れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 471
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017101

作品紹介・あらすじ

秋庭市のはずれもはずれ、ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中にたつ秋庭市立秋葉図書館、そこが文子の仕事場だ。無類の本好きである先輩司書の能瀬や日野らと、日がな一日あくびをしながらお客さんの少ない図書館で働いている。ところがある日を境に、職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか。(第一話 霜降-花薄、光る。)?のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第十三回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第一作。

感想・レビュー・書評

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  • 秋葉図書館は、秋庭市のはずれにあるのんびりとした図書館のようで…。
    文子はそこで先輩司書の能瀬や日野と働いているのだが、ちょっとした謎⁇や不可解なこともあって…。
    だが能瀬がサクッと解決する。

    ○霜降ー花薄、光る。
    家出をしたい少年たちがやったこと。

    ○冬至ー銀杏黄葉
    本を使った暗号とは。

    ○立春ー雛支度
    カードを悪用した理由。

    ○二月尽ー名残りの雪
    秋葉宅の雪女の真相は。

    ○清明ーれんげ、咲く。
    図書館の周りをレンゲソウにしたら二十年前の過去を恐れた少年の本が。

    れんげ、咲くが一番ミステリーだったと思う。
    最後にタイムカプセルを埋めるってところ…それも酒瓶の中に入れるって、能瀬さんの優しさが滲み出てる。


  • 『ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中に立つ』、利用者が少ない秋葉市立秋葉図書館の新米司書・今居文子が遭遇する四つの事件。

    職員の目を盗んで図書館に泊まり込もうとする少年たち
    洋書の絵本のタイトルを使った暗号
    秋葉市の名前の由来でもある大地主・秋葉氏が子供の頃に遭遇した雪女
    図書館を利用したことのない女性たちの名を利用した貸出
    今はない中学校の蔵書が届けられたことと十五年前に起きた老女の死の繋がり

    ツンデレな先輩司書・能勢を探偵役、文子をワトソン役に事件を解決していく構成となっている。
    事件そのものはそれほど複雑ではないものの、ちょっとほろ苦いものもある。
    それ以上に、能勢と文子だけでなく、日野や館長など本と図書館をこよなく愛する人たちがいるのが良い。
    また地主である秋庭も良い味を出している。

    途中、文子の叶わぬ恋心が描かれていて、どんな展開になるのかと心配していたが、最後はホッとできて良かった。
    能勢の家族も明るくカラッとしていて好きなタイプだった。

    コミュニティバスの停留所になったことや秋庭氏が植えたレンゲソウで利用者が増えそうな秋庭図書館。
    続編もあるようなので読んでみたい。

  • あった、第1弾。ブクログで、「星合う夜の失せもの探し」の紹介をされていて、さかのぼって探した。
    ”すべての本好き、図書館好きに捧げるやさしいミステリ”という言葉、惹かれるわーエール! (3)で書いていた人なんだ。意識してなかったな。

    主人公は新人司書の文子。新人ならではの悩みやら、やる気やら、新鮮に感じた。先輩はちょっと偏屈だけれど、家族も図書館も大切に思ってくれる人。地主さん由来の図書館のようだが、いい職場だ。

    話は変わるが、この市のバスの名前は「やぐるまそう」号。少し前に読んだマハさんの本でも植物関係のお話があり「矢車草」さんが出てきたばかり。あら、つながるものね。

  • 図書館ってなんて素敵な空間なんだろう。って子供の頃はずっと思っていた。
    大人になって困ったお客?さんも来てしまうところだったんだな、と知った。
    それでも図書館は私にとって特別な空間。
    そんな図書館で起こるミステリと鋭い視線と考察で謎を解く図書館司書のお話。

    秋庭市のはずれ、ススキの原の斜面に立つ秋庭市立秋庭図書館。文子と有能な先輩司書、能瀬と日野は来館者の少ない図書館でのんびりと働いている。
    寒さが染みてくる季節に突然流行り出した小学生の閉館図書館への忍び込み。
    館内に置かれた本のコピーと並べられた本の暗号。
    なりすましで忽然と消えた高額美術本の行方。
    図書館の土地を寄贈した地主さんの記憶の中の雪女の秘密。
    ススキ野原がレンゲ野原花畑に化けた時、忽然と図書館に現れた古い児童書の謎。

    なんでこんな辺鄙な図書館にこんな優秀な司書さんが?と思わずにいられない。だってウチの駅前図書館ってば、司書免持ってる?って思うような派遣さんばかりなんだもの。
    チラリと出てくる言葉から出てくる本たち。
    あれだ!とニヤニヤしつつ、その本に入れ込む人たちに再読しよう!という気持ちになる。
    「クローディアの秘密」「床下の小人たち」
    ヒロインの文子がぼわわんとしていて、あまり緊迫感がないものの、彼女の恋話はさてどうなるのか。そこも気になるところ。

  • 四季を感じる本。
    図書館を舞台とした謎解きだが、謎はシリアスめな感じ。

  • 一応ミステリー?なのかな。
    図書館が舞台なので、謎解きもそこまでハラハラドキドキせず。
    司書の能瀬さんが探偵みたいですご!と思ったのと、図書館のお仕事いいなと思った。

  • 田舎の利用者が少ない図書館で司書達が謎解き(^^)♪それだけで充分楽しめるのに、後半で「ちょっとドロドロした恋愛が入ってくるのかなぁ嫌だなぁ(._.)」みたいな雰囲気になって…(--;)結果、大丈夫そうなので続編も読む!(^^)v

  • 秋庭市のはずれにある「秋庭市立秋葉図書館」 そこで起こるささやかな?ミステリー 
    ほっこりしたり ちょっぴり悲しかったりで、サクッと読めます。 
    登場人物みんないい人です。 続編あるので、追っていきます

  • 99:日常の謎系? 文子さんがすごく……抱いてる気持ちは深いのに、中途半端なまま放り出されたような残念な感じがあります。

  • 初めて読んだ作家さん。
    いい出会いでした。
    またこの人の作品を読みたいと思います。
    私は本も図書館も大好きです。住んでる市町村でない図書館からも本を借りてしまう。住んでる人でないと利用出来ない内容もありましたが、市によって違うんだなあと、自分は恵まれてたなあとおもいました。
    あまりマニアックな内容でもなく、ただ本が好きな私みたいな浅い知識の人間でも楽しめる本で良かった。

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著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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