裏切り 下 (創元推理文庫 Mリ 7-6)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488211110

作品紹介・あらすじ

父親の元警部のことで話があると、ケイトに謎の電話をかけてきた女性は誰か? その頃、ロンドンのシナリオライターが、バーンアウト寸前でヨークシャーの人里離れた農場に妻子とともにこもることにした。養子の五歳の息子の生みの母が突然、現在の恋人という得体の知れない男と現われるが、彼の正体は? 浮上するケイトの父親殺しと彼の関係……。
本国で10月刊行にもかかわらず、その年の年間売り上げ第1位となった傑作ミステリ登場。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツの作家のベストセラー後半。
    舞台はイギリスのヨークシャーです。

    退職した警部だった父が殺され、休暇を取って故郷へ戻ってきたケイト。
    スコットランド・ヤードの刑事だが、自分に自信がなく、周りにも溶け込めないでいた。
    だが、誇りに思っていた父親の事件を放っておくことは出来ず、独自に動き出す。
    事件を担当する警部のケイレブはアルコール中毒という問題を抱えている。

    どの人物も、人に言えない秘密や重い気持ちを抱えていて、それが次第に絡み合っていく‥
    リーダビリティはさすがで、その過程で少しずつだけどケイトが優秀さを発揮し、成長していくのが読みどころ。

    これまでに「姉妹の家」「沈黙の果て」「失踪者」を読んでいます。
    この濃さと人間味あふれるドラマチックさ。
    ロマンスの要素もミステリの要素もあるが、どちらの定型でもない。
    よどむほどの暗さに一時おおわれるが、ややこしい絡み合いが、いずれは一気に見えてくる。
    そういう読み応えですね。

  • 上下巻に分かれているので、まとまった時間が取れないと読めないなぁと暫く積読になってた本作、漸く読めました。

    もっと早く読めばよかったと後悔するくらい面白かったです!
    ドイツの作者さんとのことですが、舞台はイギリス。ヨーロッパの作品らしく、全体的にどこか湿っぽいミステリーに仕上がってます。

    ケイトという39歳独身女性が主人公。夫も彼氏も友達もいなくて、仕事でも評価されないという設定。卑屈な設定に聞こえるけど、こういう人っていっぱいいると思います(かくゆう私も主人公の設定に大体当てはまっているひとり笑)。事件そのものもスピード感・意外性があって面白いのだけど、主人公や犯人役はもちろん、脇役の人たちもキャラ設定がちゃんとされていて、尚且つほとんどのキャラに感情移入できるところがこの作品のすごいところかなと。
    叙述ミステリーという訳ではありませんが、大分最後の方まで犯人が誰か分からず、ドキドキしながら読めました。

    本作がケイトシリーズの第一弾のようですが、第二弾の「誘拐犯」も読んでみようと思います!

  • 著者シャルロッテ・リンクは1963年フランクフルト生まれ。原文はもちろんながらドイツ語だろう。ドイツ生まれドイツ在住の作家が何故イギリスを舞台に? 先に読んだ「ドーキョーキル」「ジャパンタウン」の作者は25年日本に住み、日本を知ってもらいたくて小説という形で作品を書いたとあったが。

    翻訳者の浅井晶子さんのページ(翻訳ミステリーjp)
    2017.1.24
    https://honyakumystery.jp/1485215480

    2015発表 ミュンヘン Blanvalet社より
    2022.6.30初版

    web本の雑誌 2022.9月号
    https://www.webdoku.jp/mettakuta/yoshino_jin/20220919080000.html

  • 父親の元警部のことで話があると、ケイトに謎の電話をかけてきた女性は誰か? その頃、ロンドンのシナリオライターが、バーンアウト寸前でヨークシャーの人里離れた農場に妻子とともにこもることにした。養子の五歳の息子の生みの母が突然、現在の恋人という得体の知れない男と現われるが、彼の正体は? 浮上するケイトの父親殺しと彼の関係……。

    初めて読む作家。なかなかのページターナーでした。

  • 人には誰しも表と裏の面があり、他人を羨みながら生きている。そこは万国共通ですね。

  • 今年読んだ中では最大のヒット、いやー面白かった!
    上下巻ありながら一気読み。
    登場人物みんないろんな事情を抱えてるしそれが全て解決したわけではないし、今後もそれぞれがその重荷を背負って生きていかないと行けないんだろう。そこまでは作品内では描かれてはないので想像するしかないけど。シリーズ化してるそうなのでその辺も描かれてるのか期待。

  • 恋人や友人もおらず、仕事も上手くいっていない39歳独身女性ケイト。ここまで自己肯定感が低い人物が主人公なのも珍しい。読み進めるうちに、彼女だけでなく、誰もが表向きの人格とは別に、孤独や闇を抱えていることが分かっていく。人の温もりを欲しているくせに、己れの醜い心まで覗いて欲しいわけではない臆病な気持ちは、共感しかなかった。
    途中で話が繋がっていくステラのパートは、不穏過ぎて、ちょっと読み飛ばしてしまった。小さな子供がいると辛い。すべての人が傷つく結果になってしまったが、終わってほっとした。ケイトは少しだけ未来が見えたのか。シリーズものらしいので、次が楽しみ。

  • とある人物の存在がわかってから怒涛の展開。スリルが素晴らしいです。事実が分かると、確かに酷い!と思いますね。のうのうとしてられるの?レベルです。圧倒的な筆致、今回も楽しませていただきました。スーパーじゃない主人公にも好感持てます。

  • 後半からどんどん面白くなった。家族、同僚も知らないまま抱えてる秘密に怯える様子が上手く描いてあった。上巻のプロローグ的な場面の回収が全てをまとめていた。

  • 久々に、シリーズの次作を読みたいと思うキャラ、ケイト。スコットランドヤードの刑事なんてどんなエリートかと思うのに、そこでのおちこぼれという…。対人ダメダメで恋人も友人もおらず、自己評価も低い。なんだか身につまされ、どう生きていくのかと気になる。

    ケイレブも、アルコールのせいというもっともらしい理由はあるものの、これだけ悪い予感や悪い徴があるのに、鈍すぎないかい? 

    2つの事件の関わりが若干薄いように思うが、着地に生かされてると思えば、報われるというもの。
    ページは捲らされ続け、カレーが食べたくなりました。

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