• 東京創元社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010478

作品紹介・あらすじ

サンタクロースの扮装でめった刺しにされた男。一人の男の栄光、悲劇、転落、そして死。世界でシリーズ累計1000万部突破。世界を驚愕させた『湿地』『緑衣の女』に続く第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ三作目。面白い。クリスマスの時期、レイキャヴィクのホテルでの殺人事件。被害者の過去や同僚の手掛ける虐待事件など相変わらず辛く重い内容に触れるが、捜査官達同士の笑えるやり取りや娘と対話などだいぶ明るさも感じられた。

  • 家(うち)とはなんだろう?

    これは作中主人公の刑事エーレンデュルが取り調べの中で浮かべる疑問なんですが、もちろん読者への問いかけでもあるわけです
    そして作者であるアーナルデュル自身にも向けられた問であり、さらに言えば明確な答えを持っているわけではないのではないかと感じるのです

    アーナルデュルはこれまで一貫して事件の裏にある家族の問題を書き続けていますが、書きながら自分自身もその答えを探し続けているのではないでしょうか
    そんな気がします

    主人公エーレンデュルと妻と離婚し20年以上連絡もとっていなかった娘のエヴァは物語の中で互いをぶつけ合い少しずつ理解し合い巻末ではすごく近づいたように見えますが次の巻の冒頭ではまた距離が開いてしまっています
    三歩進んで二歩下がるを繰返しています

    これはきっと家族とはなんなのか?という問いの答えとアーナルデュルとの距離を示しているように思いました
    ひとつの物語を書き終え答えに近づいたと思ってもしばらくするとそれは間違いだったのではと思い直して新たな物語を書き始める

    刑事エーレンデュルの物語は家族とはなにかの答えを求め続ける旅なのだと思います

  • ホテルのドアマンだった男グドロイグルがホテルの地下室でナイフで刺されて発見された。エーレンデュル捜査官はホテルの従業員に聞き込みを始めるが、ほとんどのものがよく知らないという。もう20年以上も働き続けている男なのに・・ 支配人はうちはレイキャビクで2番目に大きいホテルなんですよ、という。 一体男に何があったのか。男の秘密を知りたくて先を読み急ぐ

    「湿地」「緑衣の女」は女性への暴力を描いた作品だったが、今回は子供への接し方。暴力は無くても親の意のままに子供の道を歩ませようとした父の、その育児は暴力だ、と著者は言いたいようだ。最後も悲しいが、絶頂の少年期に起きた出来事も息をのむ。

    エーレンデュルの死んだ弟に対する出来事も前作より詳しく語られ、自身を分析している。



    2002発表 アイスランド
    2015.7.31初版 図書館

  • 前巻がかなり辛い重い雰囲気だっただけに、今回は若干ゆとりが感じられた。

  • シリーズ邦訳3作目(本国では5作目)、これまでの作品では捜査官たちが行動する現在のタイムラインと、事件やその原因となるものごとを追う過去のタイムラインとが交互に流れるのが定番でしたが、この作品ではクリスマスシーズンを迎え盛り上がるアイスランドと国内有数の大規模ホテルが舞台であり殺人事件の発覚からのカウントアップとクリスマスの祝日へのカウントダウンとタイムラインの軸は複数ありつつ、どちらも現在時刻で一日目、二日目、と進んでいくのが新鮮でした。個別の事件についてはドラマ性のある反面、犯人が誰で動機が、というところでは肩透かしというか虚しい現実を突きつけられるような感じでした。一方でシリーズを通したエーレンデュル個人の抱える陰の部分である過去の辛く重い体験が明らかになるのですが、意識不明で横たわる娘エヴァ⁼リンドに向けての独り語りという印象的な形で描かれており、エーレンデュルと共に追体験しているようで、身につまされました。深刻で辛いシリーズですがエーレンデュルには出会いもあったりして、今後の展開が楽しみです。サイドストーリーとして展開していた裁判の虐待事件のことが、宙ぶらりんになったままのようなのが気になります。私の読解力が足りないのか、それとも今後また後日談が出てくるのか、、、後者だと良いのですが。でも敢えて断定的ではない書き方にしておいて、家庭内暴力の複雑さやむつかしさを表現しているのかもしれないとも思いました。

  • 寒さが伝わってきた。冬に読むべき。

  • 行きつ戻りつのストーリー、なかなか核心に迫らないけれど、それだけに引き込まれました。家族って、つくづく重いです。この作者の作品は3作目。これまであまりにドロドロと陰鬱なストーリーばかりだったので、これくらいだと軽いと思えてしまう、すでに病気です。

  • アイスランドのミステリ。
    エーレンデュル捜査官のシリーズ3作目。

    クリスマスを前ににぎわうホテル。
    地下室で、ホテルのドアマンが発見される。
    サンタクロースの扮装のまま‥

    地味で孤独な中年男は、既に首になっているのだが、ずっと前から地下室に住み着いていて、動かなかったらしい。
    被害者には、意外な過去があることを発見します。
    幼いときにスターになっていたのが、唐突な悲劇により転落。生きづらい人生の軌跡‥

    捜査官エーレンデュル自身、一人暮らしの中年男で、かなりの仕事中毒。
    離婚後ずっと会っていなかった娘と息子が、道を踏み外していることに胸を痛めています。
    とくに娘のエヴァ=リンドは、薬をやめようと努力しつつ、なかなか立ち直れない。
    犯罪者を調べるときに、エヴァ=リンドも同じような不幸な状況にあったことに直面するエーレンデュル。

    怒りをぶつけてくるエヴァ=リンドの態度も、父親との関わりが薄すぎた過去を思わせ、むしろようやくこんな会話も成り立つのだと希望を感じさせます。
    エーレンデュル自身、重い過去を抱えていて、それは離婚やその後の生き方にも影響があったことを、ようやく少し娘に語り始める。
    アイスランドならではの状況も描かれていて、深い雪に降り込められるような哀しみの途方もなさが、胸に染み入ります。

    各賞を総なめにした充実の作品です。
    スウェーデン推理作家アカデミー最優秀翻訳ミステリ賞、フランス推理小説大賞翻訳作品部門、813賞最優秀翻訳長編部門受賞。
    『湿地』『緑衣の女』に続くシリーズ第3弾☆

  •  ミステリというより、エーレンデュエルという人物 を丹念に描いている。
     淡い絵の具を塗り重ねるように、主軸となる事件と かかわりながら、けれども、これはエーレンデュエルの物語だ。
     さすがに3作目なのでこれから読むべきとは言わな いが、ぜひ1作目から読んでほしい。

  • 読み始めたらほかのことが手につかなくなる。クリスマスまでのカウントダウン、高級ホテルという限られた空間。巧みな設定のうえにいくつもの家族の物語が重層的に描かれる。子どもに見果てぬ夢を託す親は多い。が、子どもが自分にとって思いもしなかった「異形」の姿をあらわした時、親はどこまでそのありのままを受け止めることができるだろうか。それは、主人公の刑事エーレンデュルとドラッグとの離別に苦しむ娘エヴァとの問題でもある。幼少時のトラウマに苦しむエーレンデュルに幸あれと思わず願ってしまう。同僚の二人の刑事も実に人間的に描かれている。イブの日のラストは、あまりにもせつなく胸に迫った。「おお、父よ、この短い人生にわずかでも光を与えたまえ……。」

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