帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118044

感想・レビュー・書評

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  • フェル博士もの。乱歩が選んだトップ十の中の一作です。カーですが密室者でない作品ですが、そのトリックは何かとこんがらがっていて――つまり複雑で――本質がつかみにくいです。犯人についてはあまり意外性はなかった気がします。まあ、フェル博士だし、サスペンスがありますね。

  •  古典ともされるべき名作。
     十分に楽しめた。
     しかし、どうもロンドン塔の見取り図が読み取りにくかったのが残念だった。

  • 夜霧たちこめるロンドン塔逆賊門の階段で、シルクハットをかぶった男の死体が発見され、いっぽうロンドン市内には帽子収集狂が跳梁して、帽子盗難の被害が続出する。終始、帽子の謎につきまとわれたこの事件は、不可能興味において極端をねらう作家カーが、密室以上のトリックを創案して全世界の読者をうならせた、代表的な傑作である。

  • ギデオン・フェル博士もの。
    ロンドン塔の逆賊門で一人の男の死体が発見される。死体は服装に不似合いなシルクハットをかぶっていて、折しもロンドンでは他人の被っている帽子をひょいと盗む「帽子収集狂」騒ぎが起きており、シルクハットもそうして盗まれたものの一つ。被害者の叔父の家ではポーの未発表原稿の盗難事件も起きており…

    というもう設定だけで面白そうすぎる。結末もあっと驚くものがあり、かなり満足。新訳が出ているのに旧訳で読むのはどうかな、と思ったけど案外スルスルだと読めた。これまでに読んだカーが、わりと重厚なものが多かったので、フェル博士のおかしなキャラクターがかなり興味深くて面白かった。ゴム製のネズミが飛び出すくだりなんか思わず吹き出してしまった。

    しかしまあ結末よ!そんな陪審制みたいな…と思ってしまった。今時のミステリだったらこの結末には絶対しないのではないかしら。でもこれはこれで味がある。「絶対にしゃべるな!」と叫ぶフェル博士の人間味よ…。

    解説で中島河太郎がなんで「マッドハッター」なんだみたいなことを書いてるのが、そうか不思議の国のアリスがそこまで人口に膾炙してない時代の解説・訳なのか!という発見になってかなり興味深かった。

    唯一残念だったのがロンドン等の見取り図がすごくわかりにくいこと。どこが建物なのかとかがさっぱりわからん。新訳だと違う図なんだろうか? ロンドン塔自体はなんとなくイメージはあるんだけど。観光名所をこんなふうに使うのもおもしろいな。

  • 舞台装置は素晴らしいのだが、あまり話に乗れず。カーとは相性が悪いのかもしれない。

  • 3-

  • フェル博士シリーズ第2作目で私にとって初めてのカー長編。私はこの作品でカーが好きになった。というよりも「カーってこういう作家なんだ」と理解した作品である。

    盗まれたポーの未発表原稿の捜索とロンドンで頻発する帽子盗難事件が同時進行的に語られ、やがて帽子盗難事件の犯人と目されている「きちがい帽子屋」を追っていた新聞記者がシルクハットを被った他殺死体として発見されるという、3つの事件が錯綜する非常に贅沢な内容になっている。

    実は私はこの殺人事件に関してはほとんど覚えていなく、それ以外のポーの未発表原稿の行方と帽子盗難事件の方が非常に鮮明に記憶に残っている。それほど私にはインパクトがあったのだ。この全く関係ない2つの事件がある接点で結びつく。それはある人は非常にバカバカしいと思うだろうが、私はよくもまあ、こんなことを思いついたもんだと非常に感心した。この着想の妙がツボにはまり、一気にカーが好きになってしまった。
    そして乱歩もこの作品を推しており、黄金期ミステリ十傑の中に入っている。しかしカーの他の作品を見渡してみると、この作品以上に出来のよい作品はまだあり、ミステリ読者ならびに書評家の中には「よりによってなぜこれを?」という疑問の声は多い。しかし私はなんとなく乱歩が本作を選んだ意味は解るように思う。ポーの未発表原稿盗難事件と帽子盗難事件という全く接点の無いと思われた事件が、シルクハットを被った他殺体という接点で結ばれる、この着想を買ったのだと思う。私同様、これをバカバカしく思わず、何たる発想と快哉を挙げたに違いない。

    ちなみに本書の原題は“The Mad Hatter Mystery”という。現在ならば“Mad Hatter”と云えば、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』の方が広く知れ渡っている。後年になって私はクイーンのその作品を読んだが、なんの共通点も見出せなかった。『Yの悲劇』が1932年の作品で本書が1933年の作品であるから“Mad Hatter”という呼称を通じて、イギリスで何かあったのかもしれない。時間があれば今度調べてみたいと思う。

  • 新訳が出てるが図書館には古い方しかなかった。
    カーの作品は訳の良し悪しで面白さが違うような気がする。十代に色々カーやらカーター・ディクソンやら読み漁ってすっかり忘れているので今再読中。作品の出来不出来が激しいとよく言われるが、クリスティより印象が薄いのはそのせいかも 。せっかくロンドン塔やポオの未発表原稿が出てくるのだからもうちょっと怪奇趣味が強くても良いのに。帽子をかぶる習慣もないので、隠し場所がピンと来ない。

  • 読みにくかった。
    解決のところはやっぱ面白くてどんどん読めました。
    個人的感想ですが、フェル博士以外の登場人物に魅力があまり感じられませんでした。
    「皇帝のかぎ煙草入れ」のほうが自分は好きですね。

  • かなり犯人の設定には難のある作品ですね。
    言葉は悪いかもしれませんが、こじつけですもの。
    そのままの設定で終わらせてしまっても
    違和感全然なかったのに…


    よってトリックはハチャメチャになってしまい
    読む人によってはこれまた
    展開が追いづらいという悪循環に。
    フェル博士の推理がいいだけにかなり残念です。

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