- Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488276119
感想・レビュー・書評
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シリーズものがあるとき、あるいはこの作者が気になるというとき、私はなるべく第1作から読みたい。第1作を読むときのネタバレを回避したいのだ。
しかしながら、これはシリーズ第7作なのだが、この本を紹介する案内に強く惹かれてこの作品から読んでみる。
なぜ殺されたのか分からない人たちを辿る謎はもちろん魅力的なのだが、登場する刑事たちの背景を想像しつつ読み進めるのは楽しい。
事件単体の面白さだけでなく、謎を解く刑事たちにも人生があり、事件があった。
謎や解き方、トリックを楽しむミステリではなく物語を楽しむミステリ。
他の作品も読みたくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一気に
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有名シリーズの途中からとなるが、あらすじが気になったので読んでみた。
物語を追うのに支障はないが、ところどころに過去作への言及があった。そのものズバリのネタバレはなかったように思うが、どんなわずかな先行情報も絶許の人は注意。
内容だが、主人公の警官たちが、超人的な連続殺人犯に右往左往させられる。
主人公たちはけして無能なわけではなく、また人格的にも問題なく、かれらにイライラさせられることはない。ただ、周りのゲストキャラや事件関係者がかなり無能または非協力的で、全体に隔靴掻痒の感が濃い。
主人公たちはそちらにイライラさせられるわけだが、これが今作のみの展開なのかシリーズ全体の持ち味なのかは、既刊を読んでいないのでわからない。もし後者なのだとしたら、なかなかにフラストレーションが溜まる設計だとは思った。なんせ束の厚さと登場人物の数が半端ないので。
空振り空振りまた空振りの中、疲労と焦燥と無力感に苛まれながら駆けずり回る主人公たちの姿には同情と共感を禁じえない。なのに報われず、犯人に先を越されてしまう。ヒーローヒロインがカッコよく活躍してハッピーエンド! とはならない。
ヨーロッパ・ミステリでおなじみ、捜査官たちの私生活というサイドストーリーも然りで、いいことばかりが起こるわけではない。しかし、ひと昔前の作品のようにエグいばかりのトラブルオンパレードでもなく、かれらの地に足ついた愛憎とせいいっぱいの生きざまは、自然に応援したくなる。
総じて、読後感はけして悪くない。「それでも人生はつづく」「ある意味リアルな警察小説」と言ったところか。かなり積極的に、既刊も読んでみようと思った。
社会構造は意外に硬直的で、万人に忌み嫌われるクソ野郎という描写ながら、堂々と女性差別発言をかます男も登場する。男女平等指数においては、北欧>ドイツ>アメリカ>東欧>>>ヘルジャップというところか。
謝辞のほとんどが女性宛てである著者あとがきと、日本男児によるなんの意味も価値もない解説を読み比べると、その実態がよくわかる。
2020/2/1〜2/2読了 -
オリヴァー&ピアシリーズ。息もつかせぬ展開で、最初から最後までハラハラしながら一気読み。ちょうど時期的にも同じくらいのタイミングで読めてよかった。
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オリヴァーが段々優秀になってきてる感。
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初めて読みました。
デンポよく話が進んで、本の厚さを感じさせないくらい、あっと言うまに間に読み終わりました。
街の雰囲気を想像できるような描写でよかった!
酒寄さんの翻訳に感謝。
他の作品も楽しみ❣️ -
ピアとオリヴァーシリーズ。混乱をきわめるストーリー展開が多かったのが、前作はわかりやすい筋立てでイメージがちょっと変わったかなと思ったが、本作もそれに続いて好調だ。テーマは脳死判定と臓器移植にまつわる大病院のスキャンダルと殺された患者の関係者による連続報復殺人事件。登場人物表は3ページわたって多いものの、話が順番に整理されているので混乱しないで読める。最初は被害者間の関連が不明で五里霧中だった捜査が、動機が明かされてからは高度の狙撃技術をもつ犯人の候補者はかなり絞られ、犯行の進行とともにどんどん加速する。しかし、ミスリードが各所にしかけられていて、最後に判明する犯人の意外性は十分だ。社会派らしい問題提起もうまく取り込んでいるし、鼻持ちならない助っ人捜査官の出現や、オリヴァーの家族のごたごたな、どいつもながらの周辺エピソードの味付けも効果的で、まさに円熟味を増した感がある。
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12月19日読了。図書館。