水の葬送 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488245092

作品紹介・あらすじ

外海に流されようとしていた死体は地元出身の若い新聞記者だった。病気休暇中のペレス警部も捜査に復帰し、再びシェトランド島を舞台に展開する現代英国本格の新たな傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 前作の悲劇のため休暇中だったペレス警部がインヴァネス署のウィロー警部らと共に捜査に参加する。ペレスの再生やウィローの過去など今後が気になる。前作同様心の声入る文章が面白くずっと読んでいたい。サンディ刑事の描写かわいい。

  • 衝撃のシェトランド四重奏終幕を経て、新たなるシーズンの幕開け。

    すっかり心ここにあらずのジミー・ペレスは、まぁそうだよねといったところだが、そのエース不在を補おうと奮闘するサンディの頑張りにエールを送りたい。
    何かと自信がなかったり、びくびくしてはいるものの何とか一人前になろうともがく姿がいじらしい。

    事件は、マリーナに浮遊していた船上の死体と、次いで起こる第二の殺人事件の犯人探し。
    ある日の夜、地方検察官の自宅から見えるマリーナに一艘の船が浮かんでいるところが見えた。
    検察官はボートチームに所属し、自身のボートもマリーナに係留されており、またボートの腕にも覚えがあったため、自ら操舵し浮遊していた船に近づくが、そこに乗っていたのはジェリー・マーカムの死体だった。
    ジェリー・マーカムは両親がシェトランドでホテルを営み、かつて「シェトランド・タイムズ」で記者として名を馳せ、本土に渡り成功を収めた決して「いい人」とは評されないボンボンのお坊ちゃまくん。
    何故か動揺する地方検察官。

    かつてジェリーと男女の問題でいざこざのあったイーヴィーは、今や年上の”聖人”ジョンと結婚式を間近に控えるが、このタイミングでのジェリーの帰還に心穏やかでないが、さらに降りかかる悲運が。。

    相変わらず各人の心理描写が秀逸。
    結局のところ、いろんな感情が渦巻いて事件そのものとは関係ないところで悶々としていただけというパターンが多いのだが、性急に処理しようと焦る周囲をよそに、もちまえの忍耐強さでじっと受け止め、思いを巡らすペレスのさばきが心地よい。

    なんだかんだページが進むについてじわじわと、ペレスが復調してきてくれて良かった。
    まだ全快とはいかないものの、何やらちょっとした予感めいたものや、本作の真相がもたらす愛の複雑さも今後の展開を無理なきものに感じさせるようで、奥深い一冊。

    • 111108さん
      fukayanegiさん、おはようございます♪

      そうそう、今回ペレスの復調を待つサンディの頑張りが健気でいいですよね!「よしよし」と頭を撫...
      fukayanegiさん、おはようございます♪

      そうそう、今回ペレスの復調を待つサンディの頑張りが健気でいいですよね!「よしよし」と頭を撫でたくなりました笑
      2023/11/19
    • fukayanegiさん
      111108さん、おはようございます。
      コメントありがとうございます!

      このシリーズ、すっかり先を行かれてしまいましたが、自分も再開しまし...
      111108さん、おはようございます。
      コメントありがとうございます!

      このシリーズ、すっかり先を行かれてしまいましたが、自分も再開しましたー。
      心の声が今まで以上に気になりますw
      サンディくんはこの後も成長を見せそうなので、楽しみです。
      2023/11/19
  • シェトランド四重奏を経ての
    ペレス警部、新章の始まり。

    愛する人を失い、なかなか立ち直れないペレスに新たな殺人事件が。
    相変わらず頼りなげなサンディと、本土から派遣された女性警部と3人での捜査が始まる。

    サンディに対しては、過去四作の彼を見てきたせいで
    親か祖母目線で見る癖がついてしまい、何をしてもかわいく、応援したくなる。
    外見が超ラフなウィローは天然なのか計算か?美しいのかだらしないのか?男性を翻弄させる小悪魔的女子。
    傷心なはずのペレスが早々にコロッとその魅力に吸い寄せられてるのがなんだかなぁ。。(まだ早いよ〜)

    本筋の事件の方は
    登場人物が多くて最後まで名前が一致せず、
    最初の人物紹介のページを何度も行ったり来たり。
    終盤明かされる犯人にも特にひねりはなし。

    今回じんと来たのは
    血の繋がりのない娘、キャシーとの親子関係。
    母を失い、そのママと結婚するはずだった男と生活することになったんだけど、まだ幼いキャシーを必死に守ろうとするペレスも良いし、小さいながらもそんなペレスを思いやるキャシーも愛しい。
    この関係、変わらず続いて行くと良いな。

