- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488186050
作品紹介・あらすじ
文字のひとつひとつに色を感じる共感覚を持ち、写真家として大成功をおさめたゼバスティアン。だがある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で逮捕されてしまう。捜査官に強要されて殺害を自供したゼバスティアンを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つことになった。緊迫感に満ち満ちた裁判で暴き出される驚愕の真相とは。既刊累計300万部突破、本屋大賞「翻訳小説部門」受賞作家が「罪とは何か」を問いかけた恐るべき問題作、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
-
私の頭が悪すぎて、全てを理解するのは無理でしたが、今までのシーラッハの作品にも通じる、一貫した「罪とは?」「犯罪とは?」という問いかけが、波のように押し寄せる1冊でした。
奥深い。
日本の読者のみなさんへ、が、良寛の一句から始まるとは思わず、嬉しいとの同時に、知識の深さに驚いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本語版に寄せられた「日本の読者のみなさんへ」による、著者のメッセージーの中のーうらを見せおもてを見せて散るもみぢ 良寛ーの俳句。善悪二元論で語られる宗教とは違い、全てを内包する仏教。散りながら、裏とおもてさえもどちらが裏でどちらがおもてなのか?作品の中で語られながら、この俳句では語り尽くせない人間の本質は、善悪さえも一体不ニの気がする。緑、赤、青と、全てが混じり合って、、、表紙の合成写真のように、、、。
-
ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の長篇ミステリ作品『禁忌(原題:Tabu)』を読みました。
『罪悪』、『コリーニ事件』に続き、「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の作品です。
-----story-------------
法廷で暴かれるのは、あらゆる想像を覆す真実!
誘拐・殺人容疑で起訴された写真家。
捜査官に強要され自供した彼は無実なのか?
本屋大賞「翻訳小説部門」受賞作家が贈る世紀の問題作!
ドイツ名家の御曹司「ゼバスティアン」は、文字のひとつひとつに色を感じる共感覚の持ち主だった。
ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。
捜査官に強要され殺害を自供し、殺人容疑で起訴された「ゼバスティアン」を弁護するため、敏腕弁護士「ビーグラー」が法廷に立つ。
はたして、彼は有罪か無罪か――。
刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。
2012年本屋大賞翻訳小説部門第一位『犯罪』の著者が「罪とは何か」を問いかけた新たなる傑作。
著者による日本版オリジナルエッセイ「日本の読者のみなさんへ」を収録。
訳者あとがき=「酒寄進一」(文庫版に寄せて追加あり)
*第10位〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10/海外部門
*第10位「ミステリが読みたい!2016年版」海外篇
-----------------------
2013年(平成25年)に刊行された「フェルディナント・フォン・シーラッハ」2作目の長篇作品… 作風は相変わらずで、陰鬱な雰囲気と研ぎ澄まされ淡々とした筆致が特徴でしたね、、、
「罪とは何か」を問いかける内容も、作品に共通するテーマですが… 私の読解力のせいか、今回は、ちょーっと難しかったですね。
ドイツ名家の御曹司「ゼバスティアン・フォン・エッシェブルク」、彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった… 辛い幼児期の体験を経た後、ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で緊急逮捕されてしまう、、、
被害者が発見できず、その居場所を吐かせようとする捜査官の拷問により殺害を自供した「エッシェブルク」を弁護するため、ベテラン刑事弁護士「コンラート・ビーグラー」が法廷に立つことになった… 「エッシェブルク」は有罪か無罪か―緊迫感に満ち満ちた裁判の行方と、あらゆる者の想像を絶する驚愕の真相とは。
