戦場の希望の図書館: 瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々 (創元ライブラリ L ミ 1-1)
- 東京創元社 (2021年11月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488070854
作品紹介・あらすじ
2015年、シリアの首都ダマスカス近郊の町ダラヤでは、市民がアサド政権軍に抵抗して籠城していた。政府軍の空爆で建物が破壊され、隣人が犠牲となる中、ダラヤの若者たちは瓦礫から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。知の力を暴力への盾として闘おうとしたのだ。ジャーナリストの著者は、図書館によって彼らが得た希望を記録していく……。図書館に安らぎを、本に希望を見出した人々を描く感動のノンフィクション!(単行本『シリアの秘密図書館』改題・文庫化)
感想・レビュー・書評
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本は、体の傷の手当てはできないが、心の傷を癒すことはできる・・・名言だ。
シリア内戦。9割が破壊された町ダラヤ。微かにつながるネットにより伝えられる、抑圧され過酷な環境下で生きること・知ることへの希望…。瓦礫から本を救い、地下に秘密図書館を作る若者たち。この凄い精神はどこから来るのだろうか? 平和ボケで、狭いコミュニティの中だけで過ごしている自分には真似ができない。
どうしても現在進行中のウクライナ侵攻と重ねてしまう悲惨さ。読み進めるのが辛くもあるが、何が正義か分からない背景を知ることも必要で、多様性や共存が真に実現する世の中を切に望みたい。更には、間違っても世界中の素晴らしい本が弾圧されることなどないよう願う…。 -
その場所に住んでいる、というだけでテロリストとして認識される、そんなことがあっていいのでしょうか。国籍、住所、性別、宗教、その他いろんな立場を一括りにして、レッテルをはることに何の意味があるのでしょう。
後半に向かうにつれ、切なく苦しくなりますが、でもこの本に出会えてよかったと心から思います。まずは知ること、そして、行動を起こすこと。
今の状況だからこそ、読んで良かったと思います。 -
衝撃的な戦禍と、その中で精神の拠り所となった図書館という場と読書行為の尊さ。
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この本か発行されたとき、まだウクライナ侵攻の前だった。
シリアの町で起きた惨事は過去ではなく、場所を変えて起きている。
普通の朝、昼、夜、生活が訪れてほしい。