麗しのオルタンス (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ル 5-1)

  • 東京創元社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488188023

感想・レビュー・書評

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  • 適当に手に取り、ウリボメンバーとのことで、やっちまった、と思ったが、それほどでも。
    ある商店街で事件が起こる。商店街と言っても、女子に人気のマレ地区が、舞台なんだって。だからか、フランスがそうなのか、いちいち出てくる人物が食べてる「ちょっとした物」がオシャレなんだよなー。作品自体は全然オシャレでない。古臭くアホらしく、舞台っぽく、まさに「8時だよ!全員集合」の雰囲気である。いい意味で、作者は「時代をつかまないセンス」を持っている。ヒロインの初恋が大学時代で、サギの仕業というのは、どうしても納得できない。

  • フランスの実験文学集団「ウリポ」出身の作家兼詩人兼数学者、ジャック・ルーボーが世に問う風変わりなミステリー小説。

    舞台はパリのサント・ギュデュール地区。昨今この町は、「金物屋の恐怖」事件に恐怖していた。夜な夜な何者かが金物屋に侵入し、鍋を天井から吊り下げて深夜零時に大音響を起こすのだ。一方、ポルデヴィア皇国の皇位継承の式典も迫っていたが(余談だが、食料品店を営むエウセビオス家の飼い猫アレクサンドル・ウラディミロヴィッチはこの国の高貴な血を引く猫である)、皇子は依然として行方不明だった。語り手やブロニャール警部が「金物屋」事件の捜査に取り組む中、哲学専攻の女子大生オルタンスは謎の青年と出会っていた__

    さて、この小説の風変わりな点としては(あらすじだけで充分風変わりではあるが)、「筆者と語り手が別々に存在し、注釈でケンカしながら話が進む」「章の間に幕間なるものを入れて読者の理解を助けようとしているが時系列を混乱させるばかりで役に立たない」「14章が中途半端なタイミングで終わる」などが挙げられる(注釈や余談がやたら多いのも特徴だ)。

    なかなかに理解が難しい小説である。一応犯人は明かされるのだが動機も目的もさっぱり分からないまま話が終わる。しかし、そこまで読み進めていると、もはや話の内容などどうでもいいような気分になってくる。オルタンスが可愛ければそれでいいや。まあ、滅多に出会えないタイプの小説であることは間違いない。

    登場人物のほぼ全てに一度はスポットライトが当たり、過去のエピソードなどが語られるのだが、話の筋とは全く関係ないのにいちいち面白い。個人的に印象深いのはブロニャールの部下のアラペード刑事。生卵の殻剥きを日課にしている人物は、小説世界広しといえどこの人くらいだろう。

  • ようやく読み終わったー!
    読む前に、色々な感想を読んでしまったので、どんなもんだろ?と思って読み始めた。

    結果、回りくどい表現や、場面や登場人物がどんな人かが細かく書かれすぎていて、最初はイライラしたのだけど、慣れてきたら、意外と楽しくなってきて、最後は微笑んで終了した。

    私はほぼ100%文系なので、もう少し読者が想像する隙とか、間とかみたいなものを残しておいてほしいかも。

    間違えて2作目から買ってしまったため、2作目も読もう。そして、3部作らしいので、3作目も読むと思う。

  • すごく興味があるのに警戒しつつ、書店の棚に近づいていくと…意外と薄くていけるかな(笑)と思い、手に取りました。

    開いてみると、やったら小難しく書いてあるわりには内容ゆるゆるで笑う〜。エウセビオスのおやじ、夏にきっちり店番する理由はそういうことか(笑)。「私は必ずしも著者の『私』じゃない」と言い張る「私」、この本書いてる筆記具の情報って、いらんから〜。猫の名前、やったらゴージャス。『だんご三兄弟 あっという間劇場』で、「猫のミケの本名は『ミケランジェロ』」と聞いて以来の衝撃!でも、猫パンチを繰り出す姿はフツーに猫。ほかにも…まともな人間、出てこねー(笑)。

    謎の連続事件を追う、敏腕警部と物書き志望の青年…というミステリの骨組みは認められるものの、この謎解きが作品の何割を占めるか?と問われると、「へへへー」と答えるしかないです(笑)。件のオルタンス嬢も、登場のいでたちに激しく反応してらっしゃる書評/感想をいくつか拝見しましたが(たなぞうじゃないです、念のため:笑)、役割とか細かいこと聞かれても答えにくいわー。でも、彼女の通う図書館の描写は面白くて、私も挑戦してみたくなりました。それに、個人的には、「理論的に女嫌い」のオルガン奏者、シヌール神父がむちゃくちゃでいい感じです。

    久しぶりのミステリに耐えられるのか、私?と恐れつつ読みましたが、言葉遊び満点の、思いっきりバカミス。読んで暴れるヒト、いるんじゃないかしら?若島正さんによる「いかにも」な帯の惹句もトレビアンで、この☆の数です…って、私はもの好きなのかなぁ。

    -----[2009.8.25 未読リストアップ時のコメント]------

    『本の雑誌』の連載『書籍化まで七光年(円城塔さん)』で何やらフシギな紹介のされかたをしており、ものすごく気になる本。ヘンならせん(舞城王太郎さん『煙か土か食い物』に出てきたやつだと思う)やら、音階(平均律)の話やら、ものすごくゴージャスな名前の猫やら…たぶん、ワケわからん!と思いつつ。

  • いやー…色々な謎が提示されて、語り手や筆者がヒントなり答えめいた語句を散りばめ、それがさらに謎を読んで、最後までよく分からなかった。東野圭吾「名探偵の苦悩」をさらに混沌とさせた感じか。この小説に完全なる伏線の回収や、驚異に満ちたオチを期待してはいけない。

  • 麗しのオルタンス (創元推理文庫)

  • 図書館 vs 利用者の攻防で吹いた。ツッコミ不在でみんなフリーダムにボケたおすばかりなんだけど、話は不思議にゆるーく収束していく。オルタンスのおおらかさが微笑ましい。でもパンツはちゃんとはかないとお腹冷やすと思います。

  • 2009-01-00

  • 最後までずっとふざけていくという強い意志を感じるメタフィクション・アンチミステリ。数的感受性が鈍すぎるわたしには、物語の奥の骨組みはわからなかったけれど(あの数字の意味とか)、それはそれとしてオルタンスのお尻とかパンティ(21世紀に「パンティ」ですよ)とか、高貴な猫とか甘パンとかに心をなごませながら楽しく読んだ。わりとオチはどうでもいいです。

    ルーボーはこの小説の舞台のモデルになったパリの地区に住んでいたそうで、そこでなじみのお店でおいしいものを買ったり世間話したりの暮らしを愛していたんじゃないかな。フランス人が本当にそうしているのかは知らないけれど、一目で恋に落ちたり一瞬で恋が終わったりするのもよかった。個人がほんとうに独立している感じがして。

  • 続きが読みたい。フランス語読めたらいいのに。

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