- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480805034
作品紹介・あらすじ
アラフォーで母と二人暮らしの蓉子は、幼い頃家を出ていった父の訃報をきっかけに、東京中の坂を転居して回った父の足跡を辿り始める。坂好き必見のお散歩小説!
感想・レビュー・書評
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「ちくま」新連載のイラストを担当しました。 | 九ポ堂
(2017年12月01日)
https://www.kyupodo.com/posts/news13.html
ほしおさなえ - ほしおさなえ
https://hoshiosanae.jimdo.com -
坂が好きといったらなんか変ですが、基本地図が好き。
東京は確かに坂が多い場所。
それに特化した番組もあったような・・・
母と2人暮らしの主人公。
父親が異常に坂好き。離婚前も離婚後も坂のそばにばかり住んでいた。
父親が亡くなった後に主人公はその1つ1つの坂を巡ってみる事に。
坂のある地域の説明イラストが丁寧に書かれている。
細かすぎて、どこだかよくわからない感じで・・・
その土地を知ってる人ならわかるんだろうけど。
坂をとおして父親を、そして母親を知っていくお話。 -
東京の、坂のある場所にばかり住んだ父。
その坂を訪ねる娘を描いた作品。
坂と周辺の描写が非常に細やかで、行ったことのある場所は鮮やかに思い出せるし、行ったことのない場所でも思い浮かべて楽しむことができた。
そちらに力が入っていて、小説なのか坂についてのエッセイなのかわからなくなるほど。
物語は少々尻すぼみに感じたが、結論の出るものでもないものね…。
坂ごとに詳細な絵地図まで添えてあるのが嬉しく、どの場所も訪れたくなった。 -
関西で生まれ育った私は、25歳で関東に転居しました。当時の勤め先は五反田でしたが、地面の起伏が激しく、平らな土地は少なくて、とにかく坂だらけだと驚きました。それまで住んでいた大阪市内は、川を越える橋以外、ほとんど平らでしたから。坂ばかりだと、歩くのに体力が必要で、目的地が駅から10分以上だと出掛けるのが嫌になりました。
そんな私も、年月を経て、犬を飼ったりなどして、歩くのが大好きになりました。また、タモリさんが副会長を務める「日本坂学会」の会員であるとも自認しています(勝手に‼︎)。
主人公・蓉子の父親は、名前のある坂にしか住みたくなく、それも数年ごとに転居を繰り返すという変わった人でした。蓉子が8歳のある日、父親は出掛けたまま帰って来ず、そこから母娘二人で暮らしていました。そこへ父親の訃報が。後日、手渡された遺言書には、父親が歴代住んだ坂の名前が書かれていて、やがて蓉子は、その坂を一つずつ訪れるようになり──。
1章にひとつ(15章だけはふたつ)の坂をめぐる連作短編の形の小説です。変人といっていい父親の人生をなぞるようにして、少しずつ蓉子は何かを感じていきます。読むことで、一緒に歩いたような気になります。でも、せっかくだから、自分でも歩いてみたいです。だったら、文庫本になってからの方が持ち運びやすいなぁ…あ、でも、文庫になったら、せっかくの地図のページがすごく小さくなっちゃうなぁ…(-_-;)
ちなみに、ドキュメンタリー? エッセイ? と思えてしまうのですが、フィクションです(^_^) -
関東平野はずっと平地で広い印象
でも四ツ谷にいた時には、アップダウンがある裏道散歩が面白かった
階段があるような路地もあったし小さな神社もいい感じだった
歩いてみると分かるのかもしれない
物語を追いながら自分も坂を歩いた気分
知らない町だったけど楽しい
ネット上で辿ってみてもいいかも
百段階段
過去に華やかだった空間が今はもうない
…という事はよくある事だけど
ここは本当に現在も現役らしくて驚く
Google earthで確認してしまった
よいなぁーさすが東京っていうところかな
“桜の下にいるとき、わたしたちは時を旅するのだと思う” -
出版社に勤める容子は、母親と二人暮らし。引っ越し魔で名前のある坂にばかり住んでいた父親は8歳の時に家を出ていった。そんな父親が亡くなり、信託銀行の担当者から連絡がはいる。容子と母親に、いくばくかのお金と遺言書が渡される。容子への遺言書には、父親が今まで暮らした坂の名前が書いてあった。容子は、その坂を訪ねるようになる。
風来坊のような父親を思いながら訪ねる坂は、都内に実在する坂で、それぞれの坂の詳細なイラスト地図がついていて面白かった。初め手にしたときは、坂を訪ねて歩くエッセイかと思ったくらいだ。
ちょっと変わった読後感のある本だった。 -
月刊『ちくま』に2017年12月から20年6月まで連載された小説である。母と別れた後亡くなった父親が、転々と住所を変えており、それがいつも坂の近くだったので、娘に送っていたはがきを頼りに、父が住んでいた町と近くの坂を父の面影を求めて訪ね歩く単なるエッセイだと——ほぼ毎月読みながら——思っていた。
それにしては、坂のある街の地図をイラストレーターがきれいに描いているのは、街歩きのすすめと絡めた面白い企画なのかな・・・と漠然と感じていた所、なんと、この方はれっきとした小説家で、夫は思想家の東浩紀、父親も健在であると知って、すっかりこの小説に騙されていたことに気がついた。
それくらいうまい。これがネタバレと言われなければいいのだが。 -
父の遺言に坂の名前が記され、数年後に娘さんが坂を訪れるって話。
父の面影を探しに自分探しの様な…
坂の名前となった由来は「そうなのか」と思った感じ。
ある東京には坂道が多いが地形までは頭に入らない。挿絵として地図もあった近場に住んでる読者には興味が湧くかも知れません。
数回引っ越しを経験してる私、この本を読んで今どんな町になってるのかな…と思いながらの読了となりました。
エッセイみたいは小説でした。 -
文章は読みやすく一定のリズムでページがめくれる。実在の坂の付近の描写力も緻密で目に浮かぶよう。ところどころに差し込まれる地図は単体で見るととてもいいのだけど、物語の余韻をバツンと切って現実に戻してしまうので、途中から本編を全部読み終わってから読むようにした。オチはちょっと弱い印象。