- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488120016
作品紹介・あらすじ
事故で昏倒したことがきっかけで、記憶喪失から回復したタウンゼンド。しかし、彼の中では三年半の歳月が空白になっていた。この年月、自分は何をしてきたのか?不安にかられる彼の前に現れた、瑪瑙(めのう)のような冷たい目をした謎の男。命の危険を感じ取った彼の、失われた過去をたどる闘いが始まった。追われる人間の孤独と寂寥を描かせては並ぶ者のない、サスペンスの名手の真骨頂。解説=三橋暁
感想・レビュー・書評
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道を歩いていて上から落下物に当たって、家に帰るとどうも様子がおかしい。引っ越しているというのだ。引っ越し先に行くと妻はいた。引っ越して3年半にもなるといい、あなたは突然いなくなったのだと。その3年半の記憶が無い。おまけに誰かにつけられている。どうやら俺は犯罪を犯したようなのだ。というわけで、3年半の間の自分を探り、真実を突き止める。
ウールリッチの唐突な物語の究極形かも。空白の3年半に至るのも、戻るのも唐突でSF的な感じすらする。それを超えるのは、妻への、3年半の間の相手への、愛。
訳者の宇野利泰氏は1909年生まれ。生きていたら113歳です。おまけに住所まで記載されているのには驚く。1960年にはこうだったのか。
1941年発表
1960.2.19初版 1987.6.5第30版 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017年東京創元社の復刊フェア対象作品。長編とはいえ、分量は少なめで、とにかくテンポよく進むのであっという間に読めます。その疾走感を楽しむ作品でしょうか。良かったです。
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復刻版で読み終わり。
スピーディでテンポの良いサスペンスドラマを観ているような感じだった。最後まではらはらしながらもどこかで安心しながら楽しく読めた。ただ、記憶の無いあいだ、ルスやご隠居さまとどんなふうに過ごしてたのかもう少し見たかったなぁ。 -
復刻の新カバーで読んだ。
するりと読める、都会の哀愁。 -
サクッと読めるが結構深い。
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アイリッシュ1941年の作品。極めてモダンなスリラーであり、濃密なサスペンスを堪能できる。
会社帰りに崩れ落ちてきた瓦礫を身体に受け、意識不明の状態から回復した男。名は、フランク・タウンゼント。ようやく家へと帰り着くが、今朝、男を見送ったはずの妻の姿は無く、管理人に尋ねると随分前に引っ越したという。男は住所を聞き、妻に会いに行く。出迎えた女は朝の様子とはすっかり変わり、老けていた。そして、脅えた妻から「あなたは3年前に失踪した」と、告げられる。
この謎に満ちた導入部から物語は一気に加速し、不可解な状況は更に深まっていく。
会社に復帰したタウンゼントは、街角で拳銃を持った鋭い目付きの男にいきなり追いかけられ、命からがら逃げだす。失われた3年の記憶。一切は黒いカーテンに遮られているかのようだった。タウンゼントは、自分が何者であったのかを探るために、意識不明となった現場へと向かう。失くした記憶を知る謎の女との出会い。さらに明らかとなったのは、自分は殺人者として警察に追われる身であるという悪夢のような事実だった。重苦しい不安と焦燥感を抱えたまま、タウンゼントは己自身が「加害者」となる殺人事件を追い始める……。
短い小説だが、それだけに無駄なく引き締まっている。アイリッシュならではの男女のロマンスも絡めつつ、絶望的な状況下でさえ希望を捨てない孤独な男の生き方を乾いた筆致で描き切る秀作だ。幕切れも哀感に満ちている。 -
わけもわからず何者かに追跡される恐怖!うまいです!短いものですぐ読めるしオススメです!
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小学校に置いてあった(あかね書房版:少年少女世界推理文学全集)の1冊。タイトルは『恐怖の黒いカーテン』。主人公が記憶を失った場面で始まる物語は、自分探しの興味から、自分が殺人犯ではないかという恐怖、そして協力者との謎解きと、百数十ページで欲張ってます。この本で叙情派の虜になりました(推定10歳)。アイリッシュは文章のリズムと甘さが良いんです。