本当の人生 (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 81
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016739

作品紹介・あらすじ

狩猟が趣味のDV男の父、夫の顔色をうかがうだけの母。少女は明るい弟と仲良く遊ぶ無邪気な日々を送っていたが、ある日、恐ろしい事故を目撃してから弟は笑わなくなり、父の剥製部屋にこもって小動物をいじめたりするようになってしまう。十歳の少女は、現実をリセットしたいと思う。あの事故をなかったことにしたい……。利発な少女は弟の笑顔をとりもどせるのか? 本当の人生の“下書き”にしか見えないこの人生を消し去ることはできるのか? ELLE 読者大賞、高校生が選ぶルノードー賞他多数の文学賞を受賞した傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 邪悪な父と無気力な母。
    少女にとって家庭での癒しは明るく無邪気な弟だけだった。
    しかしアイスクリーム屋の事故死を目の当たりにしてから弟の中で闇が育ち始める。
    本来の弟を取り戻そうと、少女は時を遡る術を探し求め、理不尽な世界に闘いを挑む。
    自分の本能も冷静に受け入れ、闘うための武器を積極的に手に入れ、残忍に傷つけられてもひるまずに、一歩一歩目的に向かって進んでいく少女。
    ハッピーエンドとはいえないラストだけれど、世界は確実に変わった。

  • 最後の最後で訪れる解放の瞬間。

  • もしもあの日に戻れたら。
    誰しもそう考えたことはあるのではないだろうか。しかし主人公の少女の願いは切実すぎて苦しい。

    グロテスク。恐怖。絶望。怒り。
    短い文節で綴られる表現がリアルだ。DVの父親が恐ろしい。
    少女の成長と強さがわずかな希望をくれる。
    続きが気になって読むのをやめられなかった。

    最後は結構衝撃だった。あぁそうくるのか、と。

    決して明るいほのぼのした話ではない。
    でも読後感は悪くない。
    この本は数々の賞を受賞しているらしいが、それも納得。

  • この一冊にギュッとフランスの日常風景と性差別の現実が詰まってて面白い!読みやすい!

  • 正直胸糞悪いタイプの本。
    親からの愛情を知らずに育った兄妹に
    突如起こるアイスクリーム事件。
    弟の豹変ぶりにハラハラ。
    絶対ドフカが被害に遭う…って思ってたけど
    弟じゃなくまさかの父だった。

    あんな家族、本当にいるの?

    こう言う本を進んで読んでしまうのは
    自分とかけ離れた人生に興味が湧いているからなのか…

  • 面白くて読みやすい。4歳違いの弟がいる女子。父親や狩猟が趣味でスパンが空くとイライラしてくる。何の疑問も持たずに妻に暴行する。近所の人に通報されるので買い物にも出れず宅配を使っている。ある日アイスクリーム売りが販売車の事故で亡くなり、陰惨な場面を姉弟は目撃してしまう。天真爛漫だった弟が塞ぎ込み、次第に残虐に近所の動物を手にかけ始める。。。弟を守るんだ!と女子は奮闘するが、心は塞がれたまま。。。弟は暴力を見せることにより、父親から自分への暴力を逃れようとしていたのだろうか。。。ベルギー発。

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