  • 4部作で終わった「シェトランド四重奏(カルテット)」に続く新シリーズ。
    ジミー・ペレス警部シリーズということのようです。

    スコットランド最北端のシェトランド諸島。
    地方検察官のローナは、家の近くで不審な小船を発見します。
    被害者は地元出身の若い新聞記者で、何かの取材に戻っていたらしい。
    ジミー・ペレスはいまだ病気休職中。幼い娘と暮らしています。
    ペレスの部下でいささか頼りないサンディ刑事が迎えたのは、本土から派遣された女性警部ウィロー・リーヴズ。
    慣れない土地で型通りの捜査をきちんと進めるといった感じで、失意のペレスもしだいに参加することに。

    この島には珍しい都会的なキャリアウーマンのローナと真面目でナチュラルなウィローで新しい雰囲気に。
    前作の衝撃的な結末、あのままではあんまりですよねえ‥
    気が優しく人の話を聞き出すのがうまいペレスの個性と、島の自然や暮らしがありありと目に見えるような描写はそのまま。
    この繊細で丁寧な感触がなんとも心地よくて、嬉しい。

    ペレスの人生の変化に加え、島のエネルギー問題なども時代とともに増えているのか、少し雰囲気を変えてきているのも感じます。
    だんだんと、ペレスも再生に向かうのでしょう。
    期待してます☆

  • ペレス警部第二シリーズ開幕。前シリーズで完全に打ちのめされた彼の人生が少しずつ回復していくのが嬉しい…まだ折に触れ後悔と絶望の芽がチクチクと顔を覗かせるが。それにしても、サンディ君がここまで頼りがいのある男に成長するとは、一作目を読んだ時点で誰が想像できただろうか!しかしこんな狭い島の中でこんだけ殺人事件起きるとか、コナン君かよ、と突っ込みたくなることは内緒だけどね。
    (余計なことかもしれないが、帯に大胆なトリック、とあるのは頂けない。本シリーズの魅力はそこではないと思う。)

  • イギリスの辺鄙な島で殺人事件が起きた。死んだのはジェリーといういまはロンドンで記者として身を立てている、島でホテル経営する一家のバカ息子。事件の謎を解くために、婚約者が死んで休職中の主人公は動き始めるー

    という話。

    以下ネタバレ

    最後までエネルギー開発の問題が引っ張られて、うまいミスリードになるか?と思いきや、最後の殺人犯はなんで?どーして?1人目(幸せを壊そうとする娘の元カレ)はわかるものの、2人目(娘を幸せにしてくれるであろう婚約者が。自分の友人でもあった)はなんで殺した?さらに3人目はどーした?気が狂ったとしか思えないが、「殺人犯は気が狂ってました」じゃミステリーは成り立たないだろ!わたし何か大切な部分読み飛ばしてる??
    ってなった。うーん、残念。

  • シェトランド島シリーズの五作目。

    その後のお話。
    忘れ形見のキャシーの世話をしながら、
    病気休暇中のぺレス警部は、
    ゆるやかに事件捜査に巻き込まれていく。

    誰もがファーストネームで呼び合うシェトランド島で、
    孤高を保っている地方検察官が殺害された死体を発見する。
    被害者は地元出身の新聞記者で、むかし、妊娠させた恋人を捨てて島をでていたが、
    里帰りをしていたところだった。
    また別の島出身の女性警部が捜査にやってくる。
    ペレス警部は悲しみの淵から戻ってくることができるのだろうか、
    事件を解決することができるのだろうが。

    最初はいらいらさせられたサンディが。
    なんだか愛らしく感じられてくるのは、
    少しずつ成長しているからだろうか。
    ペレス警部への敬愛を失っていないからだろうか。

    少しづつ立ち直りつつあるペレス警部と女性警部の仲が
    どうなっていくのか、かなり気になる。

  • シェトランド四重奏の最後、あの終わり方がどうにも腑に落ちなかったのでその続編!
    ペレス警部が帰ってきたという嬉しさと共に、まだまだ知らなかったシェトランド諸島の別な魅力や問題にもふれることが出来て大満足。
    新しい登場人物もあり、これまでのあの人のあんな横顔や過去も…
    サンディ、大人になって見直してしまったよ。

  • 「シェトランド四重奏」を経ての新たなジミー・ペレスシリーズ。前四部作目のラストがあまり好きではなかった。そこからの今作はペレスの内面の暗さ、捜査の過程で少しずつではあるけれど立ち直っていく姿が印象的。ただ今作はあまり魅力的ではなく次作を手に取るかは迷うところ。

  • シェトランド四重奏シリーズは、4冊で終わったと思ってた。
    最後があまりに悲しくて、でも見事なミステリーで、これで完結と思ってた。
    そしたら、まだペレスの物語は続いてくれていたのだな。

    彼の手探りの前進が見えてきて、それはとても嬉しいこと。
    だけど、新しい恋愛要素は彼には早いのでは、というより、私自身が抵抗を覚えてしまって驚いた。
    最も、いろんな芽生えの巻と思って、納得できなくはないけれど。
    続きの翻訳が待ち遠しい。

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