休日はコーヒーショップで謎解きを (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488287054

作品紹介・あらすじ

銃を持って押し入ってきた男は、なぜ人質に「憎み合う三人の男たち」の物語を話すのか? 意外な真相が光る「二人の男、一挺の銃」をはじめ、腕利きの殺し屋に次々と降りかかる予測不可能な出来事を描く「残酷」、常連が殺されたコーヒーショップで、ツケをチャラにするため犯人捜しをはじめた詩人が謎解きを繰り広げる、黒い蘭中編賞受賞作「赤い封筒」など9編。『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』で人気を博した、短編の名手のとっておき!

感想・レビュー・書評

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  • 前作「日曜の午後はミステリ作家とお茶を」は、作家のシャンクスが一貫して主人公だったが、今回の短編集は主人公はそれぞればらばらだ。コージーぽくはなく、訳者が言うようにオフビートの感じだね。ちょっと苦い味もある。まあ、あんまりミステリーと言えないかも。最後の詩人のデルガルドを探偵役にした「赤い封筒」は、一味違った本格ミステリーかな。コーヒーハウスを舞台にしているのは、いかにもアメリカらしい。最後のほうになって、結構手掛かりは揃ったのかな。私には解けなかったけど。よく考えてみれば、明らかに犯人を指さしているものはあったね。

  • タイトルから、ゆったりした安楽椅子探偵ものを推測していたが、探偵ものは最後の「赤い封筒」のみで、しかも、その探偵のスタイルが私には合わず、馴染めなかったのは残念。

    しかし、他の短篇それぞれのストーリーは面白く、かつ、孤児列車や人種差別など考えさせられる内容もあり、バラエティに富んでました。

    また、ストーリーに映像が浮かんでくるような臨場感や躍動感を感じたのは、おそらく著者がこういうものを書こうという、明確なヴィジョンが頭の中にあるのではないかと思っていたら、それぞれの作品の終わりにある、「著者よりひとこと」で、なるほどと納得し、これはこれで楽しい読書となりました。

    先に出た、シャンクスの短篇集も読んでみたい。

    • 111108さん
      たださんお返事ありがとうございます。

      児童文学読みたくなったのは、たださんはじめいろんな方のレビューを読んでみたら、私が思ってた児童文学=...
      たださんお返事ありがとうございます。

      児童文学読みたくなったのは、たださんはじめいろんな方のレビューを読んでみたら、私が思ってた児童文学=教訓めいた結末 という思い込みが違うんじゃないかと思った事。
      あと最近の自分(了見が狭かったり表裏あったり大人ってやーね、みたいな感)にもっと純粋な物の見方を教えてくれるんじゃないかと思ったからです。←そもそもこの考えが不純ですけど(-_-;)

      思い込みで手を出さなかった児童書の「発表した意義」考えてもみなかったです。
      「大人になって記憶の片隅に置かれたままだったかけがえのない大切なもの」はほんとに、普段の生活だとなかなか発掘できないまま毎日過ぎていってしまいますね。

      とりあえず今の年代で読んで良かったという言葉を頼りに読んでいこうと思います♪
      2022/01/03
    • たださん
      111108さん、こんばんは。

      お返事ありがとうございます。色々、思うところがあったのですね。

      私も児童文学を読みたくなった、きっかけは...
      111108さん、こんばんは。

      お返事ありがとうございます。色々、思うところがあったのですね。

      私も児童文学を読みたくなった、きっかけは、フォローしている方のレビューでした。

      その時は、児童文学というカテゴリは関係なく、単純にいい物語だなと思ったことが意外で、読んでみたら、本当にその通りで、また次のを探そうとして・・・気付いたら、こんな本棚になってました(笑)

      私も、了見が狭いなと思ったり、自分の中に表も裏も不純さもあると思ってます。

      だけど、純粋なものもあると、今の私なら少しずつ思うことができるようになりました。

      ただ、それでも自分自身にガッカリすることもあるにはありますが、そういうものがない交ぜになってこそ人間なのではと、最近、色々な作品を読んで思うんですよね。ケイト・アトキンソンもそうですし。

      111108さんは、どのようなものを読みたいとかはあるのでしょうか?

      私も、お勧めして、もし合わなかったらどうしようという複雑な思いもあるのですが、市川朔久子さんの「しずかな魔女」は、いい作品だと思います。

      学校に行くことができなくなった女子中学生の話なので、最初は暗い気持ちになるかもしれませんが、111108さんの求めているものが見つかるかもしれません。ご参考までに。
      2022/01/03
    • 111108さん
      たださんお返事ありがとうございます。

      どういうものが読みたいか、自分でもよくわかってないのですが‥イヤミス的にあまりにも状況が悲惨で笑いの...
      たださんお返事ありがとうございます。

      どういうものが読みたいか、自分でもよくわかってないのですが‥イヤミス的にあまりにも状況が悲惨で笑いの要素も無いとなると読むの辛いですね。
      でも、しろうとなのでおすすめされたのを素直に読んでいきたいです。自分の好みで選んでいくのとは違うルートで出会う本っておもしろそう!
      市川朔久子さんは知りませんでした。「しずかな魔女」探してみますね。
      ありがとうございます♪
      2022/01/03
  • 前作『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』は、ミステリ作家・シャンクスを主人公にした連作ミステリでしたが、本書はシャンクスものの続きではなく、独立した短編集でバラエティーに富んだ内容の九話が収録されています。