作品は、光の三原色の『緑』、『赤』、『青』、そして、それらが合わさった『白』の4章に分かれており、、、
主人公「エッシェブルク」の半生を描き全体の60%程度を占める『緑』、これが長い伏線になっています… そして、「エッシェブルク」が殺人容疑で逮捕され取り調べを受ける『赤』、もう一人の主人公でもある弁護士の「ビーグラー」が登場し「エッシェブルク」を裁く法廷劇が展開する『青』、物語を締めくくる『白』という構成になっていました。
徐々に真相が明らかになっていく『青』のあたりは、どんどん先を読みたくなる展開でしたが… 結局、動機の部分が理解できませんでしたね、、、
深い理由があるのかもしれませんが… わからなかったなぁー
表紙カバーの暗い女性の写真… 本作品の翻訳出版において、この写真を使うことが著者の条件だったとのこと、、、
この写真が被害者とされた女性の(合成された?)写真だったんでしょうねー
以下、主な登場人物です。
「ゼバスティアン・フォン・エッシェブルク」
写真家
「ソフィア」
PR会社社長
「セーニャ・フィンクス」
ゼバスティアンの隣人
「コンラート・ビーグラー」
刑事弁護士
「エリー」
ビーグラーの妻
「モニカ・ランダウ」
検察官 -
本を閉じてカバーを外してじっくり眺めて、あ゛〜。そして最初のページから読み直して愕然、というか底知れぬ味わい。なんか凄い。これまでのシーラッハの作品らしさを感じながら、より真摯に人間の内面を見つめている。芝居にもなるみたいだけど、上演台本難しそう。芸術ってホントややこしい。読み終わって、あれ?アレ?ってページを前にめくりだす体験って素晴らしいかも。
-
色々なタイプのミステリ作品を読みすぎたせいか最近は、大どんでん返しとか驚愕のラストとかいう煽り文句を見ても、また手の込んだトリックを駆使した作品を読んでも大して心に響かなくなったのですが、本作は参りました。いやはやまったく、このラストは絶対に想像がつかないというか、この著者でなければ描けないですよ。
でもこれ、納得できない読者は多いと思います。Amazonのレビューを見るまでもなく、採点するなら★1つか★5つかのどちらかなんじゃないですかね。そういう私だってこのラストに至る経緯については正直よく分からない部分が多いですし。
ただ、よく分からないからといってばっさり切り捨てるのではなく、分からないなりにも意味なり味わいなりを感じられたのは本作の美点なのか、年齢を重ねることで自分の理解を超えた作品に対しても受け入れることができるようになったからなのか。さっぱり作品の紹介になっていないのですが一つだけ言えるのは、人間は単色で塗り分けられるようなものではない、ということなんじゃないかと。
とにもかくにも、著者4作目にして行きつくところまで行ってしまったような感すらあります。次の作品はいったいどうなるのでしょう?楽しみでしかないです。 -
主人公は文字の一つ一つにまで色を感じるという特殊な色彩感覚の持ち主、ゼバスティアン。
多感な時期に父親を自死という形で亡くし、乗馬以外に興味のない母親とうまく折り合いをつけられず、寄宿舎生活を終えると、写真家として歩み始めたる。
何だか歯車が合わないなりにも恋人もでき、順調な毎日を過ごしていたが、ある日突然、若い女性の殺人容疑で逮捕されてしまう。
捜査官に強要され罪を認めるも、敏腕弁護士ビーグラーによって、驚くべく事実が明らかにされる。
ハイテクを駆使した写真のなりようや、弁護士の刑事に対する禅問答もどきのやり取り、あとがきで”日本の読者のみなさんへ”と題して良寛の俳句を取り上げているあたりなどからも、なんか日本の文化に傾倒されているのかなと思わされますが、でもそのような事柄が私には理解できなかった、残念ながら。
特に写真を使ったトリック?わからない。
シーラッハは、「犯罪」や「罪悪」を衝撃的な思いで読んだので、以降も楽しみに読んだのですが・・・ -
文字のひとつひとつに色を感じる共感覚を持ち、写真家として大成功をおさめたゼバスティアン。だがある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で逮捕されてしまう。捜査官に強要されて殺害を自供したゼバスティアンを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。緊迫感に満ち満ちた裁判で暴き区出される驚愕の真相とは。『犯罪』の著者が「罪とは何か」を問いかけた恐るべき問題作!
被疑者の生い立ちをかなりのページを割いて書いているのはなぜなのだろうか。 -
20190927
-
弁護士と刑事の法廷のやりとりが面白かった。理解できていない箇所も多々あって、シーラッハのコリー二事件も読んでみた方がいいのかもしれない。