ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.19
  • (8)
  • (25)
  • (39)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 582
感想 : 34
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488110130

作品紹介・あらすじ

奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモアで、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が真相を口にすると、世界の風景は一変する! ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックの「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」等12編を収める。解説=戸川安宣

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古典、往年の名作を知ると読みの視野が広がる。
    純文学系の古典、名作にも手を伸ばしたいところだが、主なテリトリーであるミステリで手一杯である事情はさておき。

    ということで、ブラウン神父シリーズ第一作目、『ブラウン神父の童心』。
    ぼんやりとした丸顔で小男のブラウン神父と、犯罪界に名を馳せていたがブラウン神父との幾度かの邂逅を経て改心し相棒となったフランボウのコンビが各地で巡り合う事件を解決していく。

    チェスタトンは初読。なるほどこういう作風ね。
    う~ん、何か入り込めない。
    あくまでも個人的な感覚だが、文化的地理的違いによりあまり思い浮かべられない細かな情景描写が多いなと思うのと、3人称語りということもあるのだろうが、一話一話の入りが毎回違う雰囲気がして一話毎につんのめる感じ。
    連作感が薄いというか、ぶつ切りにされているというか。

    それでも、一冊読み終える頃にはブラウン神父の全てを見透かす目、罪人の心に宿る微かな光に情を寄せるはからいがしっかり印象付きました。
    フランボウはもっと活きてもいいと思うのだけどな。

    • fukayanegiさん
      111108さん、こんにちは
      コメントありがとうございます!

      111108さんは10代にしてブラウン神父派だったのですね!
      情景描写がよく...
      111108さん、こんにちは
      コメントありがとうございます!

      111108さんは10代にしてブラウン神父派だったのですね!
      情景描写がよくわからないのは海外ミステリあるあるで慣れていたつもりだったのですが、何があわなかったのか思ったようにページが進まなくて、ちょっともやもや読書でした。
      10代にしてこの難しさの中に至言を見つけていたとはさすがです。

      『知恵』には少しおいてからチャレンジかなー、なんて思ってます。

      懐かしさ補正ってありますよねー。
      今読んでいるやつなんか補正かかりまくりな気がしてます。
      2022/11/19
    • 111108さん
      fukayanegiさん、お返事ありがとうございます。

      ブラウン神父派?難しそうなのを好きな私=渋くてかっこいいと思ってたんでしょうね。ち...
      fukayanegiさん、お返事ありがとうございます。

      ブラウン神父派?難しそうなのを好きな私=渋くてかっこいいと思ってたんでしょうね。ちょっと恥ずかしい‥。

      fukayanegiさんの懐かしさ補正かかり気味のレビュー楽しみです!
      2022/11/19
    • fukayanegiさん
      111108さん

      すみません、ずばりそんな感じでしたw
      111108さん

      すみません、ずばりそんな感じでしたw
      2022/11/19
  • 円顔の小柄な老神父、ブラウン神父。
    亡くなった人に寄り添うため、教会関係者に呼ばれて、事件現場の端に居ると思ったら、あっという間に事実を暴く13篇。
    なんて書くと、殺伐とした印象だけれど、ブラウン神父はどこまでも穏やかに真実を指摘する。
    稀代の怪盗、フランボウをいつの間にか改心させて相棒にしてるし。
    何事も力押しなフランボウとそれを諌めつつ淡々と謎を解くブラウン神父のコンビも楽しい。
    それにブラウン神父が赴く館、屋敷が素敵だった。
    精美を誇る古庭を見晴らすベランダ、怪奇とさえいえる美しさの熱帯植物がところせましと繁茂しているガラスの温室、竹か強い熱帯産の籐で出来た河面の細長い家、陽ざしをいっぱいに受けた田園の上に豪雨を降らす暗雲となって腰を据えているかに見える教会。
    ドラマなら映像でみられるのかな。

    青い十字架 奇行を繰り返す男の謎
    秘密の庭 警視総監の自宅に現れた首を切断された死体
    奇妙な足音 会員制レストランに響く奇妙な足音の秘密
    飛ぶ星 クリスマスの晩に消えたダイヤモンド
    見えない男 3人が見張る部屋から消えた犯人
    イズレイル・ガウの誉れ 失踪した古城の主と首無し死体
    狂った形 東洋通の芸術家の不審な死
    サラディン公の罪 僻地で隠遁生活を送る公爵の結末
    神の鉄槌 小さなハンマーで撲殺された男
    アポロの眼 新興宗教の祈りの最中に起きた転落事故
    折れた剣 英雄の将軍の真実
    三つの兇器 死を感じさせない朗らかな男の死の真相

