定本尾崎翠全集 下巻

著者 :
制作 : 稲垣 眞美 
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 48
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480710925

作品紹介・あらすじ

旧全集の刊行から二十年。新たに発見された創作や映画台本の生原稿二七〇枚をはじめ、未発掘だった少女小説三十三編を網羅した待望の決定版全集。尾崎翠とその文学の知られざる全貌が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 『少女世界』に掲載された少女小説32篇が収録されていて凄い。発掘者が解説(「尾崎翠と少女小説」)に「これまで創作的にはほとんど空白期であると思われてきた(中略)実態がかなりの程度明らかにされた」と記しているとおりの一群。後期二〇篇について「題材や構想、プロット、文体等においてより多様な試みがなされ」中には後年の主な作品のモチーフの萌芽がみられるものもあり「尾崎翠の表現世界の成り立ちを知る上でも見逃せないものがある」と語っている。自分はコミカルな「三人の落としもの」清廉な印象の「アベマリア」が良かった。
    他に鳥取に帰郷してから書かれた文章の内、「新秋名果」の回想に語られるユーモアたっぷりのやり取りや、詩情に満ちた「春の短文集」、極めて短い文章の内に鮮やかな物語が感じられる「もくれん」(末尾、「建物の外に出ると、校庭の大気の中には暖かい晩春がゐて、私の背中に呼びかけた。――ハロオ、センチナウタヨミ。羽織ヲヌイデ夏ノウタヲ支度シナサイ。」は、一篇の瑞々しい情景が思い描かれて素敵だ。)叶わないことだけれど、もっとこの人の文章を読みたいとつい思ってしまう。

  • 座談会を収録してくださってありがとうございました。お蔭で持論の補強ができました。

  • 烏兎の庭 第四部 書評 11.24.12
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/bunsho/midori.html

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著者プロフィール

1896年鳥取生。女学校時代投稿を始め、故郷で代用教員の後上京。日本女子大在学中「無風帯から」、中退後「第七官界彷徨」等を発表。32年、病のため帰郷し音信を絶つ。のちに再発見されたが執筆を固辞。71年死去

「2013年 『琉璃玉の耳輪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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