科学と神秘のあいだ(双書Zero)

著者 :
  • 筑摩書房
3.40
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本棚登録 : 220
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480860729

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹初期三部作のような語り口。

     難しいことを語っている訳ではないのだが、内容が頭に入ってこない。自分の気分の問題?文章構成の問題?

     紹介・引用された本や巻末のブックガイドには興味を引かれる本があった。

  • 科学が管轄できる領分を知るための一冊。
    人間は科学的な理屈を理解できるけれど、神秘的なものを感じることもできます。
    どちらも強烈な影響力を持つものであるがために、きちんと線引きできたほうがいいでしょう。

  • ためになった。

  • 科学でなんでも白黒はっきりつけろ・られるとかいう人にはまず向かない。
    線引きはとても難しい問題だし、疑似科学をひとくくりにして論じてしまってもいけない。結局、個々の事例で許容できるかできないかを判断していく他は無さそうだ。

    そして著者はいつの間にか疑似科学の先頭を走っている感のある菊池誠先生ですが、長年取り組んで(考え続けて)きただけに疑似科学批判者としてバランスのとれた視点に立っていると思うところ。

    科学は確からしさの追求であって、白黒はっきりつけるものではないし、科学と神秘の間にはグレーゾーンが横たわっている。

  •  筆者は,長らくニセ科学の問題に取り組んでる阪大の先生(物理)。科学と神秘は相反するようで実は両立するよね,でも神秘に傾きすぎると危険だから,科学の考え方も知っておこう,という本。

     中高生向けくらいの内容だけど,大変ためになる。科学的に否定されている危険な議論として,アポロや911に関する陰謀論,水からの伝言,永久機関,常温核融合,超能力,創造論やID理論なんかを取り上げている。数式なんかは一切出てこない。
     アポロが月に行ってなかった,あれは地上のスタジオで撮った映像だ!とか,911はアメリカ政府の自作自演で,アフガンとかイラクに侵攻するための口実だったんだ!とか言う陰謀論者は絶えないが,どの論点ももう完全に否定されてる。
     最近では,311の震災が,「純粋水爆」とかいうアメリカの兵器による攻撃だったと主張している人たちまでいる。世の中にはホントにいろいろな人がいる。そういうのに引っかかると人生で多くの時間を無駄にしてしまうから,とっても危険。
     永久機関は物理法則に反するのでできないけど,多くの人が開発に取り組んで時間を無駄にしている。常温核融合は,何億度という高温でしか進まない核融合を,低い温度で実現するというもので,法則に反するというわけではないけれど,いろいろな理由からほぼ可能性はないとされている。核融合は,太陽の中心で水素がヘリウムになるような核反応。超高温超高圧では,正の電荷で反発する水素原子核同士が核反応可能なまでに接近できるのだが,地上でそのような温度を閉じ込めておくのはとても難しい。常温核融合が可能なら,まさに夢のエネルギーだ。常温核融合は永久機関なんかに比べるとまだまともなのだけど,できたという実験を追試しても再現性がなく,その研究に取り組む一部の科学者が見たいものを見ているだけかも。それでこの分野は他の科学者たちに,ニセ科学とか,それほどでなくても病的科学とか言われてしまっている。
     創造論というのは,主にアメリカで広く信じられている世界の始まりの話で,聖書に書いてある通りか,それに近い形で世界は創造されたというもの。ID理論はそれに科学の衣をつけた理論で,何か知的な存在が,この世を設計して作りだしたというニセ科学。ID理論は何らかの知的存在を「神」と言わないだけで,宗教と変わりない。でも信奉者たちはID理論も科学だと主張して,学校で進化論を教えるならID理論も教えろ!と裁判まで起こす。一部の州では一時期公教育で教えられたりしたらしい。もちろん反証不可能なので科学とはいえない。
     水からの伝言は日本で流行った。水にきれいな言葉をかけたり見せたりして冷やすときれいな結晶ができ,悪い言葉をかけたりするとできないとかいう途方もない話。こういうのをコンセプトがいいからいいよね,と安易に認めてしまうのはとても危険。やはり科学とそうでないものを区別して,異なる姿勢で対応する必要がある。境界ははっきりとはしていないけど,明らかに科学というもの,反対に明らかに非科学というものはある。明らかに非科学なものを科学と誤信してそれに基づいて行動することのないように子供たちにも教えたい。
     科学でないものは全部どうでもいいというわけではもちろんなくて,それは科学者だってちゃんと分かってる。神秘的な体験をして,頭では偶然と思っていても感動したり,というようなのは人生で大事なこと。科学がすべてを解明できるわけでもないし。

  • ニセ科学の解説というより、科学と神秘の境界についての考え方や、その折り合いの付け方を伝えてくれる本。近所のちょっと斜めなものしり兄さんが趣味の話を絡めながらやさしく教えてくれている感じ。

  • 紹介されてるトンデモ説も含めて思ってたより読みやすかった。
    参考資料として紹介されてる本も面白そうなのでそっちも読んでみたい。

  • 神秘は人々の心に生まれ宿る。科学は客観的な評価によって普遍的と判断されて記録される。
    決して科学的でないことを、さもそのように表現することで(その人は本当に信じているのかもしれない)、さらに騙されて不幸になってしまう人が少なくないことを憂えた筆者が、科学的な「ものの見かた」や「考えかた」にまつわるあれこれについて書いてます。

  • なんか読みづらいな。。
    文体,話の並び,本の構成,どれもが肌に合わない感じ。
    だが,西島大介による表紙は悪くない。

    ちゃんと読んだのは最初の三分の一くらい。
    残りは斜め読み。

  • 知らなかったからとか、素直だからとか、純粋だからとか、よかれと思ってとか、悪気はなかったとか、それだけじゃすまない危険なことである可能性もあるのだ。うむうむ。
    「わかる」と「わかるわかる」は違う。
    「納得力」「線を引く」「テルミン」の話など。

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著者プロフィール

大阪大学サイバーメディセンター教授。1958年生まれ、青森県出身。東北大学大学院後期博士課程修了、理学博士。専門は物理学。ほかにSFとテルミンとプログレッシブ・ロック。著書に『信じぬ者は救われる』(かもがわ出版刊、香山リカと共著)、訳書に『ニックとグリマング』(ちくま書房刊、P.K.Dick)など。星座はレティクル座(どこにあるのか知らない)、血液型はZ型。座右の銘は「明日できることは今日するな」。

「2009年 『おかしな科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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