  • 奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモアで、名だたるミステリのひとつブラウン神父シリーズ短編集がリニューアル。ブラウン神父初登場の「青い十字架」、大胆なトリックの「見えない男」、有名な警句で知られる「折れた剣」など全12編を収録する第一集。原書名 原タイトルはThe innocence of Father Brown。
    青い十字架/秘密の庭/奇妙な足音/飛ぶ星/見えない男/イズレイル・ガウの誉れ/狂った形/サラディン公の罪/神の鉄槌/アポロの眼/折れた剣/三つの兇器

    言い回しが長く色々で、同じ人物を示す表現がたくさんあり、名前や特徴を全てを把握しながら読み進めなければなので、読みにくかった。トリック解決が単にブラウン神父のさらりとした解説のみ。変装名人の怪盗から探偵になり、ブラウン神父のパートナーとなるフランボウが魅力的な人物のようだが、活躍があまり感じられない。推理小説の祖的な作品なので仕方ないのか。

  • 修飾が多いが物語の骨格はシンプルでわかりやすいし謎に魅力がある。完成度が高い。トリックがシンプルなのもわかりやすくていい。
    探偵のブラウン神父に魅力はない。フランボウの方がいい。

  • 外国ミステリはそれなりに読んできましたが、情景描写が私にはかなり読みづらかった。また短編ごとに視点が変わり、そこも読みづらさのひとつかなと感じます。
    古典ミステリとしては有名なので、ミステリ好きの方には一度は読んでおくことをオススメしますが、外国のミステリをまだ読んだことがない方は、オススメしにくい作品です

  • ドラマがとても面白かったので、原作を読んでみることにした。ドラマの脚本が時代設定や登場人物も含めて、いい感じに変えられていることがよく分かった。正直、ドラマほどの面白みは感じなかった。

  • トリックもキャラも非常に面白いのだが…。なぜだか合わない。このもってまわった表現が。わざわざ遠回りするような。「ジェゼベルの死」もそうだった。読みにくいのだ。これわもう、これまでの読書体験による癖のようなものだろう。楽しめなかった。残念。

  • みんな大好きブラウン神父、と評判なので試しに読んでみた。
    ブラウン神父というキャラクターは非常に好感が持てる。ポワロやホームズと違って穏やかで腰が低く、推理をもったいぶり方も哲学的でおもしろい。
    自分の時代背景に対する知識が浅いのもあってか、自分が謎解きをするというよりはブラウン神父の語りをなぞるという楽しみ方しかできなかった。
    有名な「折れた剣」はさすがにおもしろかった。

  • G.Kチェスタートン(1911年M44年)
    ブラウン神父シリーズ初読み。世界三大探偵はホームズ、ポアロとブラウン神父らしいとも。
    小柄で団子鼻でパッとしない神父さんと天下の盗賊から足を洗った長身イケメン探偵の凸凹コンビが深い洞察で難解な事件を解決してゆきます。ゆるーい設定BBCドラマシーズンは大好きでよく観てます。

  • とんだ惚け神父に違いない、と読者が思わざるを得ない描写から始まるブラウン神父のお話。お団子のような外見とは裏腹に、実に論理的で明快・鋭い観察眼は後のアガサ・クリスティのポワロやミス・マープルのように人物の見た目と反する意外なほどの知性を持った名探偵……そういうスタイルがある。愛着を持て、人間味溢れるキャラクターだとブラウン神父はいえる。
    書籍としての構成の妙も、この本にはある。私と同じように全くの初見で読む人は、ワトスン役とモリアーティ役が誰なのか考えながら読むと大変悔しい思いをする。というかしてほしい。とっくの昔に亡くなっている作者に笑いながら石を投げつけたくなる構成です。初見だけの楽しみですね。すごくワクワクしたし、してやられた!という気持ちになる。
    作者はとにかく捻くれていると読みながら感じる。皮肉を言わないと死ぬ病だとしかおもえないほど全編皮肉、ブラックユーモアばかりで楽しい。一番お気に入りをひとつ引用しておく。

    p219 『サラディン公の罪』

    ボートはかろうじて二人が楽に乗れる大きさで、他には必要品を容れる余地しかなかったが、フランボウはその余地を、彼独自の哲学が必要とみなした品々で満たした。つまるところ、それは四つの必需品に帰着した。
    鮭の罐詰ーーこれはものを食べたくなったときの用意。
    装填した拳銃ーーこれは射ちたくなったときの準備。
    ブランデーが一本ーーこれはおそらく失神した場合に備えて。
    そして最後に神父が一名ーー察するにこれは死ぬ場合に対処してのことだろう。

全34件中 1 - 10件を表示

G・K・チェスタトンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×