アイドル進化論 南沙織から初音ミク、AKB48まで(双書Zero)
- 筑摩書房 (2011年1月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480864086
作品紹介・あらすじ
放課後の教室で聴いた、テレビでいつも流れてた、あのアイドルたちの歌…。なぜ、こんなにも夢中になってしまうのか?70年代から今にいたるアイドルの歴史をたどり、その深層をさぐる。前人未到の、アイドルの社会学。
感想・レビュー・書評
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2021年度貸出ランキング 図書部門TOP10入り作品
https://library.shobi-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=00070076詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2000年代の混沌としたアイドル文化。そこに至るまでのアイドル文化の歴史を、その年代に流行ったアイドルやその楽曲、テレビ番組、アニメなどから振り返る。
ここでは、ただ女性アイドルだけを見るのではなく、周りに取り巻く状況を捉えながら見ていく。そのため、70年代から2000年代へと、一見パターンを変えたアイドル達の根本にある共通性が分かって面白い。 -
アイドルに対して向けられるまなざしの諸相を、「「愛着」と「批評」の二重の視点」という観点から整理した本です。
本書の「あとがき」には、「その世界を深く理解するには、個々のアイドルを批評的な視線でまなざすだけでなく、その視線をアイドル文化それ自体にも差し向けなければならない」と述べられています。本書では、南沙織から、松田聖子、モーニング娘。、SMAPから、AKB48や果ては初音ミクにいたるまで、さまざまなアイドルたちがとりあげられていますが、個々のアイドルの魅力を分析することよりもアイドルの歴史をつらぬくような、特定のまなざしのありかたを明らかにすることに本書の目的があるといってよいと思います。
「二重の視点」という発想そのものは、メディアのなかの存在であることをみずからえらびとった松田聖子や、『なんてったってアイドル』で小泉今日子が歌っていた80年代のメタ的な言説構造などに典型的に見られるもので、それ自体は独創的なものとはいえませんが、アイドルを作り出すメディアやアイドル自身のまなざしと、それをオタクのまなざしの双方を等しくこうした枠組みのなかに取り込み、『エヴァンゲリオン』などのアニメやアイドル声優など、アイドルというテーマの周辺に位置づけられる対象にも目配りがなされています。さらに、80年代論、オタク論、郊外論、ヤンキー論といった、サブカルチャーやオタク文化にかんする先行研究も踏まえられており、手堅い議論になっているように思います。
その反面、なんでも書かれているけれども、掘り下げがじゅうぶんではないという印象をもつ読者もいるかもしれません。ただ個人的には、瞬発的な思いつきにもとづく批評は、個人のブログで発表すればじゅうぶんではないかという気がしています。サブカルチャー研究もそれなりの先行研究の蓄積があり、今後は本書のようなスタイルで書かれた本が増えるのではないかと期待します。 -
アイドルが歩んでいた経過を軽く触れてまとめた感じが否めない。悪い例えだと、学生が卒論を引用でまとめたらしい論文だった。自身の伝えたいことがあまり書かれておらず、あっちこっちして統一感がないので伝えたいことは何となくわかるが「で?」って感想になってしまう。
こういうのをまとめるのは難しいかもしれないけれど、もう少し掘り深く研究(?)してほしかった。サブカルは徐々に注目されている分野なだけに、もったいない。後ちょっと、頑張って練ってみたのを読みたかった。 -
アイドルというと、そんなに興味はありませんが、歌謡曲ってなると、好きなんです。
けど、きちんと整理しているしている本って、かつて、岩波新書でよんだだけ。
んで、思わず手に取りました。
松田聖子論は、きちんと読みました。なかなか深いですが、「知熱発電所」っていうブログサイトを超えるを超える評論はなかなかなかったような。。。。
でも著者さんって、非常に読みやすい日本語を書く方なので、非常に楽しかったです。
おすすめ度は5点中、4点。歌謡曲って、楽しいですねエェ。 -
特にアイドルに興味があるわけじゃないけれど読んでみた。
結局、アイドルというのは昔から変わってるようで変わってないような気がする。
AKB48とか特に、80年代アイドルとあまり変わらない気もする。
ところで、ところどころに野球の話がでてくるのだけれども、最近じゃあサッカー選手のほうがアイドル的になってる気がする。 -
各時代に登場したアイドルと、そのファン達の社会学。著者とほぼ同じ世代なだけに、その体験は共通するものも多く、楽しめる。