白いひつじ

著者 :
  • 筑摩書房
3.90
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本棚登録 : 841
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804235

感想・レビュー・書評

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  • 主人公がひとしおに穏やかですね。凛一はしたたかだし、桜蔵はすぐ感情的になるけれど、今作の鳥貝くんはとても純粋で、彼の心が揺れるたびかわいい!と思ってしまった。そりゃ寮生たちも可愛がりますよ。
    扱うモチーフは突き詰めればどれもこれも重いけど、それを重くも軽くもしないのが長野まゆみの上手さだなあ。ゆったりと時間が流れていくおかげで話自体はさらっと読めてしまうけれど、会話ひとつでもものすごく奥深かったりする。しかしわかりやすい。絶妙なスパンごとに、このままいけない展開になるのかと冷や冷やさせられた。
    百合子のすすり泣きには負けました。鳥貝くんの涙は言うまでもありません。

  • 好き!ミステリの技法(最後にネタばらし)で描写されるBL当たり前に好き。続きが読みたくなる。

    以下ネタバレ。
    安羅の容姿について具体的に描写があったあと、百合子が同程度の美貌の持ち主であると白熊のセリフでさりげなく表現するのさすが〜と思う。
    あと安羅が百合子はキス上手いと言ったり、多比本が安羅なら裸で抱き合う方が気持ちいいというのもなんで知ってるんだろう?(すっとぼけ)
    まあ安羅はヘテロの示唆があるけど、百合子と鳥貝以外にもメンバー間で何か話ありそう(作れそう)なので欲しいです。

  • 図書館で見かけ、題名が気になって借りて読んだ。
    白いひつじとは何なのか?人間関係も含め、謎解きみたいな青春小説。
    印象に残った文章
    ⒈ 世の中にはいろいろな生きかたがあって、正解なんてものはないんだって
    ⒉ 坊主はツバメがいっぱいいる春の海辺で生まれたんだ。
    ⒊ 最初から、ひつじは白だけなんだ。

  • 男子大学生が男子寮のなかでヤイヤイする話かと思ったら全然違った。自分探し系やった。しかも精神的にだけじゃなくて物理的なやつ。
    (むしろ寮の中で主人公がヤイヤイされる(?)みたいな展開やったらもっと星の数は少なかったわ。)
    長野まゆみなので、寮や街並みはとてもおしゃれだし、料理はうまそうでした。それに珍しく(?)きちんと話が解決して終わってて読後感もすっきり。
    しかしこの話で同性愛の要素はなぜ必要だったのか…?と思ってしまうわたしはもうトシなのでしょうね。10年くらい前に読んでたらもっとときめいたと思います。

  •   
    『進学のために上京した鳥貝は、大学で出会った学生にある男子寮を紹介される。
    二階建ての洋館に住まう〈おとな〉な男たちに、17歳の鳥貝は翻弄されるばかり。
    揺さぶられる気持ち、蘇ってくる微かな記憶……。
    生意気で才気溢れる青年たちと素直で愛らしい少年が紡ぎ出す春のような物語』

    あらすじの”微かな記憶”を見て「また記憶喪失系主人公!?」と思いました。

    グリーンウッドみたいな奇妙で楽しい寮生活が始まるのかと思いきや
    入寮前のごたごたが軽くミステリーで、途中から2時間サスペンスのような展開に。
    そしてそのままハイスピードで秘密が明かされて終わりかと思わせといてのBL展開…

    一癖ある美形ばかり登場でちょっと食傷気味になりました。
    顔がきれいでセンスが良くてスタイルもいい男が多すぎるなあ。

    あと最初から最後まで百合子(男・苗字)の行動が理解できなくて
    鳥貝同様イライラしてて、その理由がわかってもまったく好きになれなかったので
    その辺はファーストインパクト最悪の鳥貝と同感だわーと思ってたのに
    最後の最後で鳥貝が百合子をに「一目ぼれ」してたのかもしれない
    という記述があって、裏切られた気分になった(´v`;)

    鳥貝はノーマルのままがよかった。
    百合子はがっつり「鳥貝が欲しい」んだから鳥貝がOKなら両想いだもん。。。
    あと百合子が鳥貝の死んだ兄の夏目に恋してなかったとか
    鳥貝を夏目の代わりに想ってることはないとか、うそ臭い(笑)
    鳥貝自身には両手で数えるくらいしかあってない癖に。

    でも寮に使われている洋館がの描写は素敵過ぎる。
    母仕込みの鳥貝の野菜オムレツもおいしそう。
    こんな寮で性格のおかしな美形に囲まれた(はぐまさん…)共同生活なんて
    すごく楽しそうだな~と、ラブ抜きでそっちの方が読んでみたい。
    鳥貝の料理本とか白熊さんのパンの本とかもいいなあ。

  • 近いほうの図書館(11.06.12)

    長野まゆみの文章はすっきりしていて読んでいて涼しい。
    BL的なものが読みたい気分だったので
    いろいろな意味でタイムリーな1冊だった。

    途中まで百合子は絶対幽霊やと思っていたw
    だってあまりにも神出鬼没なんだもん。

    豆乳のオムレツ、どこかにレシピないかなー。
    (11.06.25)

  • ずっと長野作品を読み続けていますが、この作品は今までの長野作品と何か違うなと違和感を感じました。それが何なのかなと思っていたら、結末がきっちり着地してしまってるところかなと・・・。あとは括弧書きの注釈のようなものが会話の随所に使われていて、長野作品のはずなんだけど、別の作家が書いたもののような感覚でした。以前の長野作品は「少年」を装置としていましたが最近の作品は「死者」を装置として盛り込むことが増えているように感じますが、今回登場した死者は軸として扱われているにも関わらず焦点は主人公の性癖に行ってしまっているように感じられてしまい、主人公の涙も動揺もいまいち共感できませんでした。もしかしたら私が年を取って、感じ方が変わってきたからなのかもしれませんが、読み終わってすべてが解決してしまっている展開に虚しさを感じてしまいました。もうちょっと毒が欲しかったです。

  • 高校生の頃に読んだものをもう一度読み直し。

    そういえばこういう話だったな、と思うと同時に、私はこんな"洒落た"大学生にはついぞなれないまま4年間を過ごして卒業し、社会人になってしまったなと思いました(その今ですらここに登場する彼らよりよほど子供っぽいのですが)
    具体的な内容をほぼ覚えていなくてもスルスル読めたのは一度読んでいるからというのもありそうですが、そもそも読みやすい文章なんだと思います。


  •  幼少期の手品シーンとエビローグでの種明かしが繋がった、明かされるまでは、とても不思議な物語だった。大学学生、下宿、郷里やお店の様子、浜、海など、風景が匂いたつようで読んでいて心地よい。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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