- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488018153
作品紹介・あらすじ
相田と由宇は、出会わないほうがいい二人だったのではないか。彼女は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった-若き女流棋士の栄光をつづり、第一回創元SF短編賞で山田正紀賞を贈られた表題作にはじまる全六編。同じジャーナリストを語り手にして紡がれる、盤上遊戯、卓上遊戯をめぐる数々の奇蹟の物語。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋…対局の果てに、人知を超えたものが現出する。二〇一〇年代を牽引する新しい波。
感想・レビュー・書評
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途中で挫折…。
ルールを全て知らないんですよね…。
知ってたら楽しめたのかな?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少しのSF的な要素を加え、各種のゲームの使い手を主人公とした短編集。すごい、現代的な、そして進化を含んだ未来を射程にした作家を見つけたと感じた。素人の私でも、異能の人びとが見る、峻厳な、恐ろしい世界を、垣間見させてくれる。
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なかなか分からなかったところも多かったが、1作目が特に好きだった。元のゲームに精通してればさらに面白いだろうなと。
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人が考えだしたものが、人のさがを含め、あらゆるものを凌駕して翻弄する。
盤上の遊戯にとり憑かれたものは、宇宙に放り出されたような、もう戻れない異世界迷い込んでしまったような。
世界の広がり。SFのような、まったく違うような。その境界線の危うさこそが、もしかしたら本物のSFなのかも。
情念がすごい。
なぜか未だに脳裏に光景がよぎるのは「象を飛ばした王子」。
嗜好にはまって、悶えたのが「千年の虚空」。素晴らしい。 -
囲碁、将棋。
何十手も先まで読み切る棋士達は、盤上にどんな世界を見ているんだろうか?
本書は、囲碁、チェッカー、麻雀等のゲーム盤上で繰り広げられる闘いに、宇宙の拡がりを感じることができる小品6編の短編集。
が、残念ながら、私にはそのゲームの面白さが直感的にわからなくて、落語のオチを解説してもらいながら聴くような、こちらの準備不足を感じさせられた。
その辺に詳しい方なら、もっと楽しめると思います。 -
由宇と相田、囲碁の「盤上の夜」。チェッカーのチャンピオンとプログラム「人間の王」。それは魔法なのか、教祖と囲む麻雀「清められた卓」。チャトランガの始まりは…ラーフラとその父の「象を飛ばした王子」。その三人姉弟の歪みと野望、将棋の「千年の虚空」。そして「原爆の局」。
んんー「人間の王」が好きかなー。 -
囲碁・チェッカー・麻雀・チェス・将棋。
どれも名前だけは知っている程度の自分でしたが、いやー、面白かった!これ、ルールが解っていたら、もっと楽しめる内容なんだろうなあと、勉強してからもう一度読んでみようかとか思ってしまいました。
背景は若干暗い感じではあるのですが、其処がメインのお話では無い所が凄い凄い。ジャンルはSFと云う。それも頷ける描写多々あり。
宇宙とか近未来とか、そういう世界で繰り広げられるファンタジーとも取れる内容より、昨今のSFは日常に根ざした「すこし・ふしぎ」の意味合いも含まれるサイエンスフィクションだよなあと思いました。人の意識を扱う物が多いのも、その所為なのか非常に親しみやすい。SFが苦手と仰る前に手に取って頂きたい。
「象を飛ばした王子」は「聖★お兄さん」でしか再生されなかったのですが、麻雀と将棋は能條純一さんの絵で脳内再生されております。あーそっちも読みたくなってきた! -
とても面白かった!
囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋など、盤上遊戯・卓上遊戯をめぐるSF短編なのだが、SFというよりはセンス・オブ・ワンダーである。
知的ゲームの対局において、「真理」が垣間見える瞬間、を描いた作品集だと言ってもいいかもしれない。
なぜそれと向き合うのか? なぜそこに見出すのか? ギリギリのところまで登り詰める、あるいは深い深い海の底まで潜っていくことの意味が、ゲームのプレイヤーを通して、そしてゲーム自体を通して語られる。
それらがたどり着くのは勝敗という結果だが、そこに至る道筋は「創造」であるのかもしれない。
私は盤上遊戯・卓上遊戯に関して全く無知なのだが、どの話もとても興味深く読んだ。
一番好みだったのは「人間の王」。なぜ、という理由をとことん追求しており、とても引き込まれたお話だった。