    どの話もシニカルで一捻りある展開が楽しめるのですが、捻りすぎて訳わからなくなっている「宇宙の中心(センター・オブ・ザ・ユニバース)」のような話も見受けられます(まぁ、この話が読みづらいのは“そういう設定”だからではあるのですが・・)。
    加えて孤児列車や人種差別、兵役拒否者などアメリカならではの社会問題も各話随所に散りばめられていて、その辺りも興味深かったです。
    個人的には、緊張と緩和のバランスが絶妙な展開の「ローズヴィルのピザショップ」と、とある女性と刑事の会話から浮かび上がってくる真相とラストの余韻が秀逸な「共犯」が好みでした。
    あと、本書の中で唯一ミステリらしいミステリだった「赤い封筒」も面白かったのですが、探偵役の詩人・デルガルドの人を食った態度がトゥーマッチだったのが少々うんざりだったかな~と。
    特に謎解き場面で、自作(?)の詩をボンゴの演奏付きで逐一挟んでくるのが“もう、ええって!”という感じで、彼にイラついていたガンダースン警部補にそこは同意した次第ですww。

  • 短編集。もう「残酷」なほどにすべてがひどいことになってしまう殺し屋。心にしまい込むことで「共犯」になってしまう刑事。「宇宙の中心」での活劇は心の友を失うのようで、少しさみしい。「赤い封筒」は王道ミステリ。

  • 『日曜の午後は〜』と同じスタイルと雰囲気で愉しめた。この中では異色だがアメリカの苦い歴史と渦中にいた子供時代を振り返る『列車の通り道』『消防士を撃つ』の2作が心に残った。

  • 消防士を撃つ:青い影

  • ――

     まさに変幻自在。御見逸れしました。

     本格から変格、ハードボイルドからドタバタコメディまで、魅力的な短〜中編が詰まったまさにとっておき。タイトルのとおり、休日のコーヒーショップにうってつけの一冊でした。
     ミステリ的な楽しみはもちろん、習俗や文化、人種等に対する視座もスパイシィで、アメリカ文学の面白さも味わえる。


     個人的には「ローズウィルのピザショップ」が、シチュエーションスリラー(兼コメディ)の戯曲じみていてお気に入り。舞台化してみようかしら。

     大満足の☆4

  • 元図書館司書のロバート・ロプレスティによる、日本オリジナルの短編集!

    日本で出版された短編集としては『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』に続く第二弾です!

    今回は前回の短編集とは違った雰囲気。

    『日曜の午後は・・・』よりも、ややしっとりとしているという印象を受けました。

    全部で9編の短編・中編が収録されており、正統派推理もの、ブラックユーモアもの、コージーミステリ、差別問題を扱ったもの等々、作者の引き出しの多さに驚かされる一冊です。

    扱うテーマも物語の雰囲気も違う作品が次々に出てきて、「次は何が起こるんだろう?」とワクワクしました。

    普通、読んだら気が重くなるようなテーマのものもありますが、一貫して客観的というのか、淡々としたトーンでそれがとてもよかった。

    読んでいて過剰に巻き込まれるということがなく、物語を受け入れやすい感じです。

    それでいてしっかりと内容が心に引っ掛かる。いや~、どういうことなのか。ほんとにすごい。

    今回は訳者の高山真由美さんが、編訳として、短編の選出などから関わっています。

    まだまだ作品はたっぷりとあるようなので、今後の展開も楽しみです。

    次の短編集が早く出てほしい!!!

    ◇ぶんちんが特に気に入った3作
     ・残酷
     ・二人の男、一挺の銃
     ・赤い封筒

    ◇おすすめポイント
     ・作者の引き出しの多さを感じられる9編を楽しめる
     ・読みやすいのに心に残る文体
     ・各作品に日本語版オリジナルの「著者よりひとこと」つき

    ◇こんな方におすすめ!
     ・さまざまなパターンの短編を読んでみたい
     ・重たいテーマを扱った物語を避けがち
     ・自分でも短編を書いてみたい

  • 平日は通勤電車で謎解きを
    になってしまった。

  • 「ローズヴィルのピザショップ」。穏やかな店内にピリッとした空気が流れる瞬間、そしてそれが緩むとき。その加減がいいし、血が流れるけれどどこかドタバタ劇のような展開でラストもいい。
    「残酷」。冒頭の殺し屋の場面から思わぬ方向に展開されていくのが面白く、前半と後半の落差が楽しめる。
    「赤い封筒」。探偵と助手のような関係。探偵の造形の良さ、怪しさがいい。推理と饒舌さでもっと読んでいたくなる。
    他にも面白い短編が収録されていてとても満足度の高いもの。

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