あれは子どものための歌 (ミステリ・フロンティア 110)

著者 :
  • 東京創元社
3.22
  • (2)
  • (11)
  • (17)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 171
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488020156

作品紹介・あらすじ

料理人のキドウは異国の地で、8年前に飢饉に苦しむ祖国を揺るがした、ある事件で出会った因縁の相手・カルマと再会する。彼らが口にするのは、事件解決の際に奇策を弄した、行商人・フェイとの思い出話。しかし、新たな疑問がキドウの中に生まれる。「あのとき祖国で、本当は何が起こっていたのか?」。真実を知ろうとするキドウに、カルマは奇妙な寓話を語り出す。「不思議なナイフで自らの”影”を切り離した男の物語」だ。物語の幕が下りるとき、8年前の事件の驚愕の真実が浮かび上がる、第7回ミステリーズ!新人賞佳作「商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)」。どんな賭けにも負けない少女の運命を描く「あれは子どものための歌」や、あらゆる傷を跡形なく消し去る医者の秘密を暴く「対岸の火事」ほか、全5編。魔女との契約で、不思議な力を得た彼らをめぐって起こる殺人や陰謀に、人間が推理の力で立ち向かう! 自在な語り口で本格ミステリの謎解きを描く、連作集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 非常に上質な5つの不思議な物語が紡がれた連作短編集。この世の理に背く願いを叶えるワジという怪しい女性に翻弄される人々の物語でもあるし、それに抗おうとする旅人のフェイの物語でもあるし、影男の物語でもあり、5つの恋物語でもある。しかし、その背後では一つの国の命運を左右する企みも進行していく。この本が作者の単行本デビューであるというから驚嘆する。次作にも期待するよ!

  • 魔女の契約で不思議な力を得た人々の物語
    「子供のための歌」美声と引替えに"どんな賭けにも勝つ力"を得た少女。最強能力だが不幸に陥る。旅人が仕組んだ声を取戻す駆引きが秀逸。
    最終話,影男カルマが人間になれば問題解決。でも魔女は意地悪。


  • 【収録作品】商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)/あれは子どものための歌/対岸の火事/ふたたび、初めての恋/諸刃の剣
    魔女との契約で、不思議な力を得た者たちをめぐって起こる事件に、「行商人」フェイが人間の知性と平和を愛する心で立ち向かう。
    フェイはいいキャラだが、最終話はちょっとうまくいきすぎな気はする。もう一人の主人公・カルマのほうが人間的か。

  • 8年ぶりに因縁のある旅人と再会した料理人
    飢饉に苦しむ国を奇策で救った商人
    不思議なナイフで自らの〝影〞を切り離した男
    どんな賭けにも負けない力を得た少女
    あらゆる傷を跡形なく消し去る名医
    宿に泊まったカップルに起きた異変
    ふらりと現れる「この世の理に背く力」を持つワジに人生を狂わされるお話したち。
    それが最後に一つの物語となって。

    アラビアンナイト?宝石の館?どこかで出逢ったような不思議な物語たちが、最後にフッと収束。
    パズルの最後のピースがパチリとハマった音がした気が。
    ただフェイとカルマと印象が似ていて途中混乱。
    狙ったのかな。

  • 最初の短編で展開される寓話風の3つの話が、次々と紡ぎだされる3つの短編を経てきれいに一つに収束していく様は、まるでジグソーパズルのようで気持ちが良かった。これほどの伏線が無理なくきれいに回収されていくのは、それだけで読む価値がある。さらにファンタジーっぽい設定が様々な道具立てを無理なく読ませる前提になっており登場人物のキャラクターを際立たせているのは、作者の筆力の高さをうかがわせる。連作として際立っているが、一つ一つの短編も、それぞれに趣向が凝らされていて読み応えがある。ドキドキしながら次々と展開していく話を読んでいる時間は、正に至福の時であったように思う。ファンタジーが嫌いでない人はぜひ読んでみることをお薦めする。

  • 最後までワジについて何も対処できないのがモヤモヤ。人間な理りを超越した存在だから仕方ないのか

  • 一作目の作中作が二作目以降思いがけない形で収斂していく。見事だと思った。
    どこの国とも知れないが、なんとなく馴染みのある世界。アラビアンナイトのような不思議な雰囲気。最初はもっと年数が経っているように思って読んでいたら8年というのは意外だった。
    ファンタジーと本格ミステリは両立する。面白かった。
    「この世の理に背く力」との因縁は終わっていない。続編も期待。

  • 8年ぶりにある旅人と再会した料理人。二人は過去の飢饉に苦しむ国を救った商人の思い出話をし、また不思議なナイフで自らの影を切り落とした男の話をする…少し不思議なちょっと奇妙な味のする一話目の「商人の空誓文」。ストーリーは時を経て、人物を少しずつ重ねて連作短編の形で進む。一つ一つの話をきちんと落としながら、5つ目の「諸刃の剣」ですべての話が伏線として緻密に組み上げられたことに気づき、読後大きく息をついた。さあ、この世の理に背こうとしたものたちの結末は。一番印象深いのは、ミステリとしての美しさに感嘆した表題作。

  • 名前がいまいち入ってこない。
    でも話は面白い

  • 魔法の使い手と知恵比べするファンタジーだった。影ってそんなに影であることが嫌なのかしら…。

全13件中 1 - 10件を表示

明神しじまの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×