- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484172118
作品紹介・あらすじ
多くの読者のご要望に応え、待望の名著復刻!
限定された砂箱という「場」(トポス)に人間存在の在り様が示される――
〈箱庭療法〉という心理療法の一技法をめぐる哲学者と心理療法家の対話。
(河合隼雄「あとがき」より)
言うまでもなく、箱庭療法は、箱庭をつくることによって心理療法が行なわれてゆくのであるが、そこに生じる多くの出来事は、人生のドラマと言ってもよく、限定された砂箱という「場」(トポス)に、人間存在の在り様が見事に提示されてくるのである。
したがって、このことは、単に心理学とか心理療法ということを超えて、広く「人間存在」に対する関心をもっている人たちに、多くのことを知っていただきたいと思う新しい「知」をはらんでいるのである。
哲学と心理学は、従来からあまり仲の良い関係ではなかった。しかし、共著者である中村雄二郎氏と私は、この両者が協力しあうことがきわめて重要であり、またそれを必要とする時が来ているという認識をもっている。その両者の出会う「場」として箱庭というものが浮かびあがってきたことは、なかなか興味深いことと言わなければならない。
もちろん、われわれの“対話”は、まだ始まったばかりであり、これを出発点として哲学と心理学の対話が、異なる「場」や異なる「時」に、今後ますます発展してゆくことを願っている。
本文中でも述べていることだが、「箱庭療法」は簡単そうに見えて、その実、危険性も困難性も十分に持ちあわせている。本書によって箱庭に興味をもたれた方が、もし実際に箱庭療法を行なってゆこうとされるなら、専門的知識のある人の指導を受けられることが望ましいことを、ここに附言しておきたい。
感想・レビュー・書評
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トポスの知: 箱庭療法の世界 阪急コミュニケーションズ (1984年10月1日発売)を読みました。
https://booklog.jp/item/1/4484842068詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった!
我らが河合隼雄先生と、「臨床の知」を提唱した中村雄二郎先生(哲学)が、箱庭療法の事例を前に語り合う。
中村先生がさっすが!の、深い理解をさっとぎゅっと掴みとって言葉にする、その当意即妙さと、そこから広がっていく地平の広さ。
科学と箱庭療法、なんて話題もあり、30年以上前の本とは思えない。
全く古くなってない。(とゆーか、私たちが進歩してないってことでもある…? -
現在の知の枠組みで捉えられないものもある。
科学の構造に飲み込まれない -
箱庭療法が大好きで、できたら、勉強し、カウンセリングに使いたいと思っている。
箱庭の勉強の仕方がわからず、公認心理師で、実際に箱庭療法をやっている方に聞いたところ、「とにかく河合隼雄先生の本を読みなさい」と言われたので、手始めに読んだのがこの本。
今まで、自分が箱庭体験をし、それを周囲のカウンセラーに話した時、「なんで治るのか?どんな解釈をするのか?」という質問をよく受ける。
他の箱庭療法の本で、「言葉にしたことで、本来見るべきところが見えなくなることがある。」という旨の話が載っていたので、それを語ることが多かったが、この本を読んで「こういうことか!」と、うっすらとわかった。
もう一度、読み込まないと、明確には語れないが。。。
日常生活の中で、好きなペンを買う、好きなノートを買う。など、色々な物の中から、たくさんの選択をしている。そして、それらを何処に置こうか?どう使おうか?というのも無意識に考えている。
それを箱庭の中に置くミニチュアが代替しているということは、つまり、箱庭とは、日常生活の再現なのかな。というのが、イメージとしてもったこと。
だから、その人の無意識が出るし、置いた物に対する意味は、置いた人にしかわからないので、解釈はできないのだと。
奥が深いなー。。
でも、面白い。やっぱり!
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知人の心理療法士が「箱庭療法」をしている。
話を聞けば聞くほど
興味深い話であった。
いつもの図書館通いで
新刊の棚の中で目に飛び込んできた一冊が
これであった
心の在り様が
目に見える形で提示される
一つの「会話」としての
「箱庭」という手段が
ますます興味深い