- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488016807
作品紹介・あらすじ
原稿の束をかかえて帰る週末はもう終わった。タブレットにはいった原稿をもって家に帰るのだ。美味しいビストロで著者とランチをとりながらの打ち合わせももう終わりだ。ワインよりビールかコーラの若者中心で、店で打ち合わせをするとしてもスシ・レストランといった選択。古きよき時代の編集者ロベール・デュボワの進む道は ? 変わりゆく出版界をひょうひょうと描いた、シニカルで軽やかな傑作。
感想・レビュー・書評
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本を読むって、テクストだけを読む、ということと同義なのかな。私は電子テキストになっているものをタブレットでも読むけど、図書館の書棚にある、本屋さんに並べられている、装丁のある紙の本を選び、手にする満足感も悪くない感覚だと思う。
作る側の達成感を受けとめる装置が急激に変わっていく時代は価値観も大きく変わっていく時代なのだ。 -
主人公はフランスの編集者。紙の本をこよなく愛するが、このごろは電子ブックに押され気味。原稿もデータで渡され、タブレットで読むように言われる。打ち合わせは、ビストロではなくスシ・バーで、飲み物はワインではなくビールとコーラだったりする。世の中の変化に苛立ちながらも、タブレットと悪戦苦闘する。
私のような紙の本大好き人間には、共感の嵐だった。フランスらしいエスプリの効いたストーリだった。 -
タブレットと、デジタルネイティブの若い研修生との新しい出会いを通じ、自分が愛した出版社が変わっていくということを、はじめはコメディタッチで、やがてはそれを寂しく感じる主人公の哀愁がフランス特有のアイロニーで書かれている。
そしてその主人公に共感できる箇所が多い自分がいることに驚いた。まだまだ老け込むには早いと思っていたが、新しい時代の流れというのは、革新という甘美な響きの一方で人を寂しい気持ちにもするのだなと思った。 -
「編集者とタブレット」tsogen.co.jp/sp/isbn/978448… くー読んだ本がとても良かったときの喜びたるや。出版業界に押し寄せるデジタルの波vs紙の本。10年前の作品なんだよね。老兵の人生の哀愁もありつつ全体的に品が漂い、重くし過ぎずユーモアや皮肉のバランスも良くて素敵。考えたらフランス物は久々だな
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絶対タブレット紛失すると思ったら最後まで失くさなくて偉かった。
「鬱事情を自認する連中」の解析度と文章力が本当に素晴らしい。