的見地から、人々が「なぜ」その行動を取るのかを述べるのが「エミック」。その行動がどのような論理的合理的な帰結として生じたかを述べるのが「エティック」。
ざっくりいえば、世間って何だか得体が知れなくて怖いものだと思っているかもしれないけれど、こんな仕組みで動いている部分があるんだよ。そういうことがわかるだけで怖さが薄れるでしょう、という感じの本。
ふーん、なるほどと思って読めば、それでよいのかもしれない。
高校生や大学生向け、と最初に謳っている(社会人が対象外というわけではないが)。自分は想定された対象者ではないうえ門外漢なので、本書について感想(特にネガティブなもの)を述べることが適当なのかどうかよくわからないが、自分の印象としては、これを「科学」と言ってよいのかがまず引っかかる。考え方として知っておくのは有効かもしれないし、それで救われる若者がいればそれはそれでよいのだが、でも「役に立つ考え方」=「科学」ではないだろう。紹介されている事例は「証明する」というより「解釈する」類の話が多い。そうかもしれないが、そうじゃないかもしれない、というタイプの話だ。裏に膨大な裏付けがあるのだとしても、本書に紹介された内容だけから読み取ることはできない。
本書のタイトルの「科学」という言葉には、筆者が本書中で使う「根岸の里のわび住まい」と似た印象を受ける(*筆者は、この言い回しを何だかわかったような気になるフレーズの例として使っている)。「科学なんだ、それでいいんだ」とそれ以上考えず盲信する可能性だってある。水戸黄門の印籠じゃあるまいし、「科学」といえばよいというものではない。
わかりやすい話には心地よさがあるが、わかりやすすぎる話は常に危険を孕んでいる、と私は思う。「科学」はむしろ、疑い続けるものなんじゃないか。
こういう考え方もありだ、じゃ他の考え方もあるかな・・・、という方向につないでいく方が建設的であると思うし、この本ではその部分が弱いと感じた。
*でも「インセンティブ」の話はおもしろかったのだが。この話、もうちょっと聞きたかったな。これは自分のなかで宿題として記憶に留めておこう。
*本書の主題とは別に、冒頭のジントニック問題でいきなり躓く(^^;)。「左にジン、右にトニック(水)があります。匙でジンを掬って水に入れ、よくかき混ぜてから1匙、ジンに戻します。右に入ったジンの量と左に入った水の量はどちらが多いか? それとも同じか?」というもの。
自分の数学センスのなさにちょっとがっくり。自分のアタマで考えることは大切だが、バグがあったらそこでいちいち躓くわけで。だからベンキョウして自分のバグは自分で1個ずつつぶしていく(=躓かなくてよいところでは躓かない)努力をしなくちゃな、と思うのでした。とほほ。まぁそういう意味では気づきをくれた本書に感謝、ではある。
*ジントニック問題の出題者はノーベル賞経済学者シェリング。ゲーム理論の人。ゲーム理論的な考え方は確かに自分は得意ではないかもしれない・・・。むぅ。 -
「しがらみ」には捕われたくない。多くの人がそう思う中、実は社会や世間の中で知らぬ間に私たちは「しがらみ」を発生させるような状況に追い込まれているのだ。例えば、よく出てくる報道の数字。数字の精査もしないで、まるであるがままに捉えてしまうとマクロな目でしか見えない「心でっかち」になってしまうのだ。そうした誤解を生みやすい人の性質を汲み取り、それを社会の中で当てはめると、空気・協調という話になってくる。本著ではそうした世間の生き方を示し、そこから抜け出す社会の捉え方も端的に示す。
本著の後半にある「世間」と「社会」の比較が面白い。私たち人間は共に生きることを選択して以来、人間という種族を生きながらえるために「世間」という協調を集団の中に取り込んだ。しかし、産業化が進み、人が人に頼らなくても生きていける中で、「世間」を飛び出して自由を獲得できるようになった近現代では、法や契約に基づいた「社会」を作り出し、人々の生き方の明確化を計ったのだ。
しかし、人は社会との関わりをなしに幸せを感じることはできない。そう思うと、愛や友情などは社会を超えた人のつながりを示している。結婚は「社会」の決めた規約であるが、夫婦生活は空気が読めないと崩壊するのだ。とかく人は難しい生き物だ。 -
サクッと読めたし発見あるんだけどなんか目からウロコでもないというか。他の山岸本読もう
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わかりやすくて、面白かったです!
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「しがらみ」や「空気」などの「社会」がどのような構造なのかを説明している本。
高校生をターゲットに書かれているので、過度に求められる「空気」を読むことについてその「空気」がなぜ出来、どのような効果があるのか、について解説されている。
非常に分かりやすかった。
高校生だけでなく「社会」人にも、ぜひ読んでほしい本。 -
心でっかちの精神主義について。何をすると何が起こるかということを決めているのは私たち自身が他の人の行動に反応する結果。社会は私たち自身が作りだしているしがらみ。赤ちゃんをぐるぐる巻きにして世話をするスウォードリングの話は面白かった。社会に出るのがこわい若者たちへ向けられた本だそうだけれど、社会への怖さが薄らいだかというとわからない(とっくに社会人だからかも)?けれど自分のあたまで考えて行動しようと思えるきっかけに。