- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480847492
作品紹介・あらすじ
たくさん単語を暗記してもことば力は育たない。ことばの意味を自分で考えて覚えれば、ことば力、思考力、学力もアップ。その仕組みと方法をわかりやすく伝える。
感想・レビュー・書評
-
これまでに新書や学術文庫などで書かれていた内容を、幼い子を持つ親や教育者に向けてやさしく語りおろした本。ある意味、肩の力が抜けるけれど、見方を変えると、幼児に接する親や教育者は子どもへの語りかけや対応の責任の重さにあらためて打ちのめされてしまいそうな一冊。
人の言語理解力は私たちが想像する以上に幅があること、言語理解力と思考力は車の両輪のように連動してはぐくまれていくこと。そして、自然に身につくと思われがちな母語の力だけれど、実は環境や大人からの日々の働きかけにずいぶん左右されてしまうこと…自分にとってはほんとに当たり前で、子育てをよりおもしろくしてくれるし楽にしてくれる知識なのだけれど、なんで世間の多くの人は言語発達に興味が無いのかな…
とりあえず、読み聞かせ動画をいくらみせてもそれは直に読み聞かせることにまったくかなわない(ことばの力をつけるたすけにはならない)、ということだけでも…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供達の語彙力と思考力が気になり手に取りました。
私が一方的に教える知識は『死んだ知識』として
子供が推測して考えて覚える知識は『生きた知識』として刻まれるということで、忙しくても対話と経験は大事だなと改めて感じました。
小1の末っ子はまたまだ抽象的な言葉に弱いので
積極的に親から抽象的な言葉を使って
実際に自分の感覚として覚えて欲しいと思いました、 -
幼児期の子供の言葉について題目が気になり読んでみました。
まさか赤ちゃんから小学生(いや、もしかしたら高校生?大学生?)まで読み聞かせが大事な事
私自身も小学生の時から文章問題がちんぷんかんぷんだった頃を思い出し語彙力の大切さを改めて知りました。
あまりにも学べる事が多すぎた一冊で…。
この本に出会えて良かったなと思いました! -
改めて、子どもが言語を獲得するって、すごい営みだということがわかりました。だから、私が英語を獲得できないんだということも。私はこれからも、日本語で生きています。
-
英語独習法に引用されていたので手にとりました。平易な言葉で簡潔にまとまっており、一気に読めます。
本の読み聞かせが大事とはよく耳にするところですが、なんで必要なの?という問いに対して、腑に落ちる内容となっておりました。言葉なんて話してれば勝手に覚えるでしょうと漠然と楽観視しておりましたが、抽象的な語彙をイメージできるか否かという点で読み聞かせや大人との対話がとても重要な役割を果たしていく。 -
2歳になって言葉をどんどん使い始めた子どもにどう語りかけたらよいのかという疑問に一定の指針を与えてくれる本でした。子どもが考える力をつけられるように意識して言葉を選んで語りかけ、子どもが楽しく言葉を覚えられるようにしたいと思いました。
-
2020/8/28
これから子育てをする立場になり、言葉を大事にする子になってほしいと思い購入。
子どもとは沢山会話をして、成長への足掛かりを作れるような親になりたい。 -
言語学者今井むつみさんによる、子どもが言葉を習得する仕組みと、そのことば力と思考力を高めるためのノウハウがわかりやすーーくまとまっている。言語学に関する知識がない人でもスッと読んで理解できる内容。自分の子どもにあてはめて、あ〜たしかにこういう言葉の使い方してたけど、あれはこういうことが起きてるのか、という自分の中でなんとなく体験した仕組みの言語化をしてくれる感じや、今後子どもの能力を伸ばすための親子の関わり方のヒントがたくさんつまっており、定期的に読み返したい一冊。
子どもの発育は一人一人異なるので
結局極論?その子のその時々の興味関心にあった声かけをすることが、能力を伸ばすことになる
モンテッソーリでもよく言われてて、本書もそれがベースになっているように感じた。
-
「ことば力」と「思考力」を育む大切さとその方法について、幼児期〜小学校中学年の子をもつ保護者向けに解説している本。
小学生以降は、抽象的な言葉を用いて学習していくため、日常会話レベル以上の語彙を理解していなければ学習についていけなくなってしまう。(特に顕著に現れるのが中学年。9歳の壁。)
では、そうした抽象的な言葉を「生きた知識」として自分のものにしていくためには、何が大切なのか。キーワードは、「読書」、「対話」、そして「思考力」。
ーーーーーーーー
1章は、子どもが言葉を獲得していく仕組みについて述べている。子どもは、言葉の範囲の理解を修正したり、推測したり、関係性に気づいたり、別の文脈で応用したりするなど、思考力を働かせながら言葉を覚えていくことが豊富な具体例とともに述べられる。
2章は、「ことばの力」と「思考力」について。思考力とは何かについて、推論、情報処理能力、実行機能という視点から解説される。また、ことばの力と思考力は両輪の関係で、一方が伸びればもう一方も伸びるということが説明される。
3章は、「9歳の壁」について。中学年頃に、学校の学びについていけなくなる子が多い。これを9歳の壁とよんでいる。なぜ9歳頃に壁が生じるかというと、日常生活レベル以上の抽象的概念の言葉への理解や、状況に応じた言葉の意味を捉える力がより必要になるのが中学年頃だから。その壁を乗り越えるキーワードは、「ことばのセンス」。
「ことばのセンス」
①「ある言葉」と「関連する言葉」が関連づけられている。
②「ある言葉」のさまざまな使い方を知り、文脈に合わせて柔軟に意味を考え、単語の意味をアップデートできる。
③抽象的な言葉の意味を本質的に理解できる。その知識を使って、別の抽象的な言葉の意味を理解できる。
4章は、幼児期にことば力をつける方法8つ。「対話」のチャンスや、子どもの思考力を働かせる「対話」のコツについて説明されている。対話の中身を目の前の子どもに合わせれば、小学生にも応用できる。
5章は、「絵本の読み聞かせ」と、語彙と思考力の関係について。小学校以降で必要な語彙のほとんどは読書から学ぶことや、小学校入学以降も親が読書に関わり続けることが大切であることが語られる。
ーーーーーーーー
読書の重要性については、ほぼ既知の内容。ただ、読み聞かせの重要性について、次の2つの視点を改めて確認できてよかった。
①小学生以降の読み聞かせは、興味が多様化する子どもを、一人で本を読む読書習慣に誘っていくこと。
②自分では読めない難しい内容の本に触れることができること。それは自分に合った内容で楽しめると同時に、抽象的な言葉を覚える絶好の機会にもなること。絵本で出会う言葉は、ある状況の中で使われている。子どもがその状況を理解している中で、その状況と結びつけながら言葉を獲得できると、記憶に定着する。
この点に関してジム・トレリースの『できる子に育つ 魔法の読みきかせ』を読みたい。もう1冊、本書の中で紹介されていた『動物の見ている世界』も読んでみたい。
他、小学校以降に学習で用いる抽象的な言葉の例や、子どもが推測しながら言葉を獲得していく様子の例も面白く、保護者向けの講演で用いたいなと思ったものもあった。
一児の親としては、「教えるのではなく足場かけ」や、「思考力を働かせられるような対話」を意識しながら過ごしていきたいなと感じた。