Zの悲劇 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104030

感想・レビュー・書評

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  • 全ての手掛かりを用いれば容疑者を次々と消去することが出来、最後に犯人だけが残る仕組みとなっています。「利き手」に関してはやや説得力に欠ける気がしますが、ドルリー・レーンの推理に概ね隙がなく、かなり完成度の高い作品だと思います。
    ただ、事件が小粒なのと、犯人のアリバイや動機がノータッチなのが残念で、前二作と比べるとやや落ちる印象です。

  • 2013年11月5日(火)、読了。

  • 読む前に調べた感触では、「X」や「Y」に比べ何枚か落ちる評判だった気がしたのですが、思いのほか楽しめました。レーン氏がミスった場面が印象的でした。

  • 今月の6冊目。今年の118冊目。

    久々のエラリー・クイーン。正直、海外物を読んでいて、総じて思うことは、こんなに頁数いらないんじゃないの?ということ。文章中の表現や言い回しがしばしば適切なのかどうか判断しかねる。まあ、それはもしかしたら訳者の問題なのかもしれないけど。Zの悲劇は、正直最後の詰め以外は、あまり面白いなーとは思いませんでしたね。もうちょっと、コンパクトだったら違っていたかも。

  • ドルリー・レーン4部作の3作目。

    前作までとは違い、ペーシェンスという若い女性探偵が語り手となっている。今までの重厚な雰囲気が薄れた代わりに読みやすくなっているが、これは賛否両論だろう。

    ニューヨークの田舎町で上院議員が刺殺され、政治的陰謀が渦巻く中、巨大な刑務所を主な舞台として事件と捜査が展開される。

    特色としては、囚人の処刑シーンが念入りに描写されているシーンがあり、クイーンの死刑廃止の主張を感じることができる。そういう意味では時代に先行した社会派ミステリーとも言える。

    本作でデビューしたペーシェンスだが、はっきり言ってあまり存在意義がなかった。前作から10年経っても未だ健在なレーン一人でほぼ全て解決できてしまうからだ。表題の「Z」の意味も無理やりなのは否めない。ということで、前作、前々作より一段落ちる評価。

    個人的な見所は、ブルーノ知事(元地方検事)の雄姿。残念ながら本作が最後の出番となってしまったが、刑務所に突入するシーンは本当に格好良かった。

  • 「ドルリー・レーン」シリーズ第三作。
    個人的に鮎川信夫氏の訳が肌に合わないため、その点で☆がひとつ下がる。それを理由にやや斜め読みになってしまったものと断ってのレビューとする。
    最後の謎解きのために微に入り細に入り綿密に線を入れていく周到なやり方は、やはり流石と言わざるをえない。
    堂々と「挑戦」を銘打たなくとも、これだけの密度の、読者参加型の解決はそうそう書けるものではない。
    それだけに、犯人があの人物となると、その証拠立ての必要性も薄れるのではないかという気がしてしまうのは勿体ないところだと思う。
    加えて、事件の動きが遅いのも気にかかった。人は死んでいるがミステリの匂いがしない。ひょっとすると、というミスリードもない。最後に一気に並べ立てて解決へ、となる。そこまで行って初めて、事件としての緊張感が顕れるような気がする。
    よほど構えたミステリ・ファンに向けての筋立てということになるかもしれないが、読むにあたってはなかなかの根気がいるのは否定出来ない。
    しかし、死刑執行のシーンは怖気を誘うホラー(とすると語弊を招くかもしれないが)である。そういうメッセージ性の強さ、異端さが当作品の突出した味かもしれない。

    世間的には「Y」が傑作とされているが、個人的にはこの「Z」の方が作品としての完成度は高いものと思う。「Y」の衝撃は、現代においてどうしてもいささかチープになる。
    逆に、本格ミステリというものに対して造詣の深い人にとっては、この作品は変化球に映るのかもしれない。

  • Zの悲劇読了。ほんとにこの悲劇シリーズはすごいなー!現代で読んでも遜色ないくらいドラマティックで波のあるストーリー!クライマックスにかけて読者を心底はらはらさせるのは、Yの悲劇でえげつないラスト踏まえてるから余計にですね。こちらは劇的な解決ですがやっぱり悲劇には違いなかった…

  •  「Yの悲劇」から10年余りの時が流れ、レーンを取り巻く人々も年老いた。
    若さの象徴のような風貌だったレーンも老いと病にさいなまれている。
     それに替わる若い女性の手記として物語は進んで行く。レーンの推理を見る楽しみが減り、別なシリーズとしてしまったほうがすっきりするのでは?と思える。女性探偵への期待も沸いてくる。

     事件の背後にある秘密も、ホームズものを彷彿とさせるが、それにしてはちょっと物足りないか。
     しかし、ミステリファンならやはり4部作と聞けば制覇しないわけにもいかないだろう。

  • X,Yと続く第3作、シリーズ中では最も、評判が良くない、「異色作」とされているようです。しかし、僕はこれが一番好きです。

    ちょうどこれを読んでいる今晩、グリーンマイルが放送中なのは、出来すぎた偶然か(これって、ネタばれ?)。

  • 政界のボスとして著名な上院議員の、まだ生温かい死体には、ナイフが柄まで刺さっていた。被害者のまわりには多くの政敵と怪しげな人物がひしめき、所有物の中から出てきた一通の手紙には、恐ろしい脅迫の言葉と、謎のZの文字が並べてあった。錯綜した二つの事件の渦中にとび込むのは、サム警部の美しい娘のパティと、レーンの名コンビ。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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