北京から来た男〈上〉 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.78
  • (9)
  • (13)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 152
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209186

作品紹介・あらすじ

凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの寒村に足を踏み入れた写真家は、信じられない光景を目にする。ほぼ全ての村人が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの村が、なぜ。休暇中の女性裁判官ビルギッタは、亡き母が事件の村の出身であったことを知り、ひとり現場に向かう。事件はビルギッダを世界の反対側へ、そして過去へと導く。刑事ヴァランダー・シリーズで人気の北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルの集大成的大作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ヘニング・マンケル『北京から来た男 (上)』創元推理文庫。

    長らく寝かせていた文庫本。遂にヘニング・マンケルの未読の文庫本は本作のみとなった。ヴァランダー・シリーズではなく、女性裁判官・ビルギッタを主人公にしたノン・シリーズ。

    いきなりの驚愕の描写から物語は始まる。スウェーデンの過疎の村で19人もの村人が惨殺される。休暇中の女性裁判官ビルギッタは亡き母が事件の村の出身であったことを知り、現場に向かうが……

    北欧のマイクル・コナリーとも言うべき、ヘニング・マンケルが描く重厚な物語。面白過ぎる程、面白い。タイトルの『北京から来た男』、スウェーデンと中国がどうつながるというのだろうか。

    本体価格1,140円
    ★★★★★

  •  ヘニング・マンケルの非ヴァランダーもの。ミステリといっていいのかなこれは。スウェーデン北部の寒村での集落皆殺しというとんでもない事件で幕が開く。異常者の仕業でないとしたら動機は何か、というところで遠い過去の出来事が回想される。読んでいくと、全体の主題は中国人労働者のアメリカ西部開拓での苦難とそこからの脱出と報復という大きな歴史の流れの中の物語で、寒村の惨劇はほんの導入の意味しかないことがわかる。被害者の遠い係累である女性判事ビルギッタが、事件に首を突っ込むことになったことから、過去の歴史との関連に気づき、そのことで物語全体の整合が明るみに出る。遠因はアメリカ西部開拓地であり、現事件は北欧でありながら、主題となるのは毛沢東以来の現代中国史であり、大きな歴史的変革のなかで流されあるいはのし上がった者たちの物語だ。ミステリ的興味はほとんどないし、成り上がり者の結末もあっけないが、著者の人道的政治観が色濃く反映されていて、見逃せない大作といっていいだろう。

  • 上下巻読んだ感想になってしまうかも。


    上巻はよかった。
    誰が何のために村の人間を惨殺したのか、頭のおかしいヤツが出てくるのか、サイコ系なのかホラー系なのか、ドキドキしながら読み進めた。
    上巻終盤から、視点が変わる。ある中国人の青年の話へ。ここもよかった。ひどい話だけど、読むのは苦痛ではなかった。

  • 一度読んだ作品だが、もう一度読みたくなった。百年も前のアメリカで鉄道建設に従事させられた中国人のあまりにも過酷な境遇が強烈で、ストーリーは忘れていた。改めて読んで、復讐ものというイメージは払拭され、これは中国についての小説なのだと思った。

  • 凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの寒村に足を踏み入れた写真家は、信じられない光景を目にする。ほぼ全ての村人が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの村が、なぜ。休暇中の女性裁判官ビルギッタは、亡き母が事件の村の出身であったことを知り、ひとり現場に向かう。事件はビルギッダを世界の反対側へ、そして過去へと導く。

    未読だったノンシリーズ作品を読む。
    冒頭に加えて、150年前のエピソードは壮絶。
    下巻に続く。

  • 2019.04.10読了
    ヘニングマンケル氏、お初でございました。
    程よい厚さの上・下巻、何かいいことありそうな予感(笑)
    存じませんでしたが北欧の巨匠だそうですね

    ところで内容。。。ネタバレありです!
    また中国だー。苦手な毛沢東と鄧小平と天安門。最近5割くらいの勢いで中国を掠める作品に出会ってるなー。まあ勉強不足なりに読み進めました。

    スウェーデンでの大量殺戮→1868年のアメリカ横断鉄道敷設の際の奴隷制度。そういうことか面白くなってきたぞと思った矢先、中国の時間に突入です。否応無しにお勉強。ページをめちゃくちゃ割いてますけど、こんなに要らないんじゃないのかなー。飽きちゃいました。
    そして結末です。あらー、この人こんなに簡単に殺されちゃうのー?とか
    あの殺戮で殺された少年のことは、結局どーなっちゃったのー?とかあの村で殺された人々の苗字は違ってたけど、一十把一絡げで、JAの復讐ってことになるんですかー?とかはてなマーク?満載の結末ですよ
    最後にヤルーをサイコパスだと書いてありましたがあれは要らないでしょう。犯人をサイコパスにしてしまうといままで頑張ってきた作品が途端につまらないものになりますからね。ヤルーには復讐という大きな課題があったわけですからサイコパスではない。とわたしは位置づけたいですね。
    感想をまとめてみると
    すごーくおもしろそうに書いてあるからおもしろいのかと思ってドンドン読み進めていったら、段々おもしろくなくなっていっちゃったじゃん。。。な作品
    でも、文章はめっちゃクチャ読みやすかったです。
    海外ものでは重要な点なので星3つにしました

  • ヴァランダー警部シリーズの作者だったので。

    うーん、政治的な事にも、国際関係にも興味がないので、
    読み進めるのがつらかった。

    スウェーデンの村とも呼べないような小さな集落で、
    ある冬の日に起こった残酷な大量殺人。
    その動機がアメリカの大陸横断鉄道の苦力の子孫の復讐だということがうっすらとわかってきたあたり、
    つまりは上巻の途中から、とくにつらかった。
    (そうそう、死体を発見し心臓発作を起こして亡くなってしまったカメラマンはかわいそうだった)

    さらにどう関係あるのか全く分からない中国とアフリカの話になった時には、
    完全に興味を失ってしまった。
    いったい、話をどこへもっていってまとめるつもりなのかと、
    それしか読む進める動機がなくなっていた。

    (下巻へ続く)

  • 前半は星5
    中国・アフリカ・北欧・米国を結ぶ糸は何か。
    歴史と未来をおりまぜた傑作。

  • ヘニング・マンケルは<刑事ヴァランダー>のシリーズでよく知られる作家だが、単発の作品も多い。この邦題を英訳から引っ張って来たという『北京から来た男』もそうした単発の大作である。<刑事ヴァランダー>でも、主人公の勤務する地方都市で発生した事件に、思いも掛けない国際的な拡がりが視られたり、関係者の永年の怨恨が絡まる等、時間や空間を超えた展開を解き明かして行く物語が多いのだが…本作も、小さな村での事件が国中を驚かせ、そしてそこに時間や空間を超えた拡がりや想いが絡まるという「この作家の作品らしい」感じの物語だった…大変に興味深く読み進んだ…

  • 最後まで気が抜けない物語だった・・。初北欧ミステリ? 最近ブームらしいけど。私的にはかなりグイグイ来て読めました。北欧ミステリの醍醐味社会批判がこういう風に織り込まれて小説になるのかと今回初だったので私には新しかった。社会背景なんかも気になったりするので、この小説きっかけに歴史の勉強もしたくなる。

全11件中 1 - 10件を表示

ヘニング・マンケルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×