サルバドールの復活 下 (創元推理文庫 M ト 5-3)

  • 東京創元社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488235086

感想・レビュー・書評

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  • 大学生の時に同じ家で暮らした4人の女性。卒業して数年後、そのうちの1人リディアの葬儀に残りの3人オードリー、ベス、レイチェルが集まる。著名なギタリストのサルバドールと結婚していたリディアは少し前に夫を亡くし、今度は自分が転落事故で死んでしまったのだ。
    オードリーとベスは、葬儀の後サルバドールの母親から邸宅に招待される。不穏な空気を感じつつもそれに応じた2人だが、家の中はさらに異様な雰囲気だった。
    葬儀後の現在と4人の学生時代を行ったり来たりし、視点も4人が交錯するが、キャラをしっかり書き分けてるので混乱する事はない。4人それぞれの若い女性であるが故の悩みや希望や嫉妬等を丁寧に描いていて上手いなと思う。後半のサルバドールの母親のモンスターぶりは笑っちゃったけど、少なくとも前作のようなモヤモヤ感はなく読み終わった。『飛蝗の農場』よりは全然面白いと思うけどな。

  •  「飛蝗の農場」で衝撃のデビューをしたドロンフィールドの2作目。

     旧友の死に、同じ下宿に暮らしていた3人の友達が集まる。すると故人の姑から館に招待を受ける。そこで待っていたのは、恐怖だった。

     「飛蝗の農場」でも、一体何が面白いのかよくわからないままに引き込まれて、最後はああよかった。やっぱ、このミス1位になるのは違うわね、と思ったんだが、今回もうーーーんと思ってたらあれよあれよと踊らされて、最後は「やっぱりドロンフィールドは面白いわ」って思ってる。
     小説家というより、マジシャンですな。
     
     これは、過去と現在、そして聞き伝えの話とか、とっても交錯しているし、主観が変わっていても説明なしにぶんぶん進んでいくので、気を抜いてると振り落とされます。まぁ、その振り回されるのが快感といえば、いえるのでは。
     ただ、このオチというか、過程に、笑っちゃう人もいるだろうし、怒る人もいると思う。でもって、その笑ったり怒ったりする人を想像して、ほくそ笑みながら書いてるドロンフィールドが想像できて、また笑っちゃったり怒っちゃったりする。
     やっぱり、マジシャンですなww

     面白かった。でも、今年の「このミス」ははいってこない、だろうなぁ(苦笑)

  • こ・・これは、正気なのか?って感じでした。いろんなピースが組み合わされているので、何度が遡って確認しました。面白かった(^^;)

  •  目の前に1枚の完成したジグソーパズルがあります。一つのテーマが中心に描かれていて、周りにもいろいろテーマに関係したりしなかったりの画が散りばめられています。一見落ち着きがなさそうなんだけど、ちゃんとみると一枚の絵として完成しているって、そんなのです。

     メインのテーマは、まあ、予想通りの展開。ただし、1個のキーになるピースがあまりに異様で面食らっちゃいました。

     そうそう、背景もなかなか素敵な絵です。

     で、面白いのは、絵が完成した後も、なぜか余っているピースが幾つかあって、これがまた、どうでもいいんだけど小味が効いてて美味しいことです。王女とヒグマの寓話(寓話かしら?)は良いよね。でね、こういう手法の小説だからこそ、巧く埋め込めたけど、普通に書くとそんな余裕がなくなるよね。ということは、余ったピースこそがドロンフィールドが本当に書きたかったもので、実はメインは蛇足だったりするのかしら。読後の勝手な想像ですが。

     語り出すとキリがないぐらい面白い小説でした。

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