おまじない (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.39
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本棚登録 : 2960
感想 : 296
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804778

作品紹介・あらすじ

「人はいなくなっても、言葉は残る。
誰かの言葉に縛られる絶望は、誰かの言葉に守られている希望に替えていけばいい。
本書の物語は、そう力強く告げている。」
――文月悠光(詩人)

「「燃やす」を読んで、自分の中にいた小さい頃の自分を思い出して泣きました。」 (読者)
「誰にも知られない苦しみによりそってくれる、おまもりみたいな本」 (読者)

大人になって、大丈夫なふりをしていても、
ちゃんと人生のページをめくったら、傷ついてきたことはたくさんある――。
それでも、誰かの何気ないひとことで、世界は救われる。
悩んだり傷ついたり、生きづらさを抱えながらも生きていく
すべての人の背中をそっと押す「魔法のひとこと」を描いたキラメキの8編。

「あなたを救ってくれる言葉が、この世界にありますように」――西加奈子

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の「ほらね」と一緒に「私がこんな見た目だから」が燃えました。
    男性から嫌な目に遭わされるのも全部全部、そういう雰囲気を出してしまっている私のせいだって、髪を切って、口を悪くして、必死に防御してたけど、もうやめられます。
    本当に読んでよかった。

  • 短編集。
    自分に照らし合わせることができたのが「孫孫」。ストンと心に落ちて、腑に落ち、そして少し心が楽になり、進みたい道が見えた気がする。
    私も自分の係をつとめよう。しんどい義務感とか周りを騙すためではなく、思いやりの心からくる努力。それを精一杯つとめよう。

  • 思っていたより刺さるフレーズはそんなになかったけど、軽い読み口で読みやすかったな。短編集なのでどれもそんなに深く印象には残らなかったけれど、唯一今の自分に刺さるなぁとなったのはやっぱり『マタニティ』だな。下衆で、人間的にどうしようもなくて、立派な母親になれそうになくても、生きていくしかないのだな。

  • 久しぶりの西加奈子さん。
    人の心や内面を描くのが上手だなぁといつも思います。
    おまじないの中で好きだった作品は、孫係。

  • 初めて西作品に触れた
    人の心を上手く表現して、納得するところが多々あった
    小品6話
    「おまじない」はどこから
    最後のドラゴン•スープレックスからだろうか

  • 見た目と心は裏表。

    ってな事で、西加奈子の『おまじない』

    燃やす
    いちご
    孫係
    あねご
    オーロラ
    マタニティ
    ドブロブニク
    ドラゴン・スープレックス

    の短編集

    久々に西加奈子さん読んだ~

    西加奈子さんの生み出すキャラクターは独特でキャッチー、憎い奴も居るけど愛らしい、誰も傷付けないキャラばかり

    内面の苦しさと闘いながら、ホントの自分を曝け出したい、心の叫びを共感して貰いたいって感情がフワッと見えると言うか、沁みて来るような感じ

    わし的に孫係、あねご、マタニティが沁みたなぁ

    2020年60冊目

  • 「あねご」を読んで、初めて物語に救われた気がした。「私だけじゃないんだ」と思えて涙が止まらなかった。「孫係」はいつでも心のお守りになるような話。

  • 短編集。自分に正直に生きていいというメッセージを受け取った。どの話もいいけれど特に「ドブロブニク」が好き。

  • 初めて西加奈子さんの本を読みました。

    8つの短編が収められています。
    中でも心に響いたのは「マタニティ」です。

    小説の中に下記のフレーズが出てくるのですが、「あぁ、今の自分と同じだなぁ」と思いました。

    ”僕、現役時代、ずっと強くないといけないと思ってたんです。強い男でないと、生きてる資格なんてないって。でも、そうやって強がれば強がるほど苦しくて、だからあんなものに手出しちゃって。自分が情けなかった。こんな弱い人間だったんだって、絶望しました。”(抜粋)

    ”自分が弱い人間なんだってはっきり自覚したら、ぼく、強がってたときよりなんていうか、生きやすくなったんです。自分の弱さを認めたら、逆に強くなれたんです。”(抜粋)

    なんか、コレ、ちょっとわかるって思いました。
    10年以上勤めていた会社を辞め、1年前に転職したのですが、今の職場で「私って弱いんだなー」って感じることが多々あるんですよね。

    仕事してると、イレギュラー対応や判断に迷うこと、自力で解決できない事が多々発生します。
    10年以上勤めていた会社では、ある程度自力で解決できたんです。(まあ、それだけ社歴が長ければ社内で人脈もあったしな)
    ところが、会社が変わったら全くで。
    (当たり前だけど会社が変わればルールが全く違う)
    誰かに聞きながら対応しないと、解決できない事ばかり。完全な弱者……。
    「あぁ、また誰かに聞かないと……」と、質問するのが本当に嫌で仕方なかった。「何でこんなこともわからないの?」って顔されそうで、毎回ビクビクしてたんです。自分が仕事出来ない人間って思われたくなかったんですよね。
    一時期「なんでこんにイレギュラーが多いんだ!」と会社を責めもしましたが(心の中で)責めたところで解決するでもなく。
    自分の感情を整理してみたところ、私が誰かに質問するのが嫌なのは、10年かけて積みあげたプライドなんじゃないか?って気づいたんです。
    あぁ、私は10年間一つの会社(そこそこの会社だと思う)でキャリアを積み上げ、一緒にプライドも積み上げてきたんだなぁ。そこを出たら自分ってこんなもんだったんだな、と。
    弱い人間だと認めたら、自分と係わる人に感謝できるようになったのです。(前より質問する時にビクビクしなくなった)

    家族はいる。(一人じゃない)
    会社では助けてくれる人もいる。(一人じゃない)
    そして弱い人間であっても人としての価値は変わらない。
    それが分かった時、気持ち的に吹っ切ることができました。
    それが強さであり、生きやすさなんじゃないかな。
    プライドってあればあるほど邪魔なものですね。

  • 女性の主人公達が、誰かの何気ない言葉や交流で様々なしがらみから解放される短編集。

    大きな変化が起きるわけではないけれど、主人公達の気持ちがふっと軽くなる感じで終わっているのがじんわりと良かった。
    どの物語も主人公にとって重要な意味を持つ言葉をくれた人、交流をした人が、用務員さんや遠い親戚、旅先の現地の人といったような関係性の薄い人達なのが印象的。
    自分のことをよく知らない人だからこそ、しがらみなく関わることができたり、何気ない言葉がシンプルに響くことってあるのだろうなと思えた。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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