- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480689320
感想・レビュー・書評
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入門書として
哲学すること
原点となるところが分かりやすい
中学生向きなので
何も知らない大人たちへの入門書
易しいだけではなく 興味が持てる内容詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そうそうたる大人による執筆。
コンセプトは、中学生向けに大学並みに深いことを伝える、というものだろう。
第2巻は、「考える方法」がテーマ。これも、人の数だけあると言える。茂木氏に倣えば、「脳の取説」は、脳の数だけある。
永井均 私が存在することの意味・・・私にしかできないのは、私の人生を生きること、それは私の人生と同じ内容を生きることではない
・「誰にとっても」の視点に立つこと自体が本当はできないじゃないか
・「私」の2つの意味=他人を含めた各人がそれぞれ自分自身のことを指す「私」+世界でただ一人しか存在しない、唯一現実の〈私〉
・〈私〉という人間が存在する
・複製された場合、分裂した場合
・〈私〉の死によって失われる存在
・死こそが最も「自己固有」・・・ハイデガー
池内了 それは本当に「科学」なの?・・・ニセ科学への処方箋が必要
・「ニセ科学」≠科学=要件=合理性+論理性+実証性+普遍性+無私性+懐疑主義+公有性
・第一種:心のゆらぎにつけこむ 例:占い
・第二種:物質=物品の販売において乱用・誤用・悪用・盗用 例:マイナスイオン
・第三種:シロクロが不明確=複雑系 例:地球温暖化
・ニセ科学が広まる理由=極端な態度+観客民主主義+科学リテラシーの欠如+時間の加速+欲望の爆発
・ニセ科学への処方箋
ー懐疑の精神
ー予防措置原則
ー科学者の見分け方
管啓次郎 アメリカン・インディアンは何を考えてきたか?・・・「国民国家」的な尺度でなく、ヒトという「種」の文明と地球上への拡散という視点から考える癖をつける
・「七世代後を考える」という掟
・「土地の人々」から学ぶ=土地に対して「物質的所属」+「霊的所属」+「審美的所属」
萱野捻人 なぜ、人を殺してはいけないのか?
・「死刑」を哲学してみる
・カントの定言命法「時と場合にかかわらず○○せよ」、仮言命法「○○だったら、☓☓するな」
・道徳は、理由をつけて正当化できない。
・道徳は、場合による
上野千鶴子 ジェンダー研究のすすめ・・・オリジナリティを追求しよう
・ジェンダーとは=公私×男女の実践
・自分のニーズの主人公=当事者主権
・学問=他人に自分の経験を伝える×他人と共有できる言葉
・文学=他人に自分の経験を伝える×自分の言葉
・学問=オリジナリティ=違和感=ノイズ=情報=問いと勉強=教養=答え
若林幹夫 社会とは何だろう 入門一歩手前の社会学・・・社会学は人間を豊かにする
・社会科≠社会学
・「つながりとかかわり」が基本
・社会と「私」
古井由吉 言葉について
・言葉の「事柄」からの有利
・平和と早口
・言語感覚の磨き方・・・言葉を使い分ける
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中学生からの大学講義2は「考える方法」と題して、
①永井均:哲学者
②池内了:天文学者、宇宙物理学者
③管啓次郎:比較文学者、詩人
④萱野稔人:哲学者
⑤上野千鶴子:社会学者
⑥若林幹夫:社会学者
⑦古井吉吉:作家、文学者
の7名の講演が収録されている。
横断的な領域を専門としている人が多いため、専門的な知識を詰め込むのではなく、知を使ってどのように横断領域に補助線を入れるのかという話が多かった。
また、講師自身の問題意識を提示して、それに対する解決案を提示することで、学生の思考を促すような話もあった。
講演なのでハイペースで読んだ方が良かったかもしれないが、深い内容を含む話が多かったので、時間をかけて精読した。
講演では話を聞いて一つでも二つでも引っかかるところがあれば良い。しかし、講師は原稿を用意し、また原稿はなくてま話す内容を吟味し、自身の研究のエッセンスを伝えようとしているはずである。
それを講師一人ひとりについて、確認していく作業は刺激になり、得るものも多かった。
学問の世界には先人の膨大な研究の積み重ねが既にある。その巨人たちの肩に乗って、さらに高い目線で物事を考察する。未知の領域に挑戦する。
いずれの講師も「知の格闘」の軌跡が滲み出る講義であった。 -
中学生向けに書かれた大学講義の本.僕はいい大人ですけど読みましたw
哲学,科学,社会学,文学と各分野で活躍してる方々は中学生相手に講義を行ったものが収録されておりました.なのでとても平穏に書かれております.
こういうの読んで興味をもって次に進むにはもってこいの本では無いでしょうかね. -
内容によって難度が違うけれど、噛みごたえがあって面白い。
中でも考えさせられたのは、「なぜ、人は殺してはいけないのか」の考察。
私が学生時代にも、耳にしたタイトルだけど、同じ人なんだろうか?
「言葉について」も良かった。
言葉と言葉遣い。人によって変えることは当然だという話。確かに。
また、時代による言葉遣いに触れることの大切さ。
これも、確かに。
知識を得ること以上に、考えることは必要だけど、なかなか軽視されがちなポイントである。
しっかりと向き合えると良いのだけど……。 -
「世の中には、言葉で表現できないことや明確に答えられない問題がたくさんある。簡単に結論に飛びつかないために、考える達人たちが、物事を解きほぐすことの豊かさを伝える。」
目次
“私”が存在することの意味(永井均)
それは、本当に「科学」なの?(池内了)
アメリカ・インディアンは何を考えてきたか?(管啓次郎)
なぜ、人を殺してはいけないのか?(萱野稔人)
ジェンダー研究のすすめ(上野千鶴子)
社会とは何だろう―入門一歩前の社会学(若林幹夫)
言葉について(古井由吉) -
学問の入り口
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一つ一つの講演は、どれも分かりやすく説明されていて、普段馴染みのない世界を教えてくれる。
興味深く面白かったけど、馴染みがないからこそ読み進めるのに時間がかかった。多分、1年以上前にたまたまお勧め本として紹介されてて購入したのに、やっと1冊。中学生向けとは思えないけど、中学生でも分かりそうなくらい丁寧に、大学の講義のほんのさわりを教えくれてる感じ。
『なぜ人を殺してはいけないのか』が印象的。考えたこともなかった。理屈っぽく聞こえるけど、確かに考えさせられる。この考えたこともなかったことに気づかせてくれるのは、読書のいいところだと改めて感じさせてくれた。
ついつい、好きなジャンルばかり読んでしまうけど、たまにはこういうのも読もう。まずは、残りの4冊もゆっくり読みたい。
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2021年11月期展示本です。
最新の所在はOPACを確認してください。
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00516192 -
考えるヒントがたくさん!
中学生に理解できるとは思わないが!