- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027612
作品紹介・あらすじ
土曜日のみの営業、さらにマスターは浮世離れした高校生という変わった喫茶店「チボリ」。けれど絶品のデンマーク料理と居心地の良い空間に、常連客はつい足が向く。おしゃべり好きのお客たちはいつのまにか各々の身に降りかかった不思議な事件のあらましを話し始めるのだった。それはアンデルセンの童話を彷彿とさせる出来事で……。風変わりな店主がふるまう美味しい料理と謎解きをどうぞご堪能ください。鮎川哲也賞受賞後第一作。
感想・レビュー・書評
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土曜日のみ営業の〈カフェ・チボリ〉。土曜日のみ営業の理由は、店長のレンが高校生だから。
と言っても店の造りは本格的、内装もメニューもデンマークにちなんだもの。レンは大企業の御曹司で店は広大な自宅の敷地内にあるという、何とも現実離れしたような設定。
ミステリーに関しては、これまたデンマークのアンデルセン童話にちなんだ『マッチ擦りの少女(マッチ売りの少女)』『きれいなあひるの子(みにくいあひるの子)』『アンデルセンのお姫様(人魚姫)』『カイと雪の女王(雪の女王)』というタイトルの事件を、主人公の香衣(かい)をはじめとする常連客たちが推理し合う。最終的には店主のレンが『ヒュッゲの時間です』という決め台詞と共になぞ解きをするという展開。
最初はおぼっちゃん高校生が趣味でやっている店なのかと思っていたら、意外にも本気で経営しようとしていたし、周りの大人たちからも愛されていたのはホッとした。
常連客たちもほど良い距離感で良かったし、お店の雰囲気も良かった。
香衣の恋愛の行方についてはう~ん、だったが。
彼女の家族をめぐる物語は苦いところもあったので、少しずつ前向きになってくれたのは良かった。
肝心の謎解き部分については他の方のレビューにもあるようにやや強引だったり置いてきぼり感もあったのが残念。
途中『ワープロ』という言葉が出てきて驚いたら、作家さんは私より年上の方だった。
それから『イースターのお祭りのことを「ポースケ」と申します』という科白が出てきたので、津村記久子さんの作品を思い出した。中身は全く違うのだけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「レトロ喫茶おおどけい」の著者さん。おおどけいは未読だが、まずはこちらから読んでみようと思って借りた。
土曜だけ開店する不思議なカフェ。レンはちゃんと伯父さんとの約束を守りながら営業を続けていてえらいなぁ。そりゃ本業があるから、土曜日しか開けられないな。ヒュッゲの時間、いい言葉。
安楽椅子探偵なのはいいし、他にも”カフェで謎解き物語”を読んだことはあるが、なんだか地に足のついた感じのしない結末・・タレーランもこんな感じだったっけな? -
コージーミステリー
アンデルセンに例えるのがいいね -
土曜日のみ開店する、浮世離れしたお店〈カフェ・チボリ〉を舞台にした連作四話が収録されています。
〈カフェ・チボリ〉の店主は、大企業の子息である、高校生のレン。
絶品のデンマーク料理をはじめ、こだわりの調度品に至るまで、“デンマーク愛”にあふれた居心地のよさそうなカフェで、こんなお店があったら是非訪れてみたいですね。
さて、話は〈カフェ・チボリ〉の“客一号”となった出版社勤務の香衣の視点で進み、〈チボリ〉を訪れるお客たちが持ち込む様々な謎を、皆で“あーでもない、こーでもない”と解いていく流れです。
この、わちゃわちゃ感は楽しそうで悪くはないのですが、肝心の謎解き部分が強引というか、ちょっと入っていけないところがあって、第一話、第二話辺りは“読みやすいのに進まない”という謎の状況になっていました。
第四話で香衣に脅迫状が届いた辺りから、“らしくなってきたぞ・・”という感じで、この話の謎解きは楽しめました(“犯人”の自己本位っぷりには呆れましたが・・)。
デンマークといえば、アンデルセン。ということで、何かとアンデルセンを絡めてくるのを含めて、全体的に“デンマーク推し”の本書だけあって、デンマークの魅力は十分伝わりました。特にデニッシュは美味しそうですね! -
軽く読めるミステリでした。
ヒュッゲの時間、持ちたいです。
カフェ・チボリはちょっと現実感無さすぎるのですが、デニッシュもお通しみたいな酒の肴も、紅茶も美味しそうで素敵でした。デンマーク料理かぁ。
レンくんめっちゃ愛されてるな〜カフェ続けるのかおじさんの会社を継ぐのか気になるけどまだ高校生だからこれから何にでもなれる。
登場人物は如月先生がとても好きでした。 -
長く続く塀、噴水の先にあるカフェ・チボリ。
たまたま開店日に来店者1号となった、絵本編集者の香衣は土曜日しか営業しない、不思議なカフェの常連となる。
絶品のデンマーク料理と居心地の良い空間に、おしゃべり好きのお客たちはいつのまにかそれぞれの身に降りかかった不思議な事件を話し始める。
語られる事件は、カフェの空気のせいか、どこかアンデルセンの童話と重なって。
教会の土曜学校で起きた、お金の盗難疑惑とマッチを擦っていた少女「マッチ擦りの少女」
陶芸教室で知り合った美術商が別荘に彼女を招待した理由とは「きれいなあひるの子」
幻の大女優の若かりし頃の思い出、デンマークのバーで出会った彼女の正体は「アンデルセンのお姫様」
チボリの常連さんと関わりのある教会の火事と、常連さんたちへの脅迫状、犯人とその狙いは「カイと雪の女王」
チボリのオーナーのレン、マスター風老紳士のシゲさんのカフェに集う常連さん。
自分に自信のない香衣、定年してのんびり過ごす石川、元大学准教授の如月先生。
登場人物はそれぞれ魅力的なのだけど、毎回語られるデンマーク蘊蓄が長くてツライ。
全体的にミステリの結末がピンとこないというか、香衣が徐々に自信をつけて前向きにはなっていくんだけど、ラストもなんだかなー。
ステキな空間だったのに残念な感じ。
あ、でもアキくんの登場はびっくりした。
これはちょっとうれしかった。 -
他の方の感想がピリ辛多めでちょっと意外。たぶん私の頭がお気楽なのだろう。謎解きも話の設定も十分面白いと思った。何しろ、そもそも小説なので何があってもいいと思ってる。デンマークやアンデルセンのおとぎ話が絡んでくる短編集だけど最終話の伏線回収の仕方はぜんぜん悪くない、、むしろ一気にシリアスみが増して面白かった。ほっこり系のミステリかと思いきや、宮部みゆきミステリに出てくるようなえげつないクラスの悪人をぶっ込んできていて度肝を抜かされた。
ミステリもいいけど、何よりデンマーク愛が半端ない。食べ物もおいしそうだし、履き心地の良さそうなウールのスリッパや超高級ロイヤルコペンハーゲン・フローラダニカのカップ。。。カフェ・チボリの名前も最古の遊園地チボリ公園からきてるし。色々と検索してもうた。
行きたいなこの国! -
土曜にしか営業していないカフェ・チボリ。
こういうとこの常連になってみたいものです。デンマーク料理、食べたことないな…。