緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488101183

作品紹介・あらすじ

異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン。下宿を探していたところ、同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ-。永遠の名コンビとなるふたりが初めて手がけるのは、アメリカ人旅行者の奇怪な殺人事件。その背後にひろがる、長く哀しい物語とは。ホームズ初登場の記念碑的長編。

感想・レビュー・書評

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  • ホームズ初登場こんなに面白かったとは!はじめは懐疑的だったのに推理を目の当たりにして驚嘆するワトソンと褒められると小娘のようにはにかむホームズ、語録や刑事達との駆け引き、〈ベイカー街少年隊〉の活躍など読みどころ満載。

    • ゆたこちさん
      111108さん、「こんなに面白かったとは!」に共感です。読みやすいボリュームの中にお楽しみ盛り沢山で、再発見でした。
      ベイカー街少年隊は番...
      111108さん、「こんなに面白かったとは!」に共感です。読みやすいボリュームの中にお楽しみ盛り沢山で、再発見でした。
      ベイカー街少年隊は番外編で1冊あれば良かったのになー、と思うくらい好きです(^-^)
      2023/03/12
  • ホームズの本は、少年少女版でしか読んだことがない私。
    ロンドンの話ばかりかと思っていたため、この本に「モルモン教が登場する」と聞いて仰天し、読んでみました。

    どんなストーリーだったのか思い返そうとしても、まったく出てこないタイトル。
    『まだらの紐』と混ざってしまっているようです。

    ホームズとワトソンが知り合って、同居生活を始めるストーリーで、ホームズシリーズ最初の話のようです。
    ホームズは思ったよりも人間くさく、ポーのデュパンやガボリオーのルコックを大否定していました。
    ホームズは、年代的に彼らに続く第三の男と言ったところでしょう。

    警察で解決できない難事件を、依頼されるホームズ。
    現代日本にも、このような最終兵器的な探偵はいるのでしょうか。

    たちどころに犯人を見抜き、問題を解決してしまう、その早さに驚きます。
    かなり尾を引く遺恨が原因で、物語は過去にさかのぼって詳細に語られます。
    もともと悲劇が起こったのは、アメリカのソルトレーク・シティで、そこでモルモン教が関係したというわけでした。

    モルモン教の指導者、ブリガム・ヤング自身までも本作に登場します。
    かなりバイアスがかかったモルモン教の描かれ方であるため、教徒からクレームを受けたことでしょう。

    ホームズシリーズでは、アメリカ開拓者やモルモン教徒について全く読んだ記憶がないため、少年少女版では完全に省略された箇所ではないかと思います。
    犯人は、アメリカで恋人を金づくで奪われて殺された復讐に燃えて、原因となった男に報復すべく、ペテルブルク経由ロンドンまで追ってきたというわけです。

    裕福な男に比べて貧しく、日銭を稼ぎながら10年間追跡を続けた犯人。
    読者は全員、犯人の味方につくことでしょう。
    ホームズの推理よりも、復讐劇の純粋性と継続力に圧倒されました。

    ロシアンルーレット式の、公平な毒殺を行い、犯行現場についていた血痕は復讐を遂げられる男が興奮して流した鼻血だったというのがひねりですが、たしかにのぼせて出血するほどの激しい内面を持つ人物であることに納得します。

    ホームズものには、どこか優雅な印象がありますが、殺された男の所持品にボッカチオの『デカメロン』ポケット版があったところに、インテリさとゆとりを感じました。
    大英帝国における紳士としてのキャラクターイメージでしょう。

    『緋色の研究』の『緋色』に、血を連想しておびえていましたが、本文中に「人生という糸の束から、殺人という赤い糸を引き抜いて明るみにする行為」と説明されていました。
    学者然としたタイトルだと思います。

    子供の頃、ミステリーは怖くて苦手で、イヤイヤ読んだ記憶がありますが、そろそろオリジナルの翻訳を読んでみるのも良さそう。
    発刊当初のイラストが掲載されており、雰囲気たっぷりでした。

  • ■書名

    書名:緋色の研究 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ
    著者:アーサー・コナン・ドイル

    ■概要

    異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン。下宿を探していたところ、
    同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。
    下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ―。
    永遠の名コンビとなるふたりが初めて手がけるのは、アメリカ人旅行者の奇怪な殺人事件。
    その背後にひろがる、長く哀しい物語とは。ホームズ初登場の記念碑的長編。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■感想

    題名から内容が全く想像できない物語です。
    なかなか、面白い題名だな~と思いますね。

    実質、本作がホームズの一作目ということになりますね。
    ワトソンと出会ってから、最初の事件です。

    構成としては、一部と二部に分かれていて、一部で事件を解決し、二部でその事件発生までの壮大な
    背景を描いている感じです。
    自分が読んでいる範囲だと、海外ミステリーはこの構成が多い気がします。
    (そんなに数読んでいないので、狭い範囲での感想です。)

    悲しい背景でありながら、どこかもさっぱりしているのがホームズの特徴という感じがしますね。

    長編は少ないので、貴重な長編ですが、ホームズは短編、長編ともしっかり「ホームズ」
    しているの物語は面白いです。
    (後半は、ホームズが推理してなかったり、超常現象、オカルトが入ってくるのもあるので
    そこら辺はあまり好きでなかったりします。)

    脱線しました。

    本作は言ってしまえば「恋愛がらみの復讐劇」。それだけです。
    それでもホームズとワトソンというキャラクターが関わるだけで、ここまで面白くなる
    のはさすがです。

    これを機にホームズ、全部読もうと思います。
    やっぱり、好きです、これ。

  • はじめて読んだシャーロック・ホームズ。序盤、シャーロック・ホームズがいけすかない。相手をバカにして天狗になっている。これがキャラクターミステリーか、と思う。
    後半のユタ州のモルモン教の話は冒険物語で面白かった。

    解説が読んだのを後悔するくらいひどい。こじつけが凄まじい。読まない方がいい。

  • 唐突に第二部冒険編始まった時にはどうしようかと思った。

    しかしあのあざやかな舞台転換、展開は今見てもなお素晴らしい。

  • 彼との出会いは小学生の時である。
    近所の人が母に「お子さんが本好きだから」と1冊の本をくれたのだ。
    児童むきの『まだらのひも』と『青いルビー』が読める本だった。

    面白くてワクワクと夢中になって読んだものである。
    読書感想文もこれで出した。
    思いがありすぎて、書くことができなかったのを覚えている。
    「推理小説で感想文を書くのは難しいでしょう」と、先生には赤ペンを入れられた。

    全集を読み通したのは高校生の時だった。
    ということは、私は彼の話をすべて読んだはずである。
    それでも飽き足らなくなて、パスティーシュやパロディまで読みまくったのは大学生の時だったか。

    こうしてみると、彼シャーロック・ホームズは、私の数ある初恋の相手といえるのではないか。

    『緋色の研究』はご存じだろうが、数あるシャーロック・ホームズ冒険譚のはじめである。
    数々の出版社が、数々の翻訳で、数々を出版している『緋色の研究』だが、このたび東京創元社が特装版を出した。

    東京創元社が創立70周年を記念してのアニバーサリーカバーである。
    タイトルにふさわしい真っ赤な装丁だ。

    『名探偵コナン』や『憂国のモリアーティ』などもふくめて、派生作品の多さがシャーロック・ホームズ・シリーズの特徴である。
    数々ある派生作品を楽しむのは大いに結構だ。
    けれども、とにかく本家を読むべきだ。

    「ホームズ本編にはさほど興味はないから」
    「コナン/モリアーティで充分ホームズは語られているから」
    などなど言う気持ちもわかる。
    わかるけれども、そうした漫画や映画、小説などの派生作品を楽しむためにも、本家=聖典は読むべきなのだ。

    特装版はいい機会ではなかろうか。

    2025年12月までの限定アニバーサリーカバーである。
    Amazonや楽天などの通信販売では、特装版ではないものが届くこともあるので、本屋で、目で確かめて買うのがおすすめだ。

    真っ青な『パーフェクト・ブルー』宮部みゆき著
    紫色の『宇宙戦争』 H・G・ウェルズ/中村融 訳
    そして真っ赤な『緋色の研究』 アーサー・コナン・ドイル/深町眞理子 訳

    3冊が並んで飾られているだろう。

    よい機会なので、ぜひ読んでいただきたい。

  • シャーロックホームズは好きなので、これはこれで好きですが、ずっと昔に読んだ時はもっと面白く感じたんだけど。話の展開が少し粗く感じてしまった。好きなんだけどね。

  • ホームズとワトソン博士が出会う経緯から事件の解決まで、読者を楽しませてくれる。現時点で分かっている事実から過去の事実を推理するホームズ。話を聞けばなんてことはないが、その推理をする能力が特殊技能なのだ。唐突に犯人が逮捕されて、驚くのだが、その背景にあるものをホームズはすべて推理していた。裏にこんな大きな物語が隠れているなんて、普通の人は分からんぞ。恐るべしホームズ。味方にすると心強いが必要以上に自分の行動を見透かされてしまいそうで怖くもある。

  • 高校生の時に「そして誰もいなくなった」を前半あたりで読むのを挫折して以来の推理小説でした。
    気づいた時にはもうハマっていて、あっという間に読み終わりました。シリーズ第1作ということで、重要な設定が思っていたよりも詳しく書かれていました。

  • 単純に面白かったし、ワクワクした。第2部は今の時代ではきっと無理だろうなと思うけど、それも含めて興味深く読めた。
    テレビドラマのシャーロック・ホームズも見たいと思う。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2023年 『コナン・ドイル① ボヘミアの醜聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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