- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488151089
作品紹介・あらすじ
「あと七日」笑い声と共に言葉が聞こえる。 わたしは……わたしはトリス。池に落ちて記憶を失ったらしい。母、父、そして妹ペン。ペンはわたしをきらっている、わたしが偽者だと言う。破りとられた日記帳のページ、異常な食欲、恐ろしい記憶。そして耳もとでささやく声。「あと六日」。わたしに何が起きているの? 大評判となった『嘘の木』の著者が放つ、サスペンスフルな傑作。英国幻想文学賞受賞、カーネギー賞最終候補作。
感想・レビュー・書評
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彼女のワードセンスによる独特な映像表現は面白い。
例えば
あまり大きな音をたてないようにドアを閉めると、部屋の外の音がつぶされて細いリボンになっていった。
アニメで描くような風の線をこう表現していた。
歪んだ家族関係がファンタジーの中で絡み合う物語。
けして善良でない、健全でない親子関係。
善と悪の間でゆれるアイデンティティ、繋ぎ止めるものたち、新しい命。
ガラスの顔のほうが冒険活劇としてのストーリーや色彩は豊かで好きだったけれど、
こっちのほうが映像が想像しやすく、読みやすくはありました。
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子供の頃の児童文学を思い出しながらも、大人になったからこそワクワクだけで終わらないファンタジー。
事故から目覚めると記憶が曖昧で、何故か妹にひどく嫌われている。事故前のこと、家族のこと、自分のこと、少しずつ思い出すものの、妹は自分を「少しずつ違う」という。
初めはどこかのミステリー小説で読んだことあるような設定で全体的に陰鬱だなぁという印象でしたが、起承転結の承から大きく物語が舵を切り、一気にファンタジー要素が広がるため全く未体験の感覚に。
手に汗握るバトルというよりは、魔法の世界にワクワクするタイプのファンタジーです。
しかしながら、翻訳書ならではの詩的な例えがなんとも印象的。解説でも言っていましたが、世の中には絶対的な悪というより、悪だということに気づいていない悪があるのだと、そしてそちらの方がタチの悪いこともあるのだと思いました。 -
ハーディング3作目。
ジブリでアニメ化されそうなファンタジー。『嘘の木』『影を呑んだ少女』に比べて、YA色が濃いように思える。 -
とても良いダークファンタジー
まるで子供の時のような気分で読み込んでしまった -
序盤は妹に虐げられてばかりでなんだこの妹は!となり、トリスの視点からなる描写もところどころ何言ってるんだこいつ?となり読んでいてずっとこれが続くのか…とちょっとげんなりしたがなんてことはない。中盤から怒涛の展開で序盤の妹の態度と謎の描写の理由もわかり、後半はもうスピード全開。ジブリ映画を一本観たような感覚になれるし、映画化も全然いけるレベル。文庫版もあるのでフランシス・ハーディングを初めて読むならこれがオススメかも。