それは「うつ」ではない どんな悲しみも「うつ」にされてしまう理由

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484111186

作品紹介・あらすじ

現代がストレス過多社会になったことだけが原因ではない。悲しみの"理由"を問わない診断方法の問題点を指摘し、世界中で用いられる診断基準「DSM」の功罪を明らかにする。

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  • DSMのうつ病では、愛する人との死別以外、深刻な喪失に対する人間の自然な反応を疾患のカテゴリーから除外していない(しかもDSM5では死別反応すら除外されない方向で話が進んでいる)が、悲哀反応は様々な動物、文化でみられる。操作的診断により正常な悲哀反応までもがうつ病として扱われるようになったことは薬物療法、研究に悪影響を与えている。

    フロイトの流れを汲んで、病気の原因を探ろうとする一派と、クレペリン流に症候学的にアプローチしようとする群の戦いの結果、DSM3でクレペリン派に軍配が上がり、操作的診断が出てきた、という見方はあまりに短絡的。現状では両派の前提を全く無視した診断基準となっている。

    入院中心の時代には長時間かけて診察を行うのが普通であり、ここではうつになった理由の有無について検討することもできた。現代の外来中心の精神医療ではそんなに一人ひとりに時間を避けず、操作的診断を汎用せざるを得ないという事情もある

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