ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815507

感想・レビュー・書評

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  • ブレイディみかこが、イギリスの老年労働者階級の実態を描いたもの。

    前作の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が子供世代の話だったのに対し、今回は老年が対象だったので、こっちの方が色々と身につまされるものがあった。

  • ウケる、と思いながら読んだ…。おっさんたちはもの悲しいけどガッツがある。カラッとした文章で、重いテーマでもしつこくない。
    BREXITは結局どうなるんだ…?
    「労働者階級」かー、私は労働者ではあるが、自分をそういう「階級」だと思うことは無いな。
    音楽の話がたくさん出てくるのも楽しい。ファッション用語はわからん。

  • 恥ずかしながらイギリスを上品で洗礼された、それでいてロックでスマートな憧れの国としか見ていなかった。

    イギリスだろうと、どの国だろうと「完璧に丁度良く平等」な国なんて存在しないという
    当たり前のことに気づいた。

    何よりもロック精神、地に足を付き、リアル労働者としての著者目線で語るイギリスは、非常にわかりやすく、読みやすく、面白く、
    学校の授業で使えばもっともっと世界を知ろうと思え励むと思うんだけどな〜と思った。

    すっごくわかりやすく、想像しやすい文です。

    日本はイギリスと同じ道を辿ってるとも言われるが、どうしたらいいんでしょうね。
    選挙に行くことといえど、行っても行っても思うように変化していない無駄足にも思えてくるような。

    ちなみに、同時期にイギリスの若者からの視点で「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を書かれたそうなので、次は真逆目線のそちらも読みたいです。

  • 僕はイエローでホワイトでちょっとブルーを読んでから、ブレイディみかこに興味を持っていたので、読んだ。

    イギリスのEU離脱選挙の前後の人々の生活や性格の変化をありのままに描いている。

    勉強になった。大きな決断をするときには、大きな論争があり、それが大きな影響を及ぼしてしまう。円満な解決策はないのかもしれない。そして、社会は自分が思っているよりも、理不尽で予測不可能なものなのかもしれない。

  • 著者の周辺にいる人々の事を描きながら現代のイギリス社会の考察になっていて興味深い。
    イギリスのEU離脱に賛成したのはベビーブーマーと呼ばれる世代で、ゆりかごかは墓場まで、国民保険制度の恩恵を受けた世代なんだそう。
    次のシビアな時代の波を受けたミレニアル世代と対立しているとか。
    リアルなイギリスという感じ。

  • 「ほらおめえ、ロボット犬までチョコだらけになってるだろ」ナタヤの息子(義理の息子)が手に握りしめているロボット犬もよだれかけで丁寧に拭いているジェフを見ながらふと思った。ロボットに仕事を取られるとか、移民に仕事を取られるとか、すぐ危機感を抱いて騒ぎ出すから「考えが遅れている」とか「排外主義者」とか叩かれるけれども、地べたでこうやって外国人の子どもの顔についたチョコレートを拭いてきたのはいつだって彼のような人々なのだ。

    おとなしく勤勉に働けば生きて行ける時代には人は反抗的になり、まともに働いても生活が保障されない時代には先を争って勤勉に働き始める。従順で扱いやすい奴隷を増やしたいときには、国家は景気を悪くすればいいのだ。不況は人災、という言葉もあるように、景気の良し悪しは「運」じゃない。人が為すことだ。

    英国の労働者階級には、歴代のパートナーとの間に複数の子どもがいるが、結局どのパートナーとも別れたので、子どもと一緒に生活していないおっさんたちがけっこういる。日本に比べると、英国は離婚のスティグマが薄い分だけみんな気軽に相手を変えて、子どもをつくる。そうなると別れるときに母親が子どもの親権を持つことが圧倒的に多い。シングルマザーが多い英国では、子どもと暮らしていない父親がたくさんいる国でもあるのだ。

    「私が彼を好きなのは、彼ほど私のことを好きな人はいないからよ」
    「彼と出会うまで、いろんな人と付き合った。でも、彼みたいに無条件に、何があっても、私がどんな顔をして何を着ていても、どんなバカなことをしても私を好きでいてくれる人はいなかった。そこまで好かれたら、好きになり返すしかないもの」

    ベビー・ブーマー世代は過去に生きすぎて、未来を台無しにしようとしている。ミレニアル世代は未来を怖がりすぎて、過去を見ていない。ジェネレーションXは何が過去にあったかを知っているし、時代の変遷をある程度見てきた者として、未来は作り変えることができるということを認識している。

    ベビー・ブーマー世代とミレニアル世代が喧嘩をする真ん中で、低く頭を下げて両陣営の唾がかからないように気を付けながら、育児や仕事や社会の細々した雑事や事務作業をこなしながら、淡々と地味に世の中を回しているのがジェネレーションXだ。というか、実際に社会の中心となってコミュニティーを回す年齢にあたる世代なのだから。

    「階級というのは、選択肢がとれだけ与えられているのかということなのよ。それが少なければ少ないほど、階級は下になる」

    そんなわけでいよいよEUを離脱する英国。
    政情がどうあろうと、時代がどう変わろうと、俺たちはただ生き延びるだけ。

  • サッカーのベッカムが日本でキャーキャー騒がれていた頃、イギリスでの評が
    「労働者階級にしては、まあ、ましね。」と

    労働者階級は、肉体労働とパブでの酒。
    向上心は無くて、暗いイギリスの冬に蠢く人
    という偏見を持っていました。

    この本を読んで、作者の愛が響いて来ました
    が、やっぱりオッサンはオッサン。

  • 語り口が軽快で楽しく読める。
    ただ笑い飛ばせる話ばかりでもなくて、イギリスも大変なんだな〜としみじみ思った。

  • EU離脱に投票したおっさんたち。
    ベビー・ブーマー世代かつトラディショナル・ワーキング・クラスの彼らを取り巻く日常と英国の空気を鮮やかに描き出しています。
    日本の状況との相似点も結構多いです。

  • 一昨年読んだやつ。
    個人的に、イエローでブルーは教科書的な立ち位置。
    これは作者の知り合いのおじさんたちの話で、もっとフランクに読める感じ。こんまりにハマって極端なミニマリストになったおっさんの話が面白かった。

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著者プロフィール

ブレイディ みかこ:ライター、コラムニスト。1965年福岡市生まれ。音楽好きが高じて渡英、96年からブライトン在住。著書に『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』『ジンセイハ、オンガクデアル──LIFE IS MUSIC』『オンガクハ、セイジデアル──MUSIC IS POLITICS』(ちくま文庫)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫)、『他者の靴を履く』(文藝春秋)、『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』(岩波現代文庫)、『両手にトカレフ』(ポプラ社)、『リスペクト――R・E・S・P・E・C・T』(筑摩書房)など多数。

「2023年 『ワイルドサイドをほっつき歩